

2021年3月22日
【広島大学の若手研究者】インドの伝統医療から知識の所有考察
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大大学院人間社会科学研究科 講師
中空 萌 さん
研究テーマは「文化人類学」
自分の社会とは異なる社会を理解しながら、他の社会(異文化)を通して自分たちの社会を違った視点で見る、自己相対化の学問です。
私の研究の基本はフィールドワーク。
現地に住み込み、現地で暮らしている人たちの日常に寄り添いながら、現地の人たちの視点から考えていくことが大切になります。
学生時代から、自分の知らない世界を見たい思いがあり、バックパックで30カ国を巡りました。
こうした中、オーストラリアの大学には1年間留学。先住民のことをフィールドワークで学ぶクラスがあり、彼らの伝統楽器や点描画の文化について勉強を重ねました。
彼らの5万年以上の歴史で脈々と息づいている深遠な文化に圧倒されたことと、先入観で彼らの文化は遅れていると思っていたことを崩されたことが、文化人類学の世界に入るきっかけになりました。
インドでは、薬草を用いた伝統医療が盛んな一方で、西洋医学も主流です。
近年、製薬会社は、その薬草を使った医薬品の開発を行っており、現地住民がその薬草を使用できなくなることも懸念されています。
そうした事態を防ぐために行われているのが、知的所有権という西洋的な枠組みで、現地住民の伝統医療に対する権利を保証する動き。
そうしたことを背景に、知的所有権という概念は普遍的なのか、知識の所有とは何かということを考察しました。
私たちにとっては、知識の使用に対しては、対価を支払うことが当たり前です。
インドでは知識を提供することが慈悲と結びつく形で捉えられていました。知識の提供は他者への貢献であり、未来に責任を持つという考えです。
2019年、インドで10年間研究してきた、知識の所有についての新しい視点を書籍にまとめて出版しました。
8年の西日本豪雨で被害を受けた河内町には、留学生たちと一緒に、文化人類学の授業の一環で定期的に訪問。
地域の人たちと交流しながら、地域ならではの復興の知恵について調べています。
留学生が驚いているのは、高齢者同士が助け合いながら、それぞれ役割分担をしてアクティブに活動していることです。
災害に遭ったときには、高齢者は弱い存在になるという、彼らが当たり前のように思っていたことは、覆されています。
インドでは、自然も人間社会の一員であるという考えが出てきており、例えば、ガンジス川に法人格を認める訴訟も起こっています。
ガンジス川の話は、生態学や法哲学など異分野の学問ともつながります。
異分野の研究者と共同研究をしながら、人間社会と自然との関係について、新しい視点を導き出したい、と思っています。
※プレスネット2021年3月25日号より掲載
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2021年2月20日
【広島大学の若手研究者】植物の形づくりの謎を遺伝子の働きから解き明かす
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大大学院統合生命科学研究科 助教
田中 若奈 さん
研究テーマは「植物の発生遺伝学」
受精卵から成熟した個体になるまでの一連の過程を研究する学問を発生学といいます。
私の研究は、遺伝子の働きから植物の発生現象を理解していこうというものです。
研究材料としてイネを使っていますが、それは、イネが遺伝子の研究に向いているためというだけではなく、将来、品種改良などの応用研究にも活かすことを期待しているためです。
イネの花や葉の形成には、どのような遺伝子が働いて、つくられているのか。
それらの形がどういうふうにしてできていくのか。平たく言えば、そういったことを研究しています。
イネの穂や花の形が変化する突然変異体を使って研究を進めてきました。突然変異体とはある遺伝子の働きが壊れた個体のことをいいますので、突然変異体を詳しく調べたり観察することによって、原因となる遺伝子の役割を明らかにすることができます。
私がTONGARI-BOUSHI(トンガリボウシ)と名付けた3つの遺伝子の働きを明らかにするために、それら遺伝子の突然変異体をよく調べ観察しました。
その突然変異体の穂には、花が全く形成されなくなり、枝のみになってしまうことが判明しました。お米はイネの花からつくられます。
この研究によって、TONGARI-BOUSHI遺伝子は、正常なイネの穂をつくるために、最終的にはお米をつくるために、非常に重要な役割を果たしていることがわかったのです。
もともと、生物の生命活動を担う遺伝子に興味があり、大学院に進学する際に、どういう材料で遺伝学を研究するか考えました。
植物の発生学は、動物の発生学と比べると、あまり理解が進んでいなかったため、研究をする余地があるのかな、と植物の分野を選択しました。
ちょうど大学院に進学した2007年は、イネの全ゲノムDNAの配列が解読された比較的直後。遺伝子の研究で、全ゲノム配列の解読は重要です。
研究が大きく発展していく見込みを感じ、イネを研究材料に選びました。
常に向上心を持って難しいことにチャレンジしていくと同時に、楽しみながら、多くの人に関心・興味をもってもらえるような研究を行いたいと思っています。
研究者として、レベルの高い研究を目指すことは大切ですし、楽しみながら追究することで思いがけない面白い成果にたどり着くことがあります。
これまでは基礎的な研究に終始してきました。まだまだ未解明なところもあり、さらに深く突き詰めたい一方で、イネの品種改良や、生産性の向上につながるような応用研究にも挑戦したいと思っています。
研究室の学生と、顕微鏡を使ってイネの微細構造を観察する様子
品種改良では、地球の温暖化や異常気象に伴い、耐性のあるイネの品種をつくることは重要です。イネの形づくりをコントロールしながら、新しいイネの品種を開発できないものか、と思いをはせています。
※プレスネット2021年2月25日号より掲載
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2021年1月26日
【広島大学の若手研究者】コロナ禍で問われる学生支援の可能性
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学高等教育研究開発センター助教
教育学習支援センター(協力教員)
蝶 慎一 さん
研究テーマは高等教育における「学生支援」
大学を中心とした教授・学生支援についての調査研究をしています。学生支援は、学生が充実した学生生活を営むために必要な活動・サポートです。
最近は、大学教育におけるアドバイジングの活動や学寮の取り組みを歴史や国際比較の視点で調べています。
自分自身の学生時代の原体験が、この研究を始める出発点になりました。
大学2年時から大学院まで民間財団から給付型の奨学金をいただくことになり、本当にありがたく思い、そもそも「学生支援」とは何だろう、研究してみたいな、と強く考えるようになりました。
博士論文の研究テーマは、戦後日本の学生支援の歴史です。戦後の高等教育制度はアメリカの大学をモデルとし、ポイントになったのが「全人教育」という理念です。つまり、大学は学問を修得するだけではなく、人間としてどう生きていくのかを学ぶことも重要であると位置づけられました。
資料調査行ったアメリカ・ユタ州の大学
研究に際しては、実際に欧米やアジア太平洋地域の大学での調査や研究発表も行っています。
学生支援を研究しようと思うと、大学教育の現場や政策動向を知っていないとできません。どのような学びやそれをサポートする取り組みがあればよいのか。
昨年4月から広島大学に設置された教育学習支援センターで協力教員として勤務しており、教育・学習支援に関わる実践的な活動も行っています。
教育学習支援センター主催の懇話会イベント(左から2番目が蝶さん)
昨年からのコロナ禍においてオンライン授業が増加し、あらためて学生の学びや心理的サポートをどのように保障していくのかが問われています。
これは、国内外の大学で学生支援の取り組みが共通に置かれている課題であり、学修者本位の調査研究が求められていると思っています。
何らかの物質を開発するような研究であれば、その成果は不変的なものかもしれません。
しかし、高等教育の調査研究は、個別的な要素が強い面があり、ある大学でうまくいったから、他大学でもうまくいくとは限りません。
各大学の歴史・背景をはじめ、学生・教職員の構成、学修環境も異なるからです。ここに高等教育の分野の研究の難しさと新たな可能性があると感じています。
学生支援をテーマにしたアカデミックな研究者は多くはなく、この分野の研究をもっと深めるつもりです。
私の目指す研究は、研究者自身が、基礎的な研究と実践活動を往還するロールモデルになり得ることです。
地道な基礎的研究が、大学での実践につながるような研究者を目指したい、と思っています。
※プレスネット2021年1月28日号に加筆修正
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2020年12月28日
【広島大学の若手研究者】ブラックホール撮影チームの一員 膨大なデータから画像を復元
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大宇宙科学センター 特任助教
笹田 真人 さん
専門は可視光天文学。ジェットの観測を研究
ブラックホールは大変強い重力を持つ天体で、今回は地球から約5500万光年離れたM87銀河の中心にあるブラックホールを観測しました。
観測チームには、世界から200人以上の研究者が加わり、僕が担ったのは簡単に言うと、膨大なデータから画像を復元するソフトウエアの開発。
観測には、複数の電波望遠鏡をつないで、疑似的に地球規模の望遠鏡をつくり、それぞれの観測データを合成する電波干渉計技術が用いられました。
電波干渉計観測では、カメラのように実画像にするのが難しく、取得データから画像を復元しました。
昔からブラックホールの輪郭のシミュレーションがされており、今回、観測されたようなリングは見えるだろうと予想していましたが、実は予想通りの画像だったことにびっくりしました。
撮影に成功したブラックホールの輪郭 ©EHT Collaboration
予想外のことが起きるのが宇宙の研究で、予想外のことは起きてしかりだと思っていましたから。
EHTの観測によってブラックホールについて新たな知見が得られています。
M87の中心ブラックホールに輪郭があることがわかったことで、過去のデータから輪郭構造の時間的変化を調べられ、8年の間で輪郭の構造が変化していることがわかってきました。
さらには私たちの太陽系を含む天の川銀河の中心にも巨大なブラックホールが存在しており、この最も近い銀河中心ブラックホールの輪郭を捉えようとEHTでは現在精力的に研究を進めています。
広島大大学院に進学してからは、広島大宇宙科学センターが西条町下三永に設置している1.5mかなた望遠鏡を使って、目に見える可視光でブラックホールの周辺から噴き出す高温ガス「ジェット」の研究を続けてきました。
広島大宇宙科学センターの1.5mかなた望遠鏡
可視光ではジェットを確認できましたが、今回の電波の画像では、残念ながらジェットを見ることはかないませんでした。
今後の研究で、可視光と電波、さらにはX線やガンマ線といった幅広い波長の光をつなぎ合わせながら、ジェットの謎に迫りたいと思っています。
宇宙は人間の想像を超えています。前述したように、人間の予想と一致しても驚きだし、予想とは違う観測データが得られるのも驚きます。その兼ね合いの面白さが研究の醍醐味です。
もう一つは宇宙には星の数ほど謎があり、何か一つの天体を詳細に研究すると、分からないことが見えてくることです。
地球と一番近い恒星の太陽ですら謎だらけです。
※プレスネット2019年5月30日号に加筆修正
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2020年11月25日
【広島大学の若手研究者】ゲノムに残された爪痕から進化の歴史を解き明かす
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学ゲノム編集イノベーションセンター助教
下出 紗弓 さん
研究テーマは内在性レトロウイルス
新型コロナウイルスのように、ウイルスには悪者のイメージがつきまといます。
しかし、地球上には多くのウイルスが存在し、生物の進化にも貢献するものもあります。
そのことを知り、ウイルスに対する世界観が変わったことが進化にかかわるウイルス研究のきっかけでした。
ウイルスが増殖するためには宿主細胞に侵入し、宿主細胞のシステムを利用しなければなりません。
なかでもレトロウイルスは自身の遺伝情報を宿主細胞のゲノム(設計図)に忍ばせることができる特殊なウイルス。
ごくまれにですが、レトロウイルスが宿主の生殖細胞に入り込み、いつのまにか宿主の設計図の一部として子孫へと伝わっていくことがあります。
宿主の設計図の内部に存在することから「内在性レトロウイルス」と呼ばれ、一般的に活性化しない無害なウイルスです。
イエネコは約1万年前に中東で家畜化されたと言われています。
しかし、その後どのように世界各地を移動し、各品種が作られたのか詳細は分かっていません。
内在性レトロウイルスは、いつのまにか我々の中に入り込み子孫へと伝わるという特徴を持っています。
そこで、イエネコが家畜化され、世界各地に拡がるなかで、どの段階でどんなウイルスが入り込んだのかを調べることで、イエネコの移動歴を明らかにすることにしました。
さまざまな品種のネコのゲノムDNAを調べた結果、すべてのイエネコがRDRSC2aというウイルスを保有しており、すべてのイエネコの祖先は同じということが分かりました。
さらに調べると、欧米のネコの約半数は、RDRSC2aに加えて別のレトロウイルスを保有していましたが、アジアでは約4%のみでした。
こうしたことから中東で家畜化されたイエネコのうち、欧米へと向かったもののみにRDRSC2aとは別のレトロウイルスが新たに入り込んでいることが分かりました。
ゲノムを調べることで何百万年も前の進化の歴史が分かります。
身近なネコが進化の歴史の痕跡と共に生きていると思うと、ロマンを感じますね。
研究の世界では、思いがけず世界中の誰も知らない事実を発見することがあります。その瞬間は何にも代えることができません。
心掛けているのは、常に楽しさを忘れず広い視野でものごとをみることです。
すべてのイエネコが保有するRDRSC2aですが、トラなどの大きなネコ科動物は保有していないことが分かりました。
内在性レトロウイルスのなかには、宿主の姿を変化させ、進化に貢献してきたものもあります。
今回発見したRDRSC2aが、イエネコ特有の猫なで声やおとなしい性格など、家畜化されるうえで利点となった特徴にかかわっているのか、今研究しているところです。
※プレスネット2020年11月26日号より掲載
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2020年11月23日
【体験談】学部1年生で研究室訪問ってアリ?アポ取りの仕方と当日の流れを解説!
初めまして、GAKUPOTA広大1年生ライターよねです!
今回は私が大学に入って魅力を感じた「大学教授にアポを取って話を聞くメリット」についてお話しします!
今回この記事を読んだ後に是非とも実践してみてください!
「まず何のために大学教授に話を聞くのか」が決まっていないと話を聞こうとも思えませんね。
確かに誰かに進められたり、この先生の授業面白いと言った「きっかけ」がないと動き出せないと思うのが普通です。
ですが、私自身がそれまでに話したことのない教授のもとを訪れてみて思ったことは、そうではありませんでした。
というのも、私にとって大学教授のもとを訪れる一番の理由は「なぜ」「どうやって」という興味を持つ機会を作るためだからです。
え?どういうこと?
より具体的に言い換えると、自分が経験するには莫大な時間がかかってしまう事について、「自分達よりもそれぞれの分野を知り尽くしている大学教授達」から話を聞くことで短時間で体感でき、自分の興味の幅を広げられるということです。
ですから、私自信「今まで漠然と興味があったもののその分野のどこに魅力を見出したらよいのか分からないもの」に出会ったときに大学教授のもとを訪れていました!
私の場合は、
「自分の将来したい研究の難易度を現研究者に聞かせてもらうこと」
「自分の興味がある大学発ベンチャーのための仕組みを知ること」
を目的にお話をお聞きしに行きました。
私の場合は少し独特ですが、皆さん自身の興味から外れないものを研究している先生のもとを訪れていただければ楽しみを見つけることが出来ると思います。
3、4年生の場合は、卒論のテーマを決める際に、自分の研究室だけでなく興味のある分野について他の研究室の教授方とお話することで有益な情報が得られると思います!
教授陣は学生が思っているよりも積極的に相談を受け付けてくれます。
私自身、失礼ながら大学に入学する前は「大学教授は人間味が無くて自分の研究以外は興味ない生き物」だと思っていました(笑)
しかしその予想は全く違いました。
自分の研究を一番だと思っていることにはあながち間違いとは言えないのですが、その研究を気に入っているがゆえに周りの人に面白さを伝えたくてうずうずしている、そんな可愛い一面も持っていて人間味に溢れているのだなと感じました。
また、学部1年生だと高学年の学生よりもさらに喜んで受けていただける事が多いように感じます。
それは「新入生の意欲がメールからも感じられること」や「早くから自分の研究に興味を持ってくれる学生が存在することは大学教授にとって嬉しいから」だと考えられます。
少し本題とは逸れますが、大学教授の人間性については、東京大学の物理学専攻教授である長谷川 修司先生が「研究者としてうまくやっていくには 組織の力を研究に活かす」で紹介しています。
私は物理学関連の研究者ですが、物理学の分野に限らず「研究者」というと、だいたい次のようなイメージを一般の人はお持ちではないでしょうか。(中略)
研究者は、研究室や実験室に閉じこもってひとり黙々と研究に没頭し、自分の専門分野のことは世界一良く知っているが、世間一般の事情にはまったく疎く、世間話などしないし興味もない。理屈っぽく、筋が通らなければほんのささいなことでも嚙みついてくるような、バランスの悪い人間。(中略)
こういったイメージは、実のところ、大きく外れています。(中略)
本書は、こうした誤解を解いて、高校生や大学生、大学院生のみなさんに、怖がらずに安心して研究者を目指してもらいたいという思いをこめて書いています。
研究者としてうまくやっていくには 組織の力を研究に活かす (ブルーバックス)
研究者を目指す学生だけでなく、大学教授と良い関係性を築いていく為に参考になる書籍です。ぜひとも読んでみてください。
私はメールで数件のやりとりを交わしてアポを取りました。
注意点なのですが、メールを送るときは必ず大学のメールアドレスで行いましょう!
個人のメールアドレスは失礼に当たるので注意してください!
授業を取っている先生であればTeams等でも良いかもしれませんね。
ともかく電話をする必要はないので比較的気軽に行動できると思います!
でもさ、そもそも先生のメアドを知らないんだけど、、
そんな時は「広島大学 ~先生」という風にネットで検索をかけ、出てくる広島大学メール(〜@hiroshima-u.ac.jp)にメールしてみてください!
すると「広島大学 研究者総覧」が出てくるので、そこにメールアドレスが書いてあります!
↓越智学長の場合↓
それでも見つからない場合はチューターの先生に相談してみると良いですね!
授業を受けているならば、「~先生の~という授業を受け、先生の~についての研究に興味を持ちました」など、初めてであれば長くなり過ぎない程度に自分の情報である「出身学部」「出身県」「将来の夢」などを書くと良いでしょう。
もしも皆さんが自身の趣味について話すとき、相手が初対面の場合は趣味について終始喋り通すことは難しいですよね?
あなたがどんな人(学生)なのかを伝えておくことが大事です。
まずお互いの共通の会話のネタがあってそこを深めてから本題に移るという過程を踏むはずです!なのでこちらからそのためのネタ提供をしておくと良いですよ~というアドバイスでした!
当日は教授と約束した時間に余裕を持ってその場に着くように準備しましょう!
なお研究室に行くので、教授がいきなりその日に忙しくなったり、生徒の指導にあたっている最中であったりすることがあるので、そういう待ち時間がある事も考慮して隙間時間に行えるものを携えていくのもコツかもしれません。
実際私がある研究室にお邪魔したときは教授が学生ににダメ出し(ご指導)をしていたのでおどおどしていたのも思い出です(笑)
他にも定刻よりも早く会議が始まってしまって予想だにしない遅刻をしてしまったことも、、
ともかく定刻に遅れないように行けばウェルカムに受け入れてくれるので安心して行ってきてください!
広島大学には私たちでも知っているテレビ番組に出演している先生もおられます。
例えば…
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」にご出演なさっている、「スヌーピー先生」こと「杉浦義典先生」は、これから私もお話を伺ってみたいと思っています。
きっかけは有名人の先生に会えるせっかくの機会だから行ってみようというのでも良いと思います!誠実に学ぼうという姿勢があれば、興味の視野が広がる機会になるでしょう。やはり気軽に行ってみるのが良きです!
また「どんなことを研究している先生がいるのかな?」と思う場合は、広島大学のホームページで先生方のインタビューを読むと参考になります。
・「グローバルキャリアデザインセンター若手研究人材養成」→「先生の流儀」
・HU-plus
・研究者インタビュー「研究NOW」
他にもこのGAKUPOTAでもたくさんの先生の研究を紹介していますよ!!
記事だけではもの足りないと思った時にはアポを取って先生方のお話を直接に伺っているかもしれませんし!その状況になれば占めたものです!
過去の記事にない面白い先生方にどんどんアプローチしていってください!私も負けじと色々な先生方のお話を聞いていこうと思います!
今は研究に興味が無いと思っている人も、考えが変わるきっかけがあるかもしれません!
新しい発見のためにも少し腰を浮かせて進んでみましょう!
この記事によって皆さんの背中を押すことが出来たならばこの上ない喜びです!
これからの皆様のも、もちろん自分自身にも期待しています!
また次の記事でお会いしましょう! さようなら~
〜〜〜オススメ記事!〜〜〜
2020年10月27日
【広島大学の若手研究者】人の感性に基づいたモノづくり
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院先進理工系科学研究科助教
木下 拓矢 さん
センサー技術が発達した現代では、モノを動かすための、機械の電流・電圧の運転情報から原料投入量まで、あらゆる膨大なデータが瞬時に収集可能になりました。
そのデータベースを基盤に、効率よくモノを動かすためには、どのようにデータを抽出して、どう処理すればいいのか。
昔ながらの人の熟練技術に頼るのではなく、デジタルで超情報化社会に合わせた、新しい制御(コントロール)のためのアルゴリズム(数式処理の手順)を導入することで、機械の立ち上げ時間の短縮や、人に依存しない製造システムの構築などを実現する研究に取り組んでいます。
少しかみくだいて説明すると、お好み焼きを焼く鉄板温度は、時間をかければ熟練者の技術で100度にすることができます。その温度を制御アルゴリズムで短時間に100度にしようということです。
近年、取り組んでいる研究です。これまでのモノづくりは、経済性を重視した結果、モノはあふれてストレスが生じる社会となっていました。
例えば、思い通りに車を操作できないなどです。感性を可視化して、モノが人の心を考える製品をつくりましょう、という研究です。
実用化を目指し、数社の企業と共同研究に取り組んでいます。
コベルコ建機(本社・広島県)さまとは、人の感性を踏まえた油圧ショベルの研究を進めています。
機体の扱いに慣れている人とそうでない人で受けるストレスが変わってきます。
つまり慣れている人は、動きが遅いと感じるでしょうし、初心者であれば怖いという感情が先立つでしょう。
広島大学では、医工連携をし、医学部が開発した脳波計を用いて感性を検知し、速度の制御アルゴリズムを導入して、その人に適した速度に自動調整される新型機の開発を目指しています。
モノに付加価値を与えるデジタル分野だということでしょう。例えば10年前の車と今の車で何が違うのか。
動くこと自体は変わりませんが、制御の導入で走行性能・燃費効率の向上に貢献しています。まさに制御は縁の下の力持ちです。
数式処理の手順を一つ変えることで、モノの動きが全く別になる。制御の醍醐味ですね。
研究者には論文で理論を構築していくことは大切ですが、私自身は研究が目に見える形で実用化されていくことにやりがいを感じています。
今、さまざまな企業と連携させてもらっていますが、今後も企業との連携を深め、さまざまな製品の開発をお手伝いできたらな、と考えています。
もう一つ、制御の魅力を伝え、認知度を高めることも役割かなと。制御の本質を知っている人は少ないのが現状です。多種多様な分野に応用できるのが制御の面白さ。
「考え続けること」を心に留めながら、社会に還元できる研究を続けたいと願っています。
※プレスネット2020年10月29日号より掲載
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2020年9月27日
【広島大学の若手研究者】電子工学分野の次世代技術
広島大学の若手研究者に着目し、その研究内容についてインタビューしました!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大放射光科学研究センター助教
宮本幸治さん
研究テーマは「電子が持つ電荷とスピンの解析」
スピントロニクスは電子が持つ電荷とスピン(自転)の両方の特性を電子工学の分野に応用した次世代技術のことをいいます。
スピントロニクスは、電荷とスピンの両方を一緒に制御することで、ハードディスクとメモリー双方の良いところを利用した、省エネルギーのキーテクノロジー創出への貢献が期待されています。
換言すれば、スピントロ二クスが普及すれば、今のスーパーコンピューターが、個人用パソコンのレベルまで落とし込めるようになるということです。
僕の研究は、そのスピンをキーワードにした内容です。絶縁体は見方を変えると2種類に分類されます。
電気を通さない絶縁体と、トポロジカル絶縁体のように、内部は絶 縁体ながらも表面は金属状態にある特殊な絶縁体です。
トポロジカル絶縁体は、磁力の源となるスピンをそろえ、表面電子が超高速で運動していると言われていましたが、性質の詳細は未解明で、その性質を実際に実験で観測することができました。
つまり、トポロジカル絶縁体が、スピントロニクスの材料になりえることが証明できたのです。
僕一人では研究はできません。研究仲間との連携や家族の支えがあって、ここまで研究を続けてくることができました。チームプレーで受賞したものだと思っています。
広島大学には、国立大では唯一の放射光を扱う研究施設があったのと、せっかくならオリジナリティーの研究がやりたいという思いを持っていたのが、現在の研究にたどりつく大きなきっかけになりました。
研究は、電子とスピンの動きを可視化する装置をつくることから始まりました。装置づくりは試行錯誤の連続で、初号機は完成までに7年を要しました。
ですから装置ができて、ちゃんと計測できたときの達成感はひとしおですね。
余談ですが、放射光を使用してスピンを観測できる装置は、日本では広島大学にしかありません。
ただ、現在の装置では、スピンの測定は、電子の測定に比べ100倍の時間を要します。研究効率が悪く、時間を10倍程度に短縮できる装置を開発するのが夢です。
研究は、未知な領域に踏み込みながら、自分のアプローチで実験データを読み取り、新しい結論を導き出していきます。その一連の考える作業が研究の醍醐味です。
※プレスネット2018年12月6日号より
2020年9月21日
【広島大学の若手研究者】40億年以上前の隕石衝突を発見!
広島大学の若手研究者に着目し、その研究内容についてインタビューしました!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大大学院先進理工系科学研究科助教
小池 みずほさんです。
研究テーマは地球惑星科学🌏
地球をはじめとする太陽系の惑星形成は45億年前までにほぼ完了しました。
その形成の初期の約44億~41億年前に、惑星には大量の隕石衝突の可能性があったことが、小惑星(ベスタ)から来た隕石の年代測定から分かりました。
従来は、誕生から6~7億年後の約39億年前に地球や月に大量の隕石が衝突したと推測されてきました(後期重爆撃説)。米国のアポロ計画で採取された「月の石」の年代測定などを基にしていました。
しかし、その時期に地球や他の惑星に隕石が衝突した証拠はなく、惑星軌道の計算結果などとの矛盾もあり、50年にわたり論争が続いていました。今回の発見は太陽系初期の歴史を書き直すことになるかもしれません。
地球で見つかった、火星と木星の間を回る直径約500kmのベスタから飛来したと思われる隕石を分析しました。隕石のリン酸塩化合物の中にわずかに含まれるウランが、時間の経過とともに壊れて鉛になっていく性質を利用。
微量元素を測る特殊な装置を用いて、ウランと鉛の存在比から100分の1mmの世界を解析、ベスタに隕石が衝突してからの時間を推定しました。
隕石は「宇宙からの手紙」ともいわれています。分析できたときは、見た目は何の変哲もない、ただの石ころが、45億年前の情報を残していることに感動しました。
左:研究に用いた隕石の写真
右:隕石の分析をした実験装置(東京大学大気海洋研究所の「ナノシムス」)
小さいときから宇宙が好きで、親にせがんでは天文台に連れて行ってもらっていました。
大学では、地球科学や宇宙物理を学びました。
その中で光の波長など遠い宇宙の観測よりも手元にモノがある、近い宇宙の世界を見詰めてみたい思いに駆られ、大学院から隕石の研究を始めました。
普通に生活をしていると、何十億年前とか何十億年先とかのことを考えることはないですよね。
でも、研究をしていると当たり前のように、その時代の世界を想像し、現実には見えない世界なのに、その時代にアプローチすることができます。
今回の研究の成果は、地球史とも大きく関係してきます。
地球に生命が誕生したのは39億年よりも前ですが、その時代に後期重爆撃説が正しければ、地球最古の生き物は、大量の隕石のシャワーを振り払って生き延びないといけませんから、生き物が生き抜くには矛盾点も指摘されていました。
もし、隕石の衝突がさかのぼれれば、隕石衝突後の静かな時代に生命が誕生したことになりますから、その問題をクリアすることができます。
ただ、あくまでベスタの隕石からの分析。
仮説を立証していくためには、もっと多くの惑星や小惑星を調べる必要があります。
研究を深めながら、いずれは太陽系の惑星の誕生と進化を調べていきたいと思っています。
プレスネット2020年9月24日号より掲載
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2020年8月27日
【広島大学の若手研究者】研究成果、スポーツ現場に反映を
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院人間社会科学研究科 助教
柳岡 拓磨 さん
研究テーマはスポーツ科学
ヒトが運動を行う際には、適切な体温が存在します。体温が過度に上昇・低下した状態でスポーツを行うと、選手のパフォーマンスが低下するだけではなく、熱中症やスポーツ外傷のリスクが上昇します。
暑熱環境から寒冷環境下まで、選手の安全を確保し、選手が望むようなパフォーマンスを発揮できるようにするため、体温調節に着目して研究を進めています。
夏には、体温の過度な上昇を抑制する方法として、身体冷却(送風や保冷剤などを用いて身体外部から冷却を行う方法)と内部冷却(冷たい飲料を摂取し、身体内部から冷却する方法)があります。
人間社会科学研究科の長谷川教授に協力を得ながら、身体外部・内部冷却を組み合わせた実用的な暑さ対策を検討しています。
これまでの研究で、運動間の休息中(サッカーのハーフタイムを想定)に、クーリングベストの着用とアイススラリー(氷と飲料水が混合したシャーベット状の飲料)の摂取を行うことで、体温を低下させ、運動パフォーマンスを改善できることが分かりました。
ハーフタイムでの身体冷却の実践
実用性・効率性の高い暑さ対策を提案できたことは価値が高いと考えています。
冬には、筋肉の温度(筋温)の低下を抑制することが重要です。サッカーで例を挙げると、ハーフタイムの15分間で筋温は安静時とほぼ同程度まで減少し、後半開始後のパフォーマンスも著しく低下します。
ハーフタイム中に改めてウォーミングアップを行うこと(リウォームアップ)によって、この問題を解決できるか、検証を進めています。
スポーツ現場での実用を想定すると、最短の時間で最大の効果を得る方法を検討する必要があり、1分以内で効果の高い方法に着目しています。
体温調節には体格に基づく個人差があり、気温によって、体温が上がりやすい体格が異なります。
実験中の運動の様子
これからの研究では、気温・体格・身体冷却という3つのキーワードをもとに、熱中症のリスクが高い集団に対し、効果・実用性の高い暑さ対策を明らかにしていきます。
スポーツに携わる中で生まれてきた疑問や好奇心を解決していく道筋やその難しさが面白く、他の研究者と議論しながら、答えに辿り着けたときに研究の醍醐味を感じます。
世界のスポーツ界の常識は、日本のスポーツ界の非常識という状況がまだまだありますので、インパクトのある研究から、この問題の改善に貢献していきたいと思っています。
※プレスネット2020年8月27日号より掲載
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