

2020年8月27日
【広島大学の若手研究者】研究成果、スポーツ現場に反映を
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院人間社会科学研究科 助教
柳岡 拓磨 さん
研究テーマはスポーツ科学
ヒトが運動を行う際には、適切な体温が存在します。体温が過度に上昇・低下した状態でスポーツを行うと、選手のパフォーマンスが低下するだけではなく、熱中症やスポーツ外傷のリスクが上昇します。
暑熱環境から寒冷環境下まで、選手の安全を確保し、選手が望むようなパフォーマンスを発揮できるようにするため、体温調節に着目して研究を進めています。
夏には、体温の過度な上昇を抑制する方法として、身体冷却(送風や保冷剤などを用いて身体外部から冷却を行う方法)と内部冷却(冷たい飲料を摂取し、身体内部から冷却する方法)があります。
人間社会科学研究科の長谷川教授に協力を得ながら、身体外部・内部冷却を組み合わせた実用的な暑さ対策を検討しています。
これまでの研究で、運動間の休息中(サッカーのハーフタイムを想定)に、クーリングベストの着用とアイススラリー(氷と飲料水が混合したシャーベット状の飲料)の摂取を行うことで、体温を低下させ、運動パフォーマンスを改善できることが分かりました。
ハーフタイムでの身体冷却の実践
実用性・効率性の高い暑さ対策を提案できたことは価値が高いと考えています。
冬には、筋肉の温度(筋温)の低下を抑制することが重要です。サッカーで例を挙げると、ハーフタイムの15分間で筋温は安静時とほぼ同程度まで減少し、後半開始後のパフォーマンスも著しく低下します。
ハーフタイム中に改めてウォーミングアップを行うこと(リウォームアップ)によって、この問題を解決できるか、検証を進めています。
スポーツ現場での実用を想定すると、最短の時間で最大の効果を得る方法を検討する必要があり、1分以内で効果の高い方法に着目しています。
体温調節には体格に基づく個人差があり、気温によって、体温が上がりやすい体格が異なります。
実験中の運動の様子
これからの研究では、気温・体格・身体冷却という3つのキーワードをもとに、熱中症のリスクが高い集団に対し、効果・実用性の高い暑さ対策を明らかにしていきます。
スポーツに携わる中で生まれてきた疑問や好奇心を解決していく道筋やその難しさが面白く、他の研究者と議論しながら、答えに辿り着けたときに研究の醍醐味を感じます。
世界のスポーツ界の常識は、日本のスポーツ界の非常識という状況がまだまだありますので、インパクトのある研究から、この問題の改善に貢献していきたいと思っています。
※プレスネット2020年8月27日号より掲載
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2020年7月30日
【広島大学の若手研究者】尾道市の野良猫の生息状況を調査
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大大学院統合生命科学研究科助教
妹尾 あいら さん
研究テーマは動物福祉
小学生のときに三原市の広島県動物愛護センターから譲り受けた猫を飼っていました。わが家でその猫を引き取らなかったら殺処分されていたことを知り、野良猫について勉強をしたいと思ったのが動物福祉の研究を始めた大きなきっかけです。
尾道市は「猫の街」でも知られ、多くの野良猫が観光エリアに住みついています。野良猫の現状を知りたい思いに駆られ、週2回尾道に通い続け、4年間にわたって野良猫の生息状況について調査を続けました。
その結果、尾道の観光エリアには約200頭が生息していることが分かりました。
しかし、半数の猫は健康状態が悪く、1~2年経つと多くの猫の姿を見かけなくなりました。おそらく病気で亡くなったのでしょう。
もう一つ分かったのは、不妊去勢手術をしていない猫がほとんどだったこと。亡くなる一方で繫殖もしますから、200頭という数字には変わりなく、生まれた猫も病気で亡くなる運命をたどる可能性があります。
県の動物愛護センターと協力し、野良猫を捕獲して不妊去勢手術を行い、元の場所に戻すTNR活動に取り組みました。その後の調査から、生まれてくる猫の数は減っていました。
また、住民が猫の管理をする地域猫活動も行われるようになったおかげで猫の健康状態も向上しました。
研究では、地域の住環境の面からもアプローチしました。尾道はお寺が多く、野良猫の糞尿被害に困っていたからです。猫が嫌がる忌避剤を企業と共同開発したり、プランターで猫用の公衆トイレを作ったりしました。
忌避剤を活用しながら野良猫をトイレに誘導できるか試したところ、多くの猫がトイレを使っており、糞尿被害を軽減させることが立証できました。
猫は、もともと野生動物のヤマネコを人間が家畜化した伴侶動物です。つまり人間が面倒を見ないといけません。野良猫の状態であっても人の手が介入することが大切。
猫も人も同じ生き物なので、思いやりの気持ちを持って猫に接することが共生につながりますし、動物福祉の考えからでもあります。
尾道市に限らず、広島県内のさまざまな地域の野良猫の状況について掘り下げてみたいと思っています。実は東広島市は動物愛護センターに持ち込まれる猫が最も多く、東広島でも調査をしたいと考えています。
猫以外ではイノシシの研究にも関わっています。呉市ではイノシシが無人島に泳いで渡り、繁殖を続けています、生息調査をしながら、なぜイノシシが泳いで渡るのか、という疑問を解明したいと思っています。
※プレスネット2020年7月30日号より掲載
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2020年6月25日
【広島大学の若手研究者】社会とつながる研究にやりがい
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院先進理工系科学研究科助教
清家 美帆 さん
研究テーマはトンネル内火災時での避難者の挙動解明
日本のトンネルの多さは世界一です。道路トンネルだけで1万本あります。高速道路では、500m以上のト500本を超えます。EU(欧州連合)加盟国のうちの十数カ国のトンネルを足した数に匹敵します。
トンネル内で火災が起きた場合の国際基準が厳格化する中、日本でもリスク解析が求められています。トンネル内での避難者の挙動も明らかにされていません。
安全性を数値化することで、非常用設備の設置など安全対策に役立てられれば、と研究を始めました。
閉ざされたトンネル内で火災が発生すると、天井の照明は濃い煙で覆われ、避難者は真っ暗な中を避難しなければなりません。
そのときの避難者の移動速度や避難挙動の軌跡を調べてきました。現在は煙濃度と避難移動速度との関係や煙中でのストレスと移動速度との関係について研究を続けています。
長さ400mの以前使用されていたトンネルを用い、車に見立てた障害物を配置して、実験を実施しました。
避難行動では、トンネル内の白線を頼りに移動する被験者が多くみられました。
避難速度は歩く人もいれば、セミ-ジョギングのように走る人もいました。興味深かったのは、走る人は煙濃度の影響を大きく受け、薄い煙中である程度走れていたのが、煙が濃くなると普通に歩く速度よりも遅くなっていたことです。
トンネルは長さ方向に避難者が点在します。避難速度が速い人は、火災現場から遠い位置に存在する他の避難者に情報伝達する役割があります。
したがって、この避難速度と煙濃度の関係は、精度の高い安全性評価に重要であることがわかりました。
解析結果を客観的に見ることです。主観的に見ていると、何が問題なのか分からなくなることがあります。
そのため、調査結果が出たときには、数日置いてみて、もう一度考察するよう心掛けています。
直接、社会とつながっていることです。人の安全を守る研究をしているという点では、重たいものを感じますし、やりがいもあります。精度の高いリスク評価ができるよう研究を積み重ね、社会に還元していきたいと思っています。
トンネル火災はもちろん、地下鉄や地階売り場など地下空間での火災時など、幅広い分野での避難研究のプロフェッショナルになりたいです。
※プレスネット2020年6月25日号より掲載
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2020年5月28日
【広島大学の若手研究者】「日本鶏の研究価値を高めたい」
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院統合生命科学科学研究科研究員
竹之内 惇 さん
専門は家畜育種遺伝学。東広島ブランド地鶏開発担う
広島大が設置している日本鶏資源開発プロジェクト研究センターでは、日本固有のニワトリ品種の「日本鶏」を30品種以上、約2000羽を飼育し、教職員や学生たちが毎日世話をしています。国内有数のニワトリの研究施設として知られ、僕の所属する研究室では、これまで、肉質や卵質、羽装色など日本鶏品種の特性や遺伝子などについて研究を行ってきました。
広島大が保有するニワトリを掛け合わせて作り出された「広大鶏」
そこで、これらの知識を生かして、黒毛和牛に匹敵するような、オリジナルの最高品質の新たなニワトリを生み出せないかと、広島大が保有するニワトリを掛け合わせて研究開発を進めてきました。作り出されたニワトリを広大鶏と名付け、大学発のニワトリ鶏種の作出に挑戦してきました。
広島県には、農林水産規格(JAS)が定める「JAS地鶏」が存在しません。こうした中、「広大鶏を種鶏に、東広島ブランド地鶏を」と、2018年に産学官が連携したプロジェクトが始まりました。
広大鶏と、多くの卵を産むロードアイランドレッドを掛け合わせ、肉のうまさと生産性に優れた地鶏の開発に取り組んでいます。
これまで、数多くの試食会や飲食店でのモニター会を通じて評価も得ていますが、今後は、酒かすやかき殻など東広島の特産品を飼料として与えるなど工夫を持たせ、東広島の特色を生かした地鶏の開発を目指します。
農家や飲食店などと議論を重ね、20年度中には生産・販売の体制を整え、令和3年春の商品化を目指しています。
広大鶏を用いれば、地域の特産品を生み出すことができます。ただ、広大鶏がいなくなると、地鶏を大量生産することはできません。大学はあくまで研究する場所ですから、大学発のベンチャー企業を立ち上げて、広大鶏をしっかり育て守っていく必要があります。僕はその役割を担っています。
家畜育種遺伝学研究室のメンバー
もう一つは、広大鶏の資源を守っていくこと。養鶏産業が安定的な生産を続けるためには、「病気による死滅」や「近縁な個体同士の交配」を避ける必要があります。動物の細胞保存の研究に取り組んでいる研究室の先生の力を借りながら、そのリスクに対応していきたいと思っています。
子どもの頃から鳥類が好きで、山口大獣医学部で学んでいた大学2年のとき、広島大の都築政起教授と出会い、「日本鶏の研究は面白いぞ」と声を掛けていただいたことです。
僕の現在のスタンスは、研究よりも実業に重きを置いていますが、学外と積極的に関わりながら、研究との距離も離れないようにと思っています。
今は、大学の取り組みや日本鶏のことを広く知ってもらって、日本鶏が和牛のように研究的価値や産業的価値が高まるようにしたいと思っています。そのためには、まず全国に誇れる東広島ブランド地鶏をつくっていくことです。
※プレスネット2020年5月28日号より掲載
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2020年4月30日
【広島大学の若手研究者】研究機関連携コロナウイルス制圧を
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院医系科学研究科(医)助教
小田 康祐 さん
専門はウイルス学。立体構造を解析、ウイルスの本質に迫る
ウイルスの種類の一つであるパラミクソウイルスは、麻疹ウイルスやヒトパラインフルエンザウイルス(風邪の原因)、流行性耳下腺炎ウイルス(おたふく風邪の原因)、ニパウイルス(ヒトに感染する致死率の高いウイルス)など、人や動物に感染して感染症(病原性)をもたらす重要なウイルスが数多く含まれています。
現在のところ、ワクチン接種が有効なパラミクソウイルスは麻疹ウイルスや流行性耳下腺炎ウイルスに限られ、他のパラミクソウイルスに対して効果をもたらす薬はいまだなく、治療薬の開発が望まれています。
パラミクソウイルスは、高い病原性を発揮するのに必須となるアクセサリータンパク質と呼ばれるウイルスタンパク質を生み出します。
タンパク質は三次元の状態で機能を持っており、多くの複雑な機能を持つアクセサリータンパク質に関する理解は、まだ十分に進んでいません。
私はアクセサリータンパク質を標的にした治療薬の開発を目指し、このタンパク質の立体構造の解析をもとにしながら、病原性の解明について研究を行っています。
アクセサリータンパク質の立体構造を世界で初めて明らかにでき、その成果としてアクセサリータンパク質が感染細胞内で、どのように機能するのか、詳細に解明することができました。
ウイルス学会で研究成果を発表する小田さん
平たく説明すると、通常はウイルスが人に感染すると、自然免疫が働いてウイルスを排除しようとします。しかし、アクセサリータンパク質は自然免疫を抑制するように働いて感染を成立させ、人の細胞から外に出ることを促進させており、そのメカニズムを解明しました。
また、アクセサリータンパク質の立体構造をもとにして、抗ウイルス薬を設計できる可能性も見出しました。ワクチンの開発が困難なパラミクソウイルスの治療薬や予防薬を開発し、医学や社会に貢献することが夢です。
研究では仮説を立てて実験で証明していきます。予想外の実験データが得られることがあり、解釈が困難な場合もあります。専門分野以外のことに取り組む必要性も生じてきます。
ウイルス学会の様子
ただ、そのようなデータが得られると研究に深みが増し、詳細なメカニズムの解明につながります。研究をより面白くするためには、実験データの小さな変化を見逃さないことが大切です。
まだまだ分からないことが多いウイルスですが、日本の多くの研究機関は連携を取りながら、このウイルスを制圧するために緊急に研究を進めています。
広島大では、その中でできることを探し役割を全うすることを目指しています。
※プレスネット2020年4月30日号より掲載
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2020年2月27日
【広島大学の若手研究者】新しい教育の形を提示していきたい
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大森戸国際高等教育学院 特任助教
サリー・チャン さん
専門は留学生の日本語教育。ペアワークが日本語の習得を促進
私は香港出身のオーストラリア育ち。幼い頃、香港では日本のアニメがはやっていて日本語に興味を持ちました。本格的に日本語の勉強を始めたのは中学生から。オーストラリアの中学校では、日本語が必修科目だったことがきっかけになりました。
日本語の勉強を始めてみると、私の母語は中国語だから、漢字は理解できましたが、それ以外のことは本当に難しくて(笑)。
日本語を学習する外国人が、第二言語(日本語)の習得を促進できるような環境を作っていけたらなと思ったのが研究に取り組む出発点になりました。
研究のキーワードになっている言葉です。外国語である第二言語を学習する人は、母語の影響を受けてしまい、学習中の第二言語に不自然さ、つまり負の言語転移が生じてしまいます。
例えば母語が日本語だと、英語のrとlの発音に不自然さが残ります。私は第二言語である日本語を習得する留学生が、どうような学習をすれば誤用をしないですむのか。文化的、環境的な側面から研究を進めてきました。
言語能力が似た者同士がペアワーク、グループワークで学習すると、言語習得が促進されることが分かってきました。
そのためには、従来の日本の典型的な教室のスタイル、つまり教師の一方的な授業スタイルを改める必要があります。
学生同士がディスカッションをするような作業を増やすなど、留学生が主体的に活動できる授業が求められます。主体的な授業が誤用の気付きを促します。
教室だけでは学習の時間が限られます。日本語能力を向上させるためには、教室外でも教室で絆を深めたグループなどで積極的に日本語を使う環境をつくることが大切です。
留学生は教室では日本語を話しても、一歩外に出ると日本語を話さなくなります。日本語が飛び交う環境の中で、自分を安心させたいために自然に母語を話せる人と、母語で会話するようになります。日本語能力が同じレベルの人が集まることで安心感が生まれ、日本語を使う環境も芽生えます。
自分の研究を実践に展開できることですね。ペアワークやグループワークを通して、日本語能力が上達した留学生の姿を見ると、本当にうれしくなります。私の研究の活力の源にもなっています。
どうような工夫をすれば、先生の教育のモチベーションと留学生の学習意欲が高まるのか、ということに興味を持っています。
伝統的な日本の教育を行っている日本の先生に、新しい日本語教育の可能性や方向を提示していきたい、と思っています。
※プレスネット2020年2月27日号より掲載
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2019年10月24日
意外と知らない大学TOPICS
「大学は大学生だけが行く場所」なんて思っていませんか?
実は東広島の各大学では地域住民を対象にしたさまざまな取り組みを行っているそう…!
その一部をご紹介🙌
広島大学は、2019年度に「地域の元気応援プロジェクト」を実施していました。学生・教員・県内の地域団体の3者でチームを組み、地域活性化を目指す取り組みに、広島大が50万円を限度額に助成するという内容でした。
11件の応募があり、8件を採択しました。2020年2月まで活動に取り組み、3月に報告会を行ったそうです。
東広島市関連のプロジェクトは、志和町のものづくりスペース「つくれば工房」が、 統合生命科学研究科の彦坂暁准教授たちと連携。志和堀の古民家図書室ほたる荘と、併設する蔵を改修したものづくりスペースをハブとして、地域と大学を結び、世代を超えた学びの拠点をつくることを目指しています。
具体的には、IT/ⅠoT技術を実践的に学べる環境の整備や、子どもたちが遊んで学べるスペースづくり、サイエンス&テクノロジーワークショップの開催などに取り組んだそうです。
広島国際大学は、市民を対象にした「広国市民大学」を開講しており、「こども未来コース(応用編)」では、2019年度、30~50代の40人が入学。全12回の講座を通して、子どものやる気を育てるメカニズムや思春期に寄り添った上手な対応の仕方などを学んでいく。
2019年9月25日に行われた5回目の講座では「思春期の〝厄介さ〟は〝こころ〟の厄介さ」がテーマでした。広国市民大学の吉川眞学長が、実例を挙げながら、家族のあり方 や思春期の乗り越え方などについて話した。
3児の母親の西条町下三永の主婦は「毎回学ぶことが多く、子どもや夫に対する言葉掛けに気を付けるようになった。何より、自分の時間を活用できてリフレッシュしている」と笑顔だったそう。
木藤教授(右)の指導で、バランス機能を維持する運動や心臓の働きを助ける運動などに取り組む利用者
広島国際大学が2019年2月に開設した「しあわせ健康センター」では、医師や理学療法士、言語聴覚士などの専門の資格を持つ27人の教員が、介護予防や認知症予防、子育て支援など、地域の人たちの健康に関する相談に無料で応じています。
利用者の80代女性は「自立した生活を長く続けて、いつまでも在宅で過ごせるように」と週1回のペースでセンターに通っています。
総合リハビリテーション学部の木藤伸宏教授は
「相談者に合わせたトレーニングを提案しています。初回にじっくりと時間をかけたカウ ンセリングを行い、相談者がどういった問題を抱えているのかをまず理解した上で、治療が必要かどうか、その場合何科を受診すべきなのか、などをアドバイスしています。痛みや筋力低下の背後には基礎的な疾患が潜んでいることも。まずは気軽に相談を」とのこと。
利用者は「親切で丁寧に指導してくださるので、安心して続けることができる」と笑顔でした😊
電話番号は同大総合リハビリテーション学部事務室0823(70)4851(平日9時~17時受付)。
大阪、奈良、和歌山、広島、福岡の1府4県にわたって6キャンパスある近畿大学。
「規模の大きな大学のため工学部が広島にあることを知らずに受験する生徒も多い」という悩みから、近大工学部は近大マグロがロボット化した「マグロボ」というキャラクターを作り、工学部が広島県にあることをアピールしています。
マグロボが登場する動画を作成し、2019年7月からテレビCMを放送したり、インターネットで公開しています。
現役の学生や、近大の附属高校生らが出演し、広島市のマツダスタジアムや東広島のキャンパスで撮影。本格的なCGを使っており、映画さながらの仕上がりです!🎥✨
他学部の生徒からも「インパクトが強い!」などと、好評でした。
マグロボを発進させるのは近大工学部の6学科のメンバー。ものづくりや技術者の格好良さを若者に伝えることもこの動画の狙いだそうです。
プドーステーションを利用する学生。
東広島市高屋うめの辺にある近畿大学工学部は、キャンパス内に宅配便の受け取りと発送ができるロッカーを設置しており、学生たちにも大好評!
「PUDO(プドー)ステーション」というロッカーで、B館渡り廊下に設置されています。ヤマト運輸の会員制サービス(無料)に登録すると、ここのロッカーを指定した発送や受け取りの手続きがパソコンやスマートフォンで簡単にできちゃいます📲
利用時間は8時~20時。
ロッカーを利用したことのある化学生命工学科の生徒は「対面せずに発送・受け取りできるのがとても便利」とのこと。
地域住民も利用することができ、担当者は「気軽に利用してください」と呼び掛けています。
地域住民が利用する場合は、
杵原中央の交差点から近大通りへ上がり、最初の四つ角を左折
↓
来客者駐車場の案内看板とおりに右折しゲートをくぐる
↓
コンビニ手前にある来客者駐車場へ駐車
駐車券は守衛室にて処理してもらえるので駐車料金もかかりません。
学生でなくても使える設備・講座があるんですね!✨
施設を利用される地域の方と交流できる機会に繋がるかもしれませんね。
※プレスネット2019年10月24日号より掲載
2019年10月24日
広島大学キャンパスガイド
広島大学が行っている「キャンパスガイド」では、学生ボランティアが東広島キャンパス内を案内してくれます。
大学のすごさを知ったり、身近に感じられたりするツアーを紹介!学生の案内を動画で配信。
ガイドツアーを疑似体験してみよう!✊
予約なしで自由に参加できるガイドツアー。
広島大学の学生ボランティアが案内してくれます。その日の参加者の要望に応じてコースを設定。
毎週金曜日の13時~15時(約2時間)。法人本部棟2階に集合。問い合わせは広島大学地域連携部門へ。
電話:082-424-6134
※現在「新型コロナウイルス」感染拡大防止のため、キャンパスガイドを中止しています。
自然豊かな東広島キャンパスの南半分を一望できる。普段は施錠されており、一般の人はガイドツアーでしか入ることができない場所。
広島大学のキャンパスの面積は約250へクタール、東京ドームの53個分。国立大学の単一キャンパスでは全国3位の広さをほこります。
工学部には国内の大学の中では最大の規模を持つ試験水槽があります。CO2排出量の少ない船の開発に活用されている企業からのオファーも多いそうです。
実験に使う両生類を飼育。世界にはこのようなリソースセンターが4つあるのですが、その中でも複数を飼育するのは広島大だけ。
設置50年という歴史も世界一!
広島大学総合博物館の統一キャラクター「ヒロッグ」のモチーフもカエル🐸一般の人も自由に見学できます♪
開館は平日10時~17時。入場無料。
恐竜のフンにタッチ🦖✋
「環境と人間との共生」をテーマに、大学の紹介、宇宙・地球、里海、里山の4つのコーナーで構成。
触ってもいい化石など楽しい仕掛けが盛りだくさん。
開館は火~土曜日の10時~17時、入館無料。
2019年5月に誕生した中国産業とのコラボカフェ。キャンプをテーマにしたインテリアがおしゃれ。
コーヒー1杯200円とリーズナブル
ランチタイムには、地元のパン屋のサンドイッチなどが並び、自動車学校の案内、留学生の相談窓口もあります。一般の人も利用可能。
営業は平日の9時30分~17時30分(ラストオーダー17時)。
池と湿地、アカマツ林など大学移転前からの里山環境が維持され、貴重な動植物を観察できます。 メダカやカエルも生息。
この周辺の渓流と湿地、ぶどう池を含めて、自然を歩いて鑑賞・体験できる屋外ミュージアム「発見の小径」となっています。
自然の中を歩くのは気持ちいいですよ~
どうでしたか!? 身近にあるけどまだまだ知らないことが多いのではないでしょうか?
興味がわいた人は、ぜひ広大に行ってみてくださいね!!
※プレスネット 2019年10月24日号より掲載
\オススメ記事/
2019年10月24日
知らんかった!大学の『へぇ~』😮
東広島市は大学や研究機関が集積する学園都市。
みんなが意外と知らない〝大学のこと〟を大特集!
聞いて思わず『へぇ~』と言ってしまう大学のあれこれを紹介しちゃいます!🎓
🎓「企業人事担当者が見る大学イメージ調査」で、広島大学が「対人力」全国1位🙌
※日経HR、日本経済新聞社による調査
評価の基準は「コミュニケーション能力」や、「ストレス耐性があるか」など。
🎓広島大東広島キャンパスの敷地面積は東京ドーム53個分
広っっっっっっ!!😳
国立大学の単一キャンパスでは全国3位の広さだそう。 広すぎて迷いそうですね(笑)
🎓広島大総合博物館には恐竜のうんこの化石がある
※しかも、うんこの中に宝石がある
いや、色々と衝撃過ぎ!
めちゃくちゃ気になる… なんと実際に触れるそう!博物館は一般の人も自由に見学できるみたい。
🎓広島大が所有する「かなた望遠鏡」は全国有数の大きさ
なんと有効径(対物レンズ)は1.5m!人1人分の大きさ!
ここまで大きい望遠鏡は全国でも中々無い大きさだそう🔭
🎓近大工学部の受験生で、工学部が広島にあることを知らない人は意外と多い
実は大阪、奈良、和歌山、広島、福岡の1府4県にわたって6キャンパスある近畿大学。
意外と東広島に工学部があることを知らずに受験する生徒が多いよう…。
🎓近大工にはフードトラックが来る
不定期で構内にやってくる移動販売車(フードトラック)があるらしい…!
ホットサンド、焼き鳥、シュークリームなどを販売!
フードトラックは10時30分~15時に来るそう😋
🎓近大工は国家プロジェクトとして金属3Dプリンターの研究をしている
テレビでもたまに紹介されている3Dプリンター。
「シリコンなどを加工する」というのはよく聞きますが、金属を加工するってすごい!
🎓近大工は5人のプロ野球選手を輩出🏏
知らなかった!
佐々木修(近鉄バファローズ)1985年3月卒
佐野重樹(近鉄バファローズなど)1991年3月卒
中本和希(近鉄バファローズ)2004年3月卒
中元勇作(東京ヤクルトスワローズ)2011年3月卒
森原康平(東北楽天ゴールデンイーグルス)2014年3月卒
普段試合で活躍している選手が卒業生だったとは…!
🎓小惑星リュウグウの岩の分布を詳細に測定したのは近大工の教授
「NASAの何歩も先行く快挙」と世界中で称賛された「はやぶさ2」小惑星リュウグウへの着陸。
その着陸地点含む小惑星リュウグウの岩の分布を詳細に測定したのが 近畿大学工学部機械工学科 教授の
道上 達広(みちかみ たつひろ)教授!
🎓広国大に新しく完成した人工芝の陸上競技場は地域住民も借りることができる
「健康スポーツ学部」の実習で使用する陸上競技場を今年度に新設!
サッカーから陸上競技まで!コートがとてつもなく広くてすごい!
🎓広島国際大学の講堂の席数は、県内のホールの中でも最大級
なんと2150席も! 地域住民も利用できるようです。
🎓広国大の寮の定員数は全国7位
※定員は呉キャンパスとの合計
国際大学の寮室はなんと合計1,602室!(内、東広島キャンパス878室、呉キャンパス692室)
寮生活も充実していますね♪
🎓国家資格の義肢装具士の勉強ができる大学は西日本で広国大だけ
西日本ではここだけでしか学べないという技師装具士を目指す学生が集まって、日々切磋琢磨しているんですね!
思わず『へぇ~』と言ってしまうようなことばかり。いかがでしたか?
※プレスネット2019年10月24日号より掲載
2019年10月24日
【広島大学の若手研究者】ニワトリの遺伝資源保存法を確立
広島大学の若手研究者に着目し、その研究内容についてインタビューしました!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院生物圏科学研究科助教
中村隼明(なかむら よしあき)さんです!
始原生殖細胞に着目
ニワトリの遺伝資源保存法を確立🐓
研究テーマを一言で言えば「動物を細胞レベルで保存する研究」です。もっとかみ砕いて表現すると「現代版のノアの箱舟計画」といったところでしょうか。
ギリシャ神話の「ノアの箱舟計画」では、箱舟の中でさまざまな動物種の雄と雌のペアを冬眠させます。大洪水の後、眠りから覚めた動物は、交配して子孫を増やします。
僕の目指す「箱舟計画」では、液体窒素タンクの中で、次世代に遺伝情報を伝達することができる唯一の細胞である生殖細胞を冬眠させます。
ただ、生きた動物がいないので、交配によって子孫を増やすことができません。このため、凍結した生殖細胞を溶かして、その細胞から個体を復元する必要があります。
僕の研究は生殖細胞から、次世代の個体を復元する技術を開発し効率化することです。
小学生のとき、大干ばつの影響で、僕の住んでいた地域からベッコウトンボが姿を消しました。そういう生き物を、人間の手を介して保護していきたい、と思ったのが、動物の種の保存に興味を抱くきっかけになりました。
哺乳類の発生工学分野では、18世紀に人為的に精液を生殖器に注入する人工授精の技術が生み出され、戦後は精液の凍結保存技術が実現しました。
このことが、家畜生産の現場に人工授精の普及をもたらし、今では乳牛の99%、肉牛の95%が人工授精によって生産されています。
しかし、鳥類は哺乳類ほど種を保存する技術が十分ではありません。鳥類の卵は大き過ぎて、凍結することができないことがネックになっているからです。
研究で着目したのは、ニワトリとウズラをモデルにした始原生殖細胞です。
始原生殖細胞とは、胚(鳥類では卵の中の時期)が発生する過程で出現する精子や卵の起源細胞のことです。
その始原生殖細胞は、将来の生殖層(オスであれば精巣、メスであれば卵巣)に移動する過程で、一過的に血液中を循環することが知られていました。
この性質を利用して、血液中や生殖巣から取り出した始原生殖細胞(ドナー)を、他のニワトリの胚(宿主)の血液中に移植する技術が開発されました。
ドナー始原生殖細胞は、宿主胚が持つ能力によって、生殖巣へ移動して生着し、機能的な精子や卵になります。ただ、これまでの技術の限界として、始原生殖細胞の操作の根幹となる採取や凍結、移植の効率が極めて低いことが課題でした。
そこで、これらの課題を一つずつ解決することで、始原生殖細胞を凍結して、ニワトリやウズラを半永久的に保存する技術を確立しました。
特に、宿主胚自身が持つ始原生殖細胞を除去して、ドナー始原生殖細胞由来の精子や卵だけを作らせる技術は、凍結した始原生殖細胞からニワトリを効率的に復元することができるため、世界から注目されています。
遺伝資源は、一度損失した場合、再び取り戻すことができません。このため、現存する動物から積極的に遺伝資源を収集・凍結保存することは急務です。
日本鶏などの希少な品種は、年間産卵数が少ないため、得られる受精卵の数が制限されますから、まさに保存は必須です。
家畜化された鳥の遺伝資源の保存は、鳥インフルエンザの脅威に対抗するためにも、大切な意味合いを持ちます。
将来的には、繁殖能力の高いニワトリに、絶滅危惧種のライチョウを生ませてみたい、と思っています。どちらもキジの仲間。できないことはないと思っています。
※プレスネット2018年4月5日号より掲載
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