GAKUPOTA 東広島学生ポータル ガクポタ

東広島の学生たちの「学び」「遊び」「働く」を
サポートする学生ポータルサイト
        

東広島デジタル

©2020 Higashi-hiroshima Gakupota
ホーム > 【広島大学の若手研究者】半導体の新材料を探索

【広島大学の若手研究者】半導体の新材料を探索

2019年10月24日

【広島大学の若手研究者】半導体の新材料を探索

広島大学の若手研究者に着目し、その研究内容についてインタビューしました!🎤

今回お話を聞いたのは
先端物質科学研究科助教
富永依里子さん(とみなが よりこ)さんです!

若手研究者_富永依里子_1

実験装置の前で研究への思いを語る富永さん

研究テーマは「半導体結晶の可能性」

研究の最終目的を常に見据えて半導体の新材料を探索❄

 半導体は、現代の私たちの生活を支える重要な電子部品のほぼ全てに使われていると言っても過言ではありません。

その半導体には、高品質の素材が求められるため、さまざまな種類の半導体結晶を作製し、その可能性について研究を重ねています。

特に半導体に広く使われている「ガリウムヒ素」系の化合物について、学部生のときから取り組んできました。

若手研究者_富永依里子_2

ガリウムヒ素系材料の結晶模型

 追究してきたのは、光通信用の新しい半導体レーザ用材料・ガリウムヒ素ビスマスです。ビスマスは、原子半径が大きく、結晶にひずみを来すことから、多くの研究者はこの材料を敬遠してきました。

半導体の分野では、半導体基板を素地にして半導体結晶を作っていきます。

結晶を作る際には、半導体基板と、作りたい半導体の格子定数(原子が作る結晶構造の辺の長さ)がそろっているほど、高品質な結晶が作製できます。格子定数がそろっていないと、ひずみができて品質の悪い結晶になります。

 このため、学生時代の所属研究室では、格子定数に原子半径の小さい窒素を加えることで、半導体基板と格子定数をそろえていました。しかし、窒素を結晶に加えると、結晶の発光強度が下がり、レーザ動作ができない欠点がありました。

 私は発光に焦点を絞り、結晶にひずみが生じてもいいので、窒素を入れずに、ガリウムヒ素基板上に、ガリウムヒ素ビスマスの結晶を作製、レーザ動作させる実験を繰り返してきました。

ガリウムヒ素ビスマスの結晶品質が、他の半導体結晶と比較しても劣っておらず、工夫をすれば絶対にレーザ動作できると信じていたからです。実験を通して、レーザ動作が確認できたときの感動は忘れられません。

 

 レーザ用新材料としての可能性が認められ、何よりうれしかったのは、国内外の先生方から学会で「面白い研究だと声を掛けていただいたことです。

 当時は26歳。若かったことで、窒素を加えるものという固定観念にとらわれなかったことが功を奏したのだと思っています。

 

 10歳のとき、「地球が1cm太陽に近くても遠くても、私たちは誕生していない」と書かれた本を読み、漠然と地球を守る仕事に就きたい、と思いました。

 高校の物理の授業で、半導体や室温超伝導材料のことを知り、電子材料分野の研究者になれば、地球温暖化を防止する太陽光発電システムを作ることができるのだな、と思うようになりました
 10歳のころに描いた夢がつながり、電気電子系の大学学部に進学、現在に至っています。

 

 今の立ち位置は、研究を通して、学生に教育することも大切な仕事です。
研究者を目指す学生には、常にゴールを見据えて実験に邁進することを伝えたいですね。

研究には「生みの苦しみ」が伴います。明確なモチベーションとビジョンを持っていれば、「つらいな」という思いも乗り越えることができるからです。

 広島大学に赴任して7年目を迎えます。これまでは、きれいな結晶を作ることに主眼を置いてきましたが、 現在は意図的に原子配列を乱すことに力点を置いて研究 に取り組んでいます。

 テラヘルツ波という電磁波を発生させたり、検出したりするための素子用の半導体を結晶特性の観点から見た研究を行っています。テラヘルツ波は新しいセンシング技術などさまざまな分野への応用が期待されています。

 究極の夢は、トランジスタやレーザ、結晶成長など半導体分野の世界的な研究者が集い、新しいものを生み出す世界規模の拠点を作ることです。

そのメッカが広島大学にできたら最高ですね✨

PROFILE
富永依里子(とみなが よりこ)さん
2012年3月、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士課程後期修了。博士(工学)取得。
2012年4月、広島大学大学院先端物質科学研究科研究員。
2012年8月、同研究科助教。
2018年4月、科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。

※プレスネット2018年5月31日号より掲載

若手研究者シリーズはコチラ

> 続きを読む

2019年10月24日

学食LUNCH!🍛

突然ですが学生の皆さん!お昼ご飯や夜ご飯はどうしていますか?

コンビニ弁当や、近くのお店ですませていないですか?

そんなあなたにオススメなのは「学食」
「学食」のほとんどはワンコインで買えて、ボリュームもたっぷり!むしろ食べないなんて損です!

そんな各大学の食堂や、人気メニューを一気にご紹介しちゃいます!😋

※いずれの学食も休暇期間中や行事などにより、休業や短縮営業となる場合があります 
※価格は税込み

 

広島大学 西2食堂

オリジナル定食を作ろう

 東広島市鏡山の広島大学東広島キャンパスには、5カ所の食堂があり、ほぼ同じメニューを販売しています。

 ご飯、汁、メイン料理、小鉢、そしてデザートまで幅広いメニューを準備。欲しいものをトレーに載せてオリジナル定食の出来上がり♪毎日違った組み合わせが食べられるので飽きとは無縁!

レシートにはトータルの塩分量やカロリーも記載されているのがうれしいですね😊

 

 

広島大学食堂 人気BEST3!

揚げたて衣にさっぱりポン酢、大根おろしをトッピングした鶏ポン。

甘酢ダレとタルタルソースとのコラボが絶品なチキン南蛮。

カリッと揚がったジューシーな鶏もも肉に甘辛ソースのチキン竜田甘辛ソース。

がランクイン!どれも300円前後のお値段がとってもうれしい

 

※メニューは週替わりのため、ない週もあるので注意!

 

オリジナル定食を作ろう【広島大学西2食堂】

 

INFORMATION 【場所】広島大学西2福利会館2階
【営業】月~金曜日 8:00~19:00
    土曜日  11:00~14:00  (隔週で営業)
◎混雑する11時30分~13時を避けるとスムーズ

 

近畿大学工学部 食堂

ボリューム満点 移動販売車も

 東広島市高屋うめの辺の近畿大学工学部は男子学生が9割で、食堂のメニューもボリューム満点。定食は、ガッツ、日替わり、おふくろの3種類。入り口のモニターに映し出される内容を確認して、食券を購入して入ります。

 不定期で構内にやってくる移動販売車(フードトラック)では、ホットサンド、焼き鳥、シュークリームなどを販売。珍しいものを見るとついつい食べたくなっちゃいますね…🤤

フードトラックは10時30分~15時の間営業しています♪

 

近畿大学工学部食堂 人気BEST3!

カレーの大盛りに日替わりトッピングをのせた「シェフカレー」は竜田揚げの日が大人気!特製のタルタルソース付きでボリューム満点🍛

家庭の温かみのある食事をテーマにしたおふくろ定食は週に2回メニュー変更。その中の一つ、肉じゃがは高評価。

トッピングが盛りだくさんのびっくりうどんは見た目もボリュームもびっくり😲

これならしっかりと食べれて、れ午後からの授業も乗り切れますね!

 

ボリューム満点◎移動販売車も【近畿大学工学部食堂】

 

INFORMATION

【場所】近畿大学工学部 B館1階「学生食堂」
【営業】月~金曜日 9:00~19:00
    土曜日   9:00~15:00
◎混雑する12時~13時を避けるとスムーズ

 

広島国際大学 レストラン龍王

がっつり系のメニューが豊富

 東広島市黒瀬学園台の広島国際大学東広島キャンパス内には「レストラン龍王」と「レストラン野呂」があり、野呂はラーメンなどの中華と量り売りのブッフェ。

 今回取材した龍王は、定食がお得。メニューは男子が好きそうなガッツリメニューが多いですね。レストランのある1号館には救命救急士を目指す専攻があり、体力を使う授業が多いためそういうメニューが人気だそう💪

 急いでいる人、外で食べたい人向けに弁当の販売もあるそうです。こちらも日替わり。

 

 

レストラン龍王 人気BEST3!

 全て日替定食(450円)の中のメニュー。安くてボリュームのある定食が人気のようです!

ポン酢に付けて食べる唐揚げ「鶏ポン」はさっぱり食べられるので大人気。鶏ポンが日替わりのメニューだと、喜ぶ学生が多いそう😋

 

がっつり系のメニューが豊富【広島国際大学レストラン龍王】

 

INFORMATION

【場所】広島国際大学1号館1階
【営業】月~土曜日 8:20~9:30 11:00~13:30
    月~金曜日 16:00~18:45
◎混雑する12時10分~13時を避けるとスムーズ

様々な大学の学食。ボリュームも安さもバッチリ!ぜひ皆さんも食堂へ足を運んでみては?

 

※プレスネット2019年10月24日号より掲載

 


\オススメ記事/

> 続きを読む

2019年10月10日

【東広島の企業】転倒対策の日用品開発に力「㈱コーポレーションパールスター」

東広島で就職ってどこですればいいの?そもそも東広島に就職できるところってあるの?
そんな学生の皆さんへ東広島の企業を紹介!

今回紹介する東広島の企業は
転倒対策の日用品開発に力を入れている
「㈱コーポレーションパールスター」

㈱コーポレーションパールスターとは

2019年で創業104年目。超高齢社会の到来を視野に、転倒予防に目を向けた、装具&器具機能を備えた日用品の開発に力を入れる。
介護保険を使わない介護社会の実現へ―。
市が提唱するその思いを、安芸津町から商品にして発信する。

工場
商品を製造する工場の現場。商品を使った顧客から感謝の手紙が届くことが従業員の支えになっている

武器は顧客からの感謝の手紙

会社は1915年に創業。旧陸海軍の指定工場として軍足を製造した。戦後は一般靴下の製造を主に事業を営んでいたが、輸入品の興隆で売り上げが減少。そんな折、素材の良いテイジンテビロン系の糸に出合い、健康靴下を開発するきっかけをつかんだ。1992年、製造品のすべてを健康に特化した商品にすることに舵を切った。

2004年には、糖尿病患者のための「あぜ編み靴下」を開発した。凹凸状態に編むあぜ編みが、靴下に空気をため、温かさを持続。発汗作用で靴下が濡れ、足が冷えやすくなる糖尿病患者の悩みを解消した。新宅光男社長は「あぜ編み技術は、その後の会社の商品開発の基礎になった」と振り返る。

あぜ編みで培った技術力は、大学との共同研究として実を結んだ。06年には会社の看板商品となる「転倒予防靴下」を広島大の浦辺幸夫教授と共同開発した。室内での数ミリの段差が、つま先が上がりにくくなっている高齢者の室内転倒事故を招いていることに着目。足を上げるときにつま先が自然に上がる靴下を開発した。08年には、同じく転倒の原因となる外反母趾に対応する商品を開発した。

大学との共同研究は医療機器への参入を促すきっかけにもなった。「商品の効果を裏付けし、販路の拡大につながる」と14年に東広島市内の会社では初めてとなる医療機器製造販売業の許可を、6年がかりで得た。

会社に危機が訪れたのは15年。テイジンテビロンが生産中止となり、その糸を使った商品の受注が大幅に減ったからだ。年間の売上高はピーク時だった11年の3億2000万円から、16年には2億円を割るまでに落ち込んだ。

危機を救ったのは、超極細繊維のテイジンナノフロントとの出合いだった。高い吸水性と吸着性に優れた糸が新商品開発のヒントになった。病院での患者の転倒事故は、つまずきよりも、ベッドなどからの滑落に起因することが多いことを知り、18年、腰などに据えることで姿勢を良くして滑落を防ぐ「楽位置楽座」を開発した。蒸れがなく、皮膚への刺激が少ないことから、床ずれも防止した。

ナノフロントとの出合いで業績は徐々に回復、19年7月期の売上高は2億7800万円になった。新宅社長は「これまで転倒対策は靴下だけからの提案だったが、姿勢からも提案できるようになった。転倒対策分野の日用品メーカーのスペシャリストとして下地はできつつある」と力を込める。

新宅社長や従業員の心の支えになっているのは、商品を使った顧客から感謝の手紙が届くことだ。会社の大きな武器でもある、という。このため、商品を製造する工場の現場では、手を抜く仕事は厳禁だ。「商品の品質を落とすことは、お客さんへの裏切り行為になる」からだ。

新宅光男社長

大きな目標に掲げているのが、M&Aの対象となるような会社にしていくこと。「そうなれば継続的に事業を続けられる。転倒対策に特化した商品では他社の追随を許さない会社に育てたい」と新宅社長。技術力で社運を懸ける挑戦は、まだまだ続く。

コーポレーションパールスターの主な商品


転倒予防靴下(2006年開発)

転倒予防靴下

広島大大学院保健学研究科の浦辺幸夫教授と共同開発。

室内の絨毯の端や電気のコードなど、わずか0.5ミリ~3cmの段差が、加齢でつま先が上がりにくくなっている高齢者のつまずいての室内転倒事故を招いていることに着目。浦辺教授から足の構造を徹底的に学び、開発した。足を上げたときに足先が自然にその高さまで上がり、つまずきを回避する。

2007年、福祉機器コンテスト優秀賞受賞(日本リハビリテーション工学会主催)。東広島逸品認定第1号。


楽位置楽座(2018年開発)

楽位置楽座

超極細繊維を使用した、蒸れがなく、ずれのリスクがないすべり止め編地。病院内の患者の転倒事故ベッド、イス、車イスからの滑落事故対策に有効。


外反母趾対策靴下(2008年開発)

外反母趾対策靴下

広島大大学院保健学研究科の浦辺幸夫教授と共同開発。外反母趾は拇指(足の親指)の付け根の関節が第二趾の方に「くの字」に曲がった足の変形をいう。バランス機能の低下や歩行障害の原因となり転倒しやすくなる。その外反母趾に対応する商品で違和感のない継続着用を可能にした。


レッグサポーター(2015年開発)※医療機器

レッグサポーター

ふくらはぎを中心とした足に着用。髙い保温力とソフトなフィット力で血行を促進、むくみ防止を可能にした。2015年の熊本地震では、エコノミー症候群対策で2500セットを、東広島市社協を通じて寄贈した。

北里大心臓内科第2予防センター長の東條美奈子医師からは、心不全患者17人に継続着用したところ、むくみ対策の有効性が得られたことが検証された。


むくみ対策靴下(2014年開発)※医療機器

むくみ対策くつ下

東広島市産学官連携補助金事業で県立広島大保健学部の井上誠准教授と共同開発。
第二の心臓と呼ばれているふくらはぎの動きが、足先が上がる機能を持たせることで血行が良くなり活動的になることに着目。ソフトな締め付けでむくみ防止を実現した。足先が上がることで転倒対策にも有効。


【沿革】
1915年 新宅靴下工業として創業。旧陸海軍の指定監督工場に。
1944年 新宅莫大小工場として繊維問屋との取引を開始。
1978年 新宅悦雄氏が2代目代表に就任。
1980年 帝人グループの帝健と取引開始。健康靴下の製造開始。
1991年 法人化で現社名に変更。新宅悦雄氏が代表取締役社長就任。
1992年 製造品のすべてを健康関連の商品に特化、一般靴下の生産を廃止。
2005年 あぜ編み靴下がひろしまベンチャー大賞で銀賞受賞。
2007年 転倒予防靴下が福祉機器コンテストで優秀賞。
2014年 医療機器製造業と製造販売業を取得
2015年 創業100年。代表取締役に新宅光男氏が就任。

プレスネット2019年10月10日号より掲載

\東広島の凄い企業をまとめて紹介!/

 

> 続きを読む

2019年9月26日

【広島大学の若手研究者】情報の利用しやすさを切り口に研究

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは
広島大アクセシビリティセンター 助教
坂本 晶子 さん

坂本晶子

情報の利用しやすさを切り口に研究

もともとは物理

 学生時代や産業技術総合研究所の研究員時代は、液体など規則的に並んでいない不規則系の分子の性質を、計算機を使用する大規模シミュレーションで調べる研究を行っていました。

 研究員時代は水素をエネルギーとして活用する場合に、どこに貯蔵すれば、水素をうまくエネルギーとして引き出せるかを、計算機を使って可視化しながら研究をしてきました。

数式

計算で得られたデータの可視化プログラムを作成し、可視化を行う様子

アクセシビリティ

 2011年から現在の職場であるアクセシビリティセンターに所属しています。アクセシビリティとはアクセスしやすさ、利用しやすさ、分かりやすさなどといった意味がります。

 これまでの物理とは異なる分野の研究を行うきっかけになったのは、アクセシビリティという切り口を、科学として研究することが新鮮で興味を覚えたからです。

インターネット

 シミュレーションという、計算機を使用する研究をしていたことや、学生時代に情報セキュリティーに関わりを持ったこともあり、「情報」に関するアクセシビリティに興味を持ち研究を始めました。
 インターネットの普及で、情報量が増加する中で自分が求める情報にアクセスしやすくするにはどうすればいいのか。インターネットはサーバー上でつながる巨大なネットワークですが、その情報がどのように移動し、どのようにつながっているのか。この2点に絞って研究を続けてきました。

研究から見えたこと

 まだまだです。たくさんの情報から選んでいるつもりでも、一つのテーマをひたすらたどっていくと偏った情報にいきつくこともあります。
 言い換えればたくさんの情報を見ているようで、実はフラットではない細い情報にたどりつきます。

 一方で、たどるよりも、感覚的に検索して情報を探すことも手法としてはありです。正確な情報を得るためのポイントはあるはずなので、そこを模索しています。
アルゴリズム

 

学生の支援

 広島大学には、全学生に質の高い同一の教育を保障するという理念があります。障害などで不自由さのある学生に分かりやすく、実務的な情報を提供するためにはどうすればいいのか。システム開発など業務に関連した研究も増えそうです。

研究の醍醐味と難しさ

 さまざまな角度から見ることで、それまでとは異なる見方ができることが興味深いですね。一方で、予測がつかないことが研究の難しさです。
 これまで立てていた予測や考え方を、アクセシビリティという切り口で見たとき、違うものが見えてくることがある一方で、分からないことも出てきて、面白くもあり難しくもあります。
 インターネット上のアクセシビリティからの科学とは何か。そのことを突き詰めていくのがこれからの夢です。

PROFILE 1978年、広島県出身。
広島大総合科学部卒。広島大大学院生物圏科学研究科博士課程修了。
産業技術総合研究所研究員を経て2011年から広島大アクセシビリティセンター研究員。2017年から現職。

※プレスネット2019年9月26日号より掲載

過去の「広島大学の若手研究者」はコチラ

 

> 続きを読む

2019年8月8日

【東広島の企業】県内15店舗展開「西條商事株式会社」

東広島で就職ってどこですればいいの?そもそも東広島に就職できるところってあるの?
そんな学生の皆さんへ東広島の企業を紹介!

今回紹介する東広島の企業は
食品スーパーのショージを県内に15店舗展開する
「西條商事株式会社」

西條商事株式会社とは?

ショージ外観

トマトのマークが目印の食品スーパーマーケットを県内で店舗展開。店舗はショージの愛称で市民に親しまれている。

「地域密着」「良質安価」をモットーにした、新鮮な生鮮食料品が買い物客の人気を集める。

スーパーは東広島市や広島市、三原市などで15店舗を展開。うち東広島には10店舗を構える。「本物のおいしさ」「安心・安全」「地産地消」「健康」の4つをコンセプトにした商品をそろえているのが大きな特長だ。

東広島に軸足 旬や素材にこだわり

うまいの

店内には、産直野菜コーナーを設け、東広島と近郊の農家が地場野菜を直接納品している他、農事組合法人などと直接取引を行い、旬の農産物を安価で販売している。

魚に目を向けると、売場には一匹丸々の、いわゆる丸魚の多さが目に付く。

魚

「他のスーパーと比べると、丸魚の数は圧倒的に多い」と蔵田亮常務。いろいろな種類の魚を目で選べる楽しさが、買い物客の人気を集めている、という。

蔵田常務は「地元に軸足を据えた商品構成と、旬・素材・価格はショージの生命線」と力を込める。

ショージ昔

創業は1951年。卸問屋が出発点で、蔵田常務の曽祖父の故求さんが賀茂郡(現東広島市)の小売店を対象に日用品の卸売りを始めた。小売店への展開は2年後の53年。
地域の要望に応える形で、卸売業の傍ら、西条本町(旧西条町本町)に小売部の「主婦の店」を出店した。63年、西条岡町(旧西条町岡町)に2号店を、68年、八本松町磯松に3号店をオープンし、店舗名を現在のショージに改めた。

70年代に入ると多店舗展開を打ち出し、東広島市内を中心に次々と出店攻勢をかけ、ショージの知名度を上げていった。
平成の時代には、衣料品専門店のカレンズや、業務用食品を扱う食品スーパーの開店につなげた。さらなる飛躍を図るため、卸部門を廃止、小売り一本に集中する体制を整えた。

とくしまる3

近年は、ショージの商品を軽トラックに載せ、週2回、顧客を回って販売する移動スーパー「とくし丸」を始めた。高齢などに伴い日常的な買い物が困難になっている、ショージの昔からの顧客を支援するためだ。
現在は西条地区と高屋地区で2台を走らせる。将来は各店舗からとくし丸を走らせる計画だ。
蔵田常務は「主婦の店時代から支えていただいた人たちのお陰で、ショージは地域のブランド店へと成長できた。お年寄りの人にとっては、安心して買い物ができることが一番。その人たちに恩返しするのは使命」と移動スーパーへの思いを口にする。

とくしまる

2018年9月期の売上高は約130億円。10年前は140億円の売上高を誇ったが、東広島市内に中堅スーパーの出店が相次いだ影響もあり、近年は130億円前後で推移する。「取り巻く環境は厳しいが、質の高い売上高150億円を目標にしていきたい」と蔵田常務は言い切る。

他社との競争に勝つ戦略で重要視しているのは、店舗の拡大よりも、質の良い店づくりだ。総菜や、健康に配慮した食材を充実させるなど、「地域に必要とされ、お客さんの多様な価値観に対応できる店舗運営を心掛けたい」と蔵田常務。そのことが質を伴った150億円につながる、という。ブレることのない4つのコンセプトで、地域ナンバーワンの食品スーパーを目指す。

もっと知ろう

リクルートと待遇

2019年8月現在の従業員数はパートを含めて559人。男性190人、女性354人と女性が多い。蔵田常務によると、採用条件で最も重視するのは新卒・中途とも、人と接することや店舗で働くことが好きな人、という。
また、仕事を通して故郷に貢献したいと願う地元出身者も積極的に採用する。

女性の待遇については、パート従業員にも賞与や有給休暇がある。企業型保育所と連携しており、子育て中であっても子どもを施設に預けて働くことができる。

ショージカード「トマカ」

ショージの各店舗で使える電子マネー機能の付いたショージのポイントカード。

トマカ

通常は200円(税抜き)の買い物で1ポイントがたまり、満点の250ポイントになると、ショージ各店舗で250円の値引き券が発行される。

カードにチャージ(入金)し電子マネーのトマカで支払うと、400円(税抜き)につき1ポイントを 加算。つまり通常の2ポイントに1ポイントが加わり計3ポイントになるというお得な仕組みだ。

アイキャッチがトマトの理由

古来、ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われたことに由来する。体に良いとされるトマトは、新鮮・健康・おいしさも意味している、という。

赤いトマトは「商品」と「サービス」を、黄色いトマトは「心」をそれぞれ表現。目まぐるしく変わる食品業界の中で、商品とサービスに心を添えて提供したいという思いが込められている。

買い物客に聞きました。ショージのここがいい

【寺家駅前店】

●ショージといえば、どんぐり豚。歌が耳に残る。プライベートブランドがおいしい。独自ランキングがあって、ランキング入りしたものが安くなる。購買意欲が湧く。レジでチャージができるのが助かる。平日ワッフルやシュークリームの試食があり、試食して楽しんでいる。
●無添加コーナーのお菓子や食品を見るのが好き。他のスーパーでは購入できない、体に優しい食品が多数置いてある。
●事前に確認したら、持参した魚(旦那が釣った)を無料でさばいてくれる。苦手だし、大きな魚はさばけないので、とても助かる。
●毎週マグロの解体をしていて、たまに握りずしでの試食がある。

【白市駅前店】

●土曜日の午前中に、安芸津から水揚げしたばかりの魚が売っていて、新鮮でおいしい。

【田口店】

●店員さんが気さくで親切。
●カレンズ併設で、小学校、幼稚園の制服、体操服などが購入でき、とても便利(八本松南店も)。
●1000円以上の購入で、卵が98円になる日があり、夕方仕事帰りでも残っていて、うれしい。

【下見店】

●お肉がおいしい。特に牛すじが他店に比べておいしい。おでんの時は絶対ショージの牛すじを購入する。
●火曜日の均一祭。新鮮な野菜が均一で買えて、お得感がある(全店共通)。
●朝取れトウモロコシがとてもおいしかった。

【八本松南店】

●出来たて総菜パンのコーナーが好き。土曜市が好き。
●冬になると、甘酒(大きな入れ物に入った)が振る舞われる。


ショージ店舗一覧

みどり坂店/広島市安芸区瀬野西

白木店/広島市安佐北区白木町三田下小椿

世羅店/世羅郡世羅町寺町

高屋駅前店/東広島市高屋町杵原

八本松南店/東広島市八本松南

田口店/東広島市西条町大字田口

R375バイパス店/東広島市西条土与丸

本郷店/三原市本郷南

豊栄店/東広島市豊栄町清武

白市駅前店/東広島市高屋町小谷

黒瀬店/東広島市黒瀬町南方

下見店/東広島市西条町下見

志和店/東広島市志和町七条椛坂

牛田店/広島市東区牛田東

寺家駅前店/東広島市西条町寺家

【沿革】
1951年 蔵田求氏が卸売問屋として創業。
1953年 西条町本町の本部に主婦の店の小売部併設。
1963年 本社を中央通りに移転。小売部2号店オープン。
1968年 磯松団地入口に3号店オープン。店舗名称をショージに改称。
1972年 社長に蔵田完吾氏が就任。以後、東広島市内に次々と出店。
1979年 本社を西条土与丸に移転。
1990年 社長に蔵田憲氏が就任。
2005年 白木店オープン。広島市内に初めて出店。
2011年 世羅店オープン。世羅郡に初めて出店。
2012年 本郷店オープン。三原市に初めて出店。
2014年 社長に蔵田至氏が就任。

2019年8月8日号より掲載

\東広島の凄い企業をまとめて紹介!/

 

> 続きを読む

2019年7月25日

【広島大学の若手研究者】現象をつぶさに観察、結論はシンプルに

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは
大学院工学研究科 助教
橋本 涼太 さん

橋本涼太

専門は地盤工学。貢献できる領域を広げたい

アンコール遺跡

 カンボジアにある世界遺産のアンコール遺跡群は、複雑な構造物の石積み遺跡ですが、それを支える地盤が変形し、倒壊の危険にさらされています。
 地盤工学の面から、倒壊を防ぐには、どう対処すればいいのか。8年前から研究を続けています。毎年1回は必ず現地を訪れるようにしています。
アンコール遺跡
研究調査対象のアンコール遺跡(パイヨン寺院)

 

研究から見えたこと

 研究当初は、石積み遺跡を守るには、高度な力学理論に基づいたシミュレーション手法を開発し、劣化予測から適切な修復方法の提案まで全て賄えるようにすることが重要だと考えていました。
 しかし、その手法を用いて分析していると、破壊メカニズムは手計算でも評価可能なシンプルな理論で説明できることが明らかになりました。
 その方が建築史や考古学など遺跡修復に携わる他分野の研究者にも理解されやすく、修復に向けた具体的な議論につながりやすいことが分かってきました。
 精緻な手法に基づきながらも現象をつぶさに観察し、結論はシンプルに導く。このアプローチは実学である工学の研究者として重要な視点であると位置づけています。

広島大防災・減災研究センターの一員

 センターは昨年の西日本豪雨を受け、相乗型豪雨災害に全学を挙げて研究する拠点として設立されました。地盤工学の面から考察すると、それぞれの山で水の染み込み方や地盤の強度は異なります。

 ただ、気象庁の雨量情報には、個別の山ごとの情報は盛り込まれていません。当然、住民にしてみれば、自分の裏の山の情報までは分からないのが実情です。個別の情報をいかに発信できるか。具体策を提言できるよう、検討しています。

醍醐味と難しさ

 土木における地盤工学の役割は、土の力学的現象を室内の実験で理解し、実際の構造物の設計に役立てていくこと。そのことはまさに研究の醍醐味です。難しさは自然の材料が研究対象であること。

測量
遺跡での測量の様子

 土の性質は場所ごとで違うし、同じ場所の土であってもばらつきがあります。そうした条件下で土の本質的な性質を見出すのが難しさであり、面白さでもあります。
 残念に思うのは、地盤は構造物に比べると目立たないこと。研究は、地味ではあるけど国の社会基盤を支える重要な役割を担っていることをもっとアピールしていきたいと思っています。

 地盤工学が貢献できる領域を広げていきたい、と思っています。地盤は、文字通り人間が利用するあらゆる空間の基礎をなしており、それを扱う地盤工学は他分野と協働する高いポテンシャルを有しています。海底から宇宙まで多方面にアンテナを張って飛び込んでいきたい、と思っています。

PROFILE 大阪府出身。甲陽学院高校卒。京都大工学部卒。
京都大大学院工学研究科博士後期課程修了。
同研究科日本学術振興会特別研究員を経て、2017年4月から現職。

※プレスネット2019年7月325日号より掲載

過去の「広島大学の若手研究者」はコチラ

 

> 続きを読む

2019年6月20日

【東広島の企業】「100年後にも世界で光り輝く大学」に広島大学 東広島キャンパス【番外編】

 広島大の越智光夫学長が4月から2期目に入った。インタビューで大学の将来像や、東広島市での大学の位置付けなどについて語った。越智学長は「100年後にも世界で光り輝く大学に」と目を輝かせる。

広島大学

 

人材育成の基盤 教養教育に力
全科目で能動的授業目指す

 広島大は、被爆地広島に開学し、「平和を希求する精神」を理念の一つに掲げ、平和への寄与を通して、国際社会に貢献する人材の育成を目指す総合大学だ。
 その人材育成の基盤となるのが教養教育。広島大ならではの独自のカリキュラムで、学生たちの学びの土台を培っている。

 教養教育は学部生の1年生が対象。専門以外の分野へも関心を高めてもらい、ものごとを総合的に捉える能力を養っていく。

広大林教授

 教育企画担当で総合科学部の林光緒教授は「教養教育は草 木で例えると根の部分。根っこが広がることで幹が太くなり実も付く。いろいろなことに興味を持つことで視野が広がり、複眼的な視点で専門分野を研究できる。何より社会は幅広い見識を持った人材を求めている」と力を込める。

 教養教育には、平和科目、大学教育基礎科目、共通科目、基盤科目の4科目がある。平和科目は28科目から1科目を選択する。留学生を含む全新入生が必修だ。戦争や紛争から貧困、人口増加、環境までさまざまな分野がある。平和を希求する大学として、「持続可能な社会」までを視野に入れた広義の平和について考えていくのが特徴だ。

 大学教育基礎科目には、大学教育入門と教養ゼミがある。大学教育入門は、大学で学ぶべきことの意義やレポートの作成方法、ハラスメント問題など、大学生活を送る際に必要となる知識や規範を身に付けていく。

 全部で15章ある中で、ユニークなのが、各界で活躍するリーダーを講師に招いた「世界に羽ばたく。教養の力」。おととしから始まり昨年から全学部必修となった。林教授は「学生たちは、世界で活躍するリーダーの生きざまに触れることで、将来の指針となる何かをつかんでほしい」と話す。平和科目と大学教育入門も他大学にはない科目だ。

 全国の大学に先駆けて平成9年から始まった教養ゼミは、約10人単位でディスカッションやグループ学習などに取り組む。

授業風景

「大学は自ら考え学ぶところ。入学後の早い段階から、その習慣を身に付けてほしい」(林教授)からだ。問題発見・解決型の授業を行いながら、論理的な思考法や自己表現力を育んでいく、という。

 共通科目では外国語や情報など5科目で幅広い知識と技能を身に付ける。基盤科目は専門分野を学ぶために必要な基礎的な知識の修得を目指す。

 広島大が教養教育で大きな目標にしているのが能動的な授業だ。大教室での講義形式の授業であっても、授業の合間に学生に問い掛けたり、コメントシートを書かせたり、と工夫次第で能動的な授業は可能になる、という。
 林教授は「大学では、専門教育と教養教育は車の両輪。教養教育の充実が専門教育の質を高める」と言い切る。

東広島キャンパス 理系の世界的な研究拠点に
「why」を考える学生に

―2期目で重点的に取り組みたいことは。

広大学長

 学長に就任以来、「平和を希求しチャレンジする国際的教養人の育成」をスローガンに掲げてきた。その思いは変わらない。2019年度から統合生命科学研究科と医系科学研究科の設置を皮切りに、大学院再編を本格化させた。
 2019年6月現在、11ある研究科を5つに再編、研究科間での垣根を低くする ことで他の領域も学べるようにし、領域での力を高めていく。世界中からトップクラスの研究者や優れた留学生を招き入れるためにも、教育研究環境の充実は待ったなしだ。

 東広島キャンパスでは、宿泊施設や交流の場を備えた国際交流拠点を整備し、理系の世界的な研究拠点として強化を図る。
 東千田キャンパスは、新たな人 文・社会科学系の教育研究拠点として、霞キャンパスは世界レベルの最先端医療と医系科学の研究拠点として、それぞれ位置付け整備を進めていきたい。

全学一丸で取り組む

―世界の大学ランキングでトップ100に入るという目標を掲げられています。

 トップ100に入るのは、平成の後半、文科省の研究大学強化促進事業と、スーパーグローバル大学創成支援事業トップ型に採択された広島大にとっては、社会との約束でもある。
 この目標を達成するために、ランキングの指標となる留学生数や英語論文数、企業からの外部資金の割合など5項目で目標を確認している。

 また、各教員の教育や研究を数値化する独自のシステムも開発した。道は平たんではないが、全学で一丸となって努力していきたい。

 忘れてはならないのは100年後にも世界で光り輝く中四国の拠点大学にしていくこと。大きな目標でありトップ100に入ることは、その過程だと思っている。

―東広島への統合移転が完了して四半世紀が過ぎました。

 東広島キャンパスは広島大の中核となるキャンパス。一方、東広島市にとっ ても広島大は学術・教育の一大拠点であるのみならず、雇用や消費などさまざまな波及効果をもたらす基幹的な存在であると思っている。
 欧米では大学を拠点に都市が形成されている。東広島市も大学のシーズを生かしたITやライフサイエンスの企業が立地する米国・シリコンバレーのような元気な街になってほしい。

 東広島市の課題は交通アクセスの問題。広島大としても、東広島市と連携し大学周辺にバス乗り継ぎの結節点を設置するなど、交通ネットワークの整備に取り組んでいく。

真面目さを武器に

―広島大の学生気質は。

 一言で言うと真面目。そのことはとても良いことである半面、控えめで地味とも言われている。
 私は学長に就任以来、広島大の学生や卒業生であることに誇りを持ち、胸を張って社会にアピールしようといい続けてきた。誇りに思わなければ、世間から評価はされない。
 近年は起業家も出ている。真面目さを武器にリーダーシップを取ってもらい、社会を変革するような人になってほしい。

 昨年夏の西日本豪雨災害では、学生の有志が立ち往生していた車のドライバーにおにぎりを作って差し入れた。自らの頭で考えやるべきことを実行に移した。これこそ広島大生といえるのではないか。

―令和の時代を迎えました。学生には何を求められますか。

 大変革の時代だからこそ、how(どうのような方法で)だけではなく、why(どうしてなのか)をじっくり考える人になってほしい。その意味でも、専門分野を極めると共に、幅広く深い教養を身に付けてほしい。

過去の東広島の企業紹介はこちら

プレスネット2019年6月20日号より掲載

> 続きを読む

2019年5月23日

【東広島の企業】開発途上国への国際協力担う「JICA中国」

東広島で就職ってどこですればいいの?そもそも東広島に就職できるところってあるの?
そんな学生の皆さんへ東広島の企業を紹介!

今回紹介する東広島の企業は
開発途上国への国際協力担う
「JICA中国」

JICA中国とは

広島県とJICA(ジャイカ)の共同施設であるひろしま国際プラザ内(東広島市鏡山)に1997年に開設されたJICA中国(正式名は国際協力機構中国センター。三角幸子所長)。中国地方5県での開発途上国への国際協力を担う拠点として、さまざまな事業を展開している。

jica外観

対等なパートナーで信頼構築

JICA中国の柱の一つが研修員の受け入れ事業だ。これまでに約140カ国から1万1000人以上を受け入れてきた。研修員は開発途上国の政府を代表する行政官や民間団体職員たち。
中国5県の自治体や企業、教育機関などで研さんを積み、教育地域開発平和構築など、それぞれの母国の発展につながる取り組みを学んでいる。

開発途上国の人たちに日本の技術などを伝えるボランティア事業もJICAの根幹をなす。海外協力隊として世界で活動してきた中国地方出身者は3300人以上に上る。

日本の児童・生徒たちに開発途上国を知ってもらう開発教育支援事業にも積極的に取り組む。
JICA中国を訪問してもらい、途上国の文化や暮らしを学んでもらうプログラムや、国際協力の経験者が学校現場に出向いて、異文化について学んでもらう「国際協力出前講座」などを行っている。

紛争や貧困・格差、自然災害など開発途上国が抱える課題は多岐にわたり、政府開発援助(ODA)の実施機関としてのJICAは、多様なニーズに応える必要性に常に迫られている。このため、「さまざまなノウハウを持った組織(個人)に国際協力に携わってほしい」(三角所長)と、現在は大学や地方自治体、民間企業などもJICAの事業に参加できるプログラムをつくっている。

jica平和学習

一つが草の根技術協力事業だ。中国地方の大学やNGOなどが開発途上国で行う国際協力活動をJICAが支援。現地に専門家を派遣したり、日本で研修員を受け入れたりしながら、貧困問題や医療など開発途上国が抱える課題を共同で解決していく。

さらにODAで長年培ってきた途上国政府とのネットワークを生かし、企業と途上国の仲介役として、企業の海外展開もサポートする。民間の投資が途上国の 経済の発展につながるからだ。東広島市では現在2社が、JICAの民間企業海外展開支援事業を活用している。

JICAの理念は「信頼で世界をつなぐ」。三角所長は「さまざまな事業で国際協力の橋渡し役を担っているが、途上国への一方通行ではないこと。途上国とは対等なパートナーであり、お互いに学び創るという共創の気持ちを大切にしている」と力を込める。

2015年の国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)について合意し、開発の恩恵から誰一人取り残されない世界の実現に向けた第一歩を踏み出した。

三角所長は「私たちの取り組みは全てSDGsにつながっている。持続的な成長には、人材・技術など国内の地域リソース(資源)の参加も必要不可欠となる」と強調する。

jicaケーススタディ

東広島市に住む外国人は、市民の3%に上る。広島大ではJICA中国が受け入れる途上国からの留学生(研修員)が130人を超える。
三角所長は「東広島市が、途上国の人も含めて外国人が安心して暮らせるより魅力的な町となることを期待します。JICA中国も、それをサポートできたら」と話す。

三角幸子所長に聞く 海外協力隊のことが知りたい

職種は120以上。69歳まで応募可
途上国の人と同じ目線で生活、生きる力培う

JICAの代名詞といえるのがボランティア事業だ。海外協力隊として開発途上国に赴き、現地の人たちと一緒に生活しながら、それぞれの技術や経験を現地の人たちに伝えていく。

三角さん

JICA中国の三角幸子所長に、海外協力隊の応募条件や活動内容、果たすべき役割などについて聞いた。

―海外協力隊の種類は。

2019年度から制度が変わりました。一定以上の経験と技能を必須とするシニア案件と、それ以外の一般案件に大別しました。
 以前は年齢で案件を分けていましたが、新制度では、いずれも69歳までの人なら応募することができます。

―応募に際して留意すべきことは。

最低限の語学力は必要になります。応募の際に申告してもらいますが、中学卒業程度の英検3級TOEICスコア330点が目安になります。合格後は、70日間程度の研修があり、派遣国の公用語を中心に集中して勉強します。

もう一つ気に留めておきたいのは健康状態です。開発途上国は日本のように医療機関が充実していません。
軽い疾患であったとしても、健康診断の結果、派遣できない場合もあることを理解しておいてください。

―海外協力隊の仕事には120以上の職種がありますね。

防災・災害対策など日本が得意とする分野の仕事から、看護師など命に寄り添う仕事、廃棄物処理など生活サービスに関わる仕事まで多岐にわたります。
自分に合った仕事を見つけてください。広島県では、自動車整備の分野で活動する海外協力隊員の実績が多いのが特徴です。

jica道路維持

―派遣は2年間です。

それぞれの知識や技術を生かしながら、現地の人と同じ目線で活動を行っていきます。日本とは異なる価値観や文化の違いなどを認めながら、人と人がつながる大切さなどを自然と学ぶことになります。現地に溶け込んで生活することが前提です。日本の生活用品は簡単に持ち込めないので、そのような、日本では得られない体験を楽しむ気持ちが必要です。

―海外協力隊が果たしてきたことは。

海外協力隊は、1965年に初代隊員が派遣されてから、2018年で累計派遣人数が5万3000人を突破しました。派遣先では、日本人は海外協力隊員だけという集落も珍しくありません。
つまり現地では海外協力隊=日本人というイメージが出来上がっています。その意味から海外協力隊が開発途上国の人たちと草の根レベルの信頼を構築してきたといっても言い過ぎではありません。

―海外協力隊を目指す若い人たちにメッセージを。

開発途上国で暮らすことで、交渉力、突破力、実現力が身に付きます。大いにチャレンジしてほしいし、周囲の大人は若い人たちの背中を押す人であってほしいと思っています。

【ODAとJICA】

 日本は1954年にコロンボ・プランに加盟して以来、ODAとして開発途上国に資金的・技術的な協力を実施してきた。
 JICAはODAのうちの二国間援助の3つの手法「技術協力」「有償資金協力」「無償資金協力」を一元的に担っている。
 世界最大規模の二国間援助機関であるJICAは約90カ所に上る海外拠点を窓口に、世界154の国・地域で事業を展開している。

プレスネット2019年5月23日号より掲載

\東広島の凄い企業をまとめて紹介!/

 

> 続きを読む

2019年4月18日

【東広島の企業】20周年迎え事業を拡大「中栄グループ」

東広島で就職ってどこですればいいの?そもそも東広島に就職できるところってあるの?
そんな学生の皆さんへ東広島の企業を紹介!

今回紹介する東広島の企業は
日本語研修センター開設や日本語学校開校し、外国人の実習生や学生を手厚くサポート!
「中栄グループ」

中栄グループとは?

旅行業や通訳・翻訳業、外国人技能実習生向けの語学教育、美容室運営など幅広い事業を展開する。

2019年11月に会社設立20周年を迎えるのを機に、同年3月、本社を東広島市鏡山から西条町寺家に移転しグループの4社を1カ所に集約した。
新しい時代を見据え事業規模を拡大、さらなる飛躍を期す。

中栄グループ外観

日本語研修センター開設や日本語学校開校支援
外国人の実習生や学生支援

本社ビルは4階建て延べ1600平方mの建物。3、4階には、グループ会社のヒロシマ・ランゲージ・アカデミー(2005年設立)が運営する、日本語研修センターの教室を設置した。外国人技能実習生に日本語教師資格を持つスタッフが日本語力や日本での生活マナーなどを指導していく。

日本語学校2

改正出入国管理法が2019年4月に施行され、就労希望の外国人が増えると判断。従来の施設(鏡山)では手狭になることから拡張移転を決めた。

移転で従来よりも5倍の人数の実習生を受け入れることが可能になった。さらに、2018年10月には、外国人を雇用したい企業と外国人労働者をつなぐ人材派遣事業のKCCグローバルを設立。手厚い体制で外国人をサポートしていく。

もう一つ、力を入れていくのが、日本への大学進学を目指す外国人学生の支援だ。2019年4月、西条中央に開校するHLA日本語学校の運営に参画し、高い日本語能力を身に付けた学生を育成する。
1年半コースと2年コースを設け、年間で100人を受け入れる計画だ。

日本語研修センター

代表の村瀬施蓉さんは、中国出身。1990年に来日、東広島市に住居を構えた。

東広島市で暮らしている間に、日常生活で困っている外国人を目の当たりにするようになり一念発起。99年、中栄を立ち上げ日本語語学教室の運営で会社のスタートを切った。

7平方mの小さなスペースから興した会社は、「日本に来ている外国人のために役立つ仕事をしたい」(村瀬代表)とのしっかりとした哲学で、次々と事業を拡大していった。
前述のヒロシマ・ランゲージ・アカデミーを設立したほか、「外国人の航空券の予約を手伝いたい」と旅行業に進出。

中栄トラベル
現在は、中国を中心にアジア地域の航空券の販売や、入国ビザ取得代行などのサービスを提供している。

さらに「会社に新しい刺激を与えたい」(村瀬代表)思いから、16年には、UMEを設立し、広島にベーカリーショップを開店。自家製の天然酵母パンがテレビで紹介されるなど人気を集めた。
2019年4月19日には本社の移転に合わせ、広島店を閉じて本社1階に「べーかりーねこ蔵」をオープン。17年には、美容室経営の挑戦も始め、中国地方でチェーン展開をしている。

外国人を対象の業務が多いことから、社員の1割を外国人が占める。業務は3カ国語(中国語、英語、ベトナム語)で対応でき、日本人社員にも英語や中国語の修得を推奨する。

旅行会社

村瀬社長は「本格的なグローバル化時代を迎え、海外との取引も増えることが予想される。外国語を話せる社員を持つことは会社の強みになる」と力を込める。

令和元年に20周年が重なり、「新たな出発点に」(村瀬社長)と位置付ける。

村瀬社長は「初心を忘れず謙虚な気持ちで経営にあたりたい。社員が楽しく働けて結果(利益)が出せる会社にするのが夢」と目を輝かせる。

女性社員7割。女子力生かし躍進 村瀬施蓉代表に聞く

時差出勤・在宅勤務を導入

70人の社員のうち、7割を女性社員が占める中栄グループ。女性経営者の目線から女性が働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいる。

村瀬代表

村瀬施蓉代表に女子力を生かすための取り組みや、中栄流の働き方などについて話を聞いた。

―女性社員の雇用状況は。

毎年、大学の新卒者や中途者などを2~3人程度採用しています。会社を成長させたいので、今後も積極 的に雇用していく計画です。女性社員の平均年齢は若く、子育てに忙しい30歳代が中心となって会社を引っ張ってくれています。

―女性社員が子育てと仕事を両立できるよう取り組んでいることは。

管理職については、時差出勤制度を導入していることと、在宅勤務を認めていることです。近年はインターネットを中心とした情報通信環境が充実し、コミュニケーションを取っていれば、自宅でも十分に働くことができます。

女性社員

有給休暇は、簡単に取得できるように手続きを簡素化。将来的には全女性社員が100%取得できるよう努めます。
私自身、2人の子どもを育てましたから、女性の苦労は分かります。女性が働きやすい環境を整えるのは目標です。

―社員に訓示していることは。

チャレンジ精神を持つこと。「失敗したら怖い」と何もしなかったら、前には進みません。とにかく行動することが大事です。
 失敗をすることで、「次はこうしたい」と学ぶことができますからね。社員には、行動力と責任感、情熱を持って仕事に従事してほしい、と思っています。

【沿革】
1999年 ㈲中栄を設立
2001年 中栄国際旅行を開設
2005年 ㈱ヒロシマ・ランゲージ・アカデミーを設立
2006年 ㈱中栄に商号変更
2007年 中栄国際旅行から中栄トラベルに変更
2013年 中国でベーカリーのFC事業スタート
2016年 ベーカリー製造販売の㈱UMEを設立
2017年 美容室経営を開始
2018年 KCCグローバル㈱を設立
2019年 HLA日本語学校を開校支援
2019年 本社を西条町寺家に移転

プレスネット2019年4月18日号より掲載

\東広島の凄い企業をまとめて紹介!/

 

> 続きを読む

2019年3月28日

【広島大学の若手研究者】専門は古建築を中心とした文化財学

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは

広島大学総合博物館学芸職員
佐藤 大規 さん

佐藤大規

専門は古建築を中心とした文化財学

安土城復元

 最初の研究テーマです。この城と出会ったことで今の自分があると思っています。
 織田信長が築いた安土城は、5重6階地下1階の絢爛豪華な天主を備えていたとされています。

 発掘調査や古文書・絵画資料などをもとに10年がかりで復元しました。
 信長が創造した天守という建物は、豊臣秀吉が大坂城で受け継ぎ、その後広島城など全国に広まりました。

 これまでの復元案は、安土城天主のみ天守の歴史から一線を画す形をしていましたが、資料を丁寧に読み解いた結果、形の上でもすべての天守の起源となることが確認できました。

復元で見えたこと

 当時の建築物は、平屋が普通。信長が築いた5重の高層建築には、周囲を屈服させるような権力の象徴の意味合いが込められていたと推察できます。

 その後、豊臣秀吉が大坂城を築きますが、きちんと信長の意図をくみ取っています。

 僕は安土城に続けて秀吉の大坂城の復元をしましたが、両城とも完璧な資料は残っていないので、10人の研究者がいれば10通りの復元案が出ます。
 互いに議論を交わしながら歴史の謎をひもといていけるのが研究(文化財学)の魅力です。

総合博物館の役割

 キャンパス全体をミュージアムと位置付け本館をコア施設にしながら、各学部の研究内容を展示するサテライト館、学内の自然散策道(発見の小径)で構成しています。

博物館
広島大学総合博物館を訪れた小学生と恐竜と化石で盛り上がる佐藤さん

 博物館をはじめキャンパス内は実物の宝庫です。実物に触れることで、新しい世界に関心を持つきっかけをつかんでもらえたら最高です。

学芸職員

 2012年から、化石や地域の自然 に関する資料を展示している広島大総合博物館で働いています。

 通算1年半、三原市教委に勤めた際、自分の研究成果を伝えることに楽しさを覚えたのがきっかけです。
 今は年間に100回程度、来館者の方々に展示解説を行っています。

本宮八幡神社
本宮八幡神社での現地説明会

 聞いてくださる方が楽しい、もっと知りたいと思えるよう、自分も楽しむという感覚を持って解説・展示するよう努めています。
 ずっとそんな学(楽)芸員でいたいです。

研究分野の夢

 最近は東広島や鞆の浦・福山城などで、現存する建造物の調査研究を中心に行っていて、地域の文化財に光を当てていきたいと思っています。

 例えば、1701年に建立された豊栄町の本宮八幡神社は、東広島の神社建築を考える上で重要で、地域を代表する建造物です。

 建造物に限らず絵馬など幅広い分野で調査をして、価値ある文化財を次世代に一つでも多く残すことができれば幸せです。

 

PROFILE 1978年、大分県生まれ。広島大卒。
2009年、広島大大学院文学研究科博士課程修了。
三原市教委非常勤学芸員などを経て12年から広島大総合博物館学芸職員。
現在、広島女学院大や福山大で非常勤講師もつとめる。
趣味はバードウォッチング、ダム廻り。

※プレスネット2019年3月28日号より掲載

過去の「広島大学の若手研究者」はコチラ

 

> 続きを読む

東広島デジタル

©2020 Higashi-hiroshima Gakupota