

2023年1月23日
【広島大学の若手研究者】研究分野はトポロジー(位相幾何学)
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院先進理工系科学研究科准教授
小鳥居 祐香さん
研究分野はトポロジー(位相幾何学)
絵(形)を数学に置き換え数式を考察
研究内容、外部に積極発信
子どものころは絵を描くことが大好きで、将来は画家になることが夢でした。それとは別に、算数や数学が好きで、大学3年生のときに、絵がたくさん出てくるトポロジーという分野の数学に出合ったのが、研究に取り組むきっかけになりました。
数学は、代数学、解析学、幾何学の分野に大別されます。トポロジーは、モノの形(図形)を扱う幾何学の一つで、ゴムのような柔らかいモノの形を扱います。絵を考察しますが、絵自身を考えるのではなく、絵を数学の言葉に置き換えて研究するのがトポロジーです
私はトポロジーの中でも、特に紐の形や絡み方について、約10年前から研究を続けています。例えば、運動靴の靴紐が、一見違う結び目の形をしていても、同じ絡み方なのではないか、ということについて、紐の形そのものを見るのではなく、紐の形を数式に対応させ、数式を使って調べます。一見数学的に曖昧そうな概念にきちんと定義を与え、数学の言葉に置き換えるところがトポロジーの面白さの一つだと思っています。
数式に変えることで、これまで、さまざまな研究者が作り上げてきた数式に関する性質を使うことができます。その性質をうまく活用しながら、紐の形に対応する数式を作り出す方法を考えています。
研究の内容を外に向けて伝えるアウトリーチ活動に積極的に取り組んでいます。アウトリーチは、研究を高校生や一般市民らに知ってもらいたい、という目的がありますが、人に伝える技術が身に付けられるので、自分自身の成長にもつながると思っています。少しでも興味を持ってもらうため、VRを使い、より視覚的にアウトリーチをすることもあります。
トポロジーは、絵を見ますから、イメージをしやすいのですが、数式に落とし込むと、絵は出てきません。数式の背景に絵があることを考え、数式と絵の間を行き来しながら考察していくことが、研究の面白さであり難しさでもあります。
数学者にはコンピューターを使って解析する人もいますが、私は紙とペンで研究をしています。そのため、どんな場所でも手軽に仕事ができるのも研究のだいご味です。
もっと、いろいろな数学の勉強をしていきたいです。多様な数学の知識がなくても研究はできますが、たくさんの引き出しを持っていた方が良い研究ができるからです。一方で、異なる分野の研究者と協力し、新しい研究を切り開く融合研究にも取り組みたいと思っています。幸い多様な分野で活躍する世界の研究者が広島大に集結し、共同研究を行うプログラムメンバーの一人にも選ばれました。新しいインスピレーションを得て自分の研究に役立てたいと願っています。
2022年12月19日
【広島大学の若手研究者】ゲノム編集技術の開発
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院統合生命科学研究科 数理生命科学プログラム 准教授
佐久間 哲史さん
ゲノム編集技術の開発
科学的なプロセスを理解し、全方向から攻める
使いやすい技術を届け、社会に還元していく
もともと人の役に立つ研究がしたくて大阪大学歯学部に進みましたが、基礎研究をしたい気持ちが強まり、広島大学理学部生物科学科に編入しました。ゲノム編集技術の研究を始めたのは2010年、博士課程後期です。以来、山本卓教授のもとで研究を続けています。
ゲノム編集技術は、2020年にノーベル化学賞を受賞するなど、近年、世界で注目されている分野です。ゲノム編集とは、生命の設計図といわれるゲノムの情報を、DNAを酵素で切断することで書き換える技術です。
細胞の中には核があり、その中にDNAがあります。ヒトでいうと、DNAには30億もの情報が含まれ、その30億のうちの特定の遺伝子だけを書き換えます。細胞は切断されたDNAを修復しようとし、その働きを利用して目的通りに改変させていきます。この「目的通り」を実現するためにさまざまなアプローチがあります。DNAを切断するはさみの切れ味や場所を認識する精度を上げるなど、科学的なプロセスを理解しあらゆる方向から攻めていきます。
ゲノム編集技術は、動物、植物、微生物などあらゆる生物、さらに産業、医療などにも応用できる裾野の広さがあります。例えば、卵のタンパク質のDNAを書き換えて卵アレルギーの方でも食べられる卵を作ったり、治療方法がなかった遺伝性の病気を治したり。また、有用な農作物を作ろうとするとき、何十年もかかる品種改良を数年で実現できるようになります。さまざまな異分野の研究者との共同研究を通して、開発した技術が社会に還元される様子が見えることもやりがいです。
オンリーワンの技術よりも、汎用(はんよう)的に使える技術の開発を目指しています。世界中の人が役立ててくれることが、技術の発展につながるからです。1988年にゲノム編集の概念の元が発見されて以来、ゲノム編集技術は生命科学の歴史上でも類を見ないスピードで進化しました。その背景には、研究者が開発した技術を独占せず、広く使えるようにしてきたという土壌があります。研究者人口も多く、毎日新しい論文が出るほど活発に研究がおこなわれています。
「より正確に、より効率よく、より安全に」を追求し、より産業に使いやすい技術を社会に届けていくことが目標です。その先に、アレルゲンを抑えた卵が食卓に上る、バイオ燃料をガソリンスタンドで注げるなど、ゲノム編集技術を生活の中で目にする未来をイメージしています。2019年に設立された大学発ベンチャーのプラチナバイオ㈱を通じて、研究成果の産業実装にも携わっています。
ゲノム編集技術の可能性は無限大。開発に終わりはありません。
2022年11月21日
【広島大学の若手研究者】研究テーマは声楽・音楽教育学
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
人間社会科学研究科 准教授
大野内 愛さん
研究テーマは声楽・音楽教育学
音楽を実技と理論の両面から研究
オペラ歌手として公演、表現方法考察
音楽を、声楽の演奏を通した実技面と、音楽教育学という理論の両面から研究しています。演奏では、広島のオペラ歌手として公演などに参加しながら、発声法や演奏表現の方法について研究しています。音楽教育学では、音楽において重要な国とされるイタリアで、インクルーシブな音楽教育をテーマに研究をしています。
中学校のとき、合唱部に入ったことが、音楽の世界に導かれるきっかけになりました。
演奏の表現方法については、歌詞の内容や感情を、どんな音色で、どんな周波数で、どんな速度で歌えば聴いている人に伝わるのか―といったことを、舞台に立ちながら研究しています。日本のトップレベルの人たちと共演することも多く、さまざまなことを学んでいます。また、発声法の研究は、人それぞれで楽器(体)が違いますから、骨格など体の構造を勉強しながら、どのような体の使い方をしたときに良い声が出るのかを考察しています。
実技は、私自身が演奏することが研究になります。音楽を通して分かったこと、そして音楽家としての精神を、声楽を学ぶ学生に還元できるようにしています。
イタリアは、障がいのある子どもたちが通常の学級に入って学ぶ「インクルーシブ教育」を実現させている国です。イタリアでは、音楽で人を育てていこうとする「音楽コース」が1999年に中学校に新設され、現在ではイタリア全中学校の25%に設置されています。音楽コースでもインクルーシブな音楽教育に取り組んでおり、興味を持ちました。
音楽コースでは、障がい児と健常児が一緒にアンサンブルを楽しんでいます。アンサンブルは、一人が欠けると成立しません。私が研究対象で訪れた学校では、多くの障がい児が通っており、「できなければ助ければいい。助ければ一緒にできるじゃないか」という取り組みが浸透していました。障がい児も健常児もできないことはあります。障がい児はできることとできないことのデコボコが健常児よりも大きいのかもしれません。少しのサポートで、ともに演奏できる可能性があることに気付きました。
多様な仲間たちとの演奏による共感は音楽のもつ素晴らしさと言えます。研究をする中で、インクルーシブ教育を実現するにあたり、音楽のもつ大きな可能性を感じています。
日本でインクルーシブ教育を実現するためには、学力の保障が課題になります。今後私は、障がいのある子どもたちと一緒に学ぶことで、健常児の音楽の学力が向上する可能性を考察していくつもりです。
「目の前のことに誠実に!」。今、目の前にあることに誠実に、一生懸命に取り組んでいくことが、結果的に将来の夢や自分の望む未来になる、と思っています。
2022年10月25日
【広島大学 輝く学生にズームイン】広島大学校友会
11月5日にホームカミングデー
広島大の魅力発信。市民との交流促進
校友会学生チームら企画
広島大の卒業生や在学生、東広島市民たちが交流を深める「広島大学ホームカミングデー」が11月5日、東広島市鏡山の広島大学東広島キャンパスで開かれる。主催者の一員として準備を進めている広島大学校友会の学生チームのメンバーは「多くの人に来ていただき、広島大の魅力に触れて」と話している。
ホームカミングデーは、今年が16回目で、ホームカミングは英語で帰宅や帰郷を意味する言葉だ。2007年に広島大学校友会を設立し、「大学が卒業生や旧教職員にホームカミングを案内し、卒業生の交流を促進したい」と始まった。09年の3回目からは、「多くの人に広島大を知ってもらいたい」と市民にも大学を開放し、市民参加型のイベントとして定着、大学と校友会が共催して続けている。
今年は9時30分から17時まで、サタケメモリアルホール周辺のホームカミング広場を中心に、東広島キャンパス一帯で開かれる。サタケメモリアルホールでは、オープニングセレモニーに続いて、俳人・エッセイストで知られる夏井いつきさんが講演を行う。俳句やことばが持つ力について、分かりやすく伝える。
各学部・研究科は、研究内容を市民や卒業生に紹介。市民参加型の企画を用意している研究室もある。理学部では、「現代科学をあなたの目で」と銘打って、市民が持ち寄った岩石を鑑定したり、海の珍しい動物を公開したりする。自然科学研究支援開発センターでは、極低温の不思議な世界を見ることができる。
ホームカミング広場では校友会の学生チームが主体となった企画が並ぶ。「先輩見つけ隊」と銘打ったブースでは、卒業生や在学生たちの両手を開いた写真を撮影。A3サイズにラミネート加工を施し、写真をつなぎ合わせていく。今後、数年をかけて写真を撮り、最終的には、つなぎ合わせた写真で東広島キャンパスを周回できるようにする。
広島大と連携協定を結ぶ県内外の市町からも特産品や人気グルメが揃う。学生チームは「卒業生に東広島や広島を思い出してもらおう」と自らお好み焼きや美酒鍋のブースを出店する計画だ。
特設ステージでは、さまざまな学生サークルが日頃の成果やパフォーマンスを披露。市民が一緒に楽しめるイベントも用意している。
学生チームの片山開貴さん(法学部3年)は「僕たち学生が市民の方々と触れ合う機会はほとんどない。市民の方々には、気軽に足を運んでもらい、素の広島大や学生を知ってもらうきっかけにしてもらえれば」、山中千紘さん(経済学部2年)は「五感で楽しめるのがホームカミングデー。ブラッと、遊び感覚できてください」と話している。雨天決行。
2022年9月27日
【広島大学の若手研究者】研究領域はスポーツ科学
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院人間社会科学研究科 助教
尾崎 雄祐さん
研究領域はスポーツ科学
陸上の競技力向上に着目し研究
指導者や選手の指南になる研究を
小学生のときから、ハードル走に取り組み、今も現役選手として競技を続けています。選手として、どのような練習に取り組んだら競技力が高められるだろうか、と思っていたことが、大学時代の卒論のテーマになり、研究の原点になりました。
最初の大きな研究テーマです。高校生を対象に、10台あるハードルを、それぞれ踏み切った後の、着地時のタイムを計測しました。ハードル間のタイムを測ることで、その選手が、どのようなレースパターンで走っているのかを分析。記録が伸びたときには、レースパターンにどういう推移をたどってきたのかを考察してきました。
記録が伸びた選手を分析してみると、後半のタイムが劣っていた選手は、後半のタイムを改善し、前半のタイムが劣っていた選手は、前半のタイムを改善していました。長所を伸ばすよりも、短所を克服するトレーニングに取り組んだほうが、記録の向上につながっていくことが明らかになりました。
近年の研究テーマです。SSは傷害予防の一方で、運動能力を落とすことが指摘されていることに着目。短距離選手や球技選手を対象に、肉離れが生じやすいハムストリングスのSSを行った直後に、全力疾走してもらい、ハムストリングが強く関わる、膝を曲げる機能の変化を考察しました。
その結果、走力に影響を与える膝を曲げる力発揮のタイミングが遅れることが分かってきました。タイミングが遅れると、より膝が伸びたときに大きな力を発揮することになり、肉離れをしにくい脚の使い方に近づく可能性があります。一方で、走力は落ちることが分かりました。
SSは、記録を出したい試合では、リスクを伴いますが、普段のトレーニングでは故障予防につながり得ます。選手個々でSSの取り組み方を
示唆できる研究になったかなと思っています。
今後は、日常的に行うSSが、運動を行う直前のSSと比べて、アスリートにどんな影響をもたらすのか、研究したいと思っています。
大好きな陸上競技に、選手として、指導者として、研究者としてかかわることができ、夢はかなっています(笑)。研究者としては、私の論文が指導者や選手の大きな成果となって表れることを願っています。選手、指導者としては、ひのき舞台で入賞したり、入賞できる選手を育成したりすることが目標です。
取り組んできたことが数字になって表れることです。数字はウソをつきませんから、モチベーションにもつながっています。選手・指導者としてはもちろん、研究にも通じています。これからも揺るぎない信念を持って陸上にたずさわりたいと思っています。
2022年9月10日
理系学部生は院進学した方が良いのか?学部卒就職した方が良いのか?
みなさんこんにちは!
今回は、「理系学部生は院進学した方が良いのか、それとも学部卒で就職した方が良いのか」について考えていきましょう。
私のおすすめは、学部卒のタイミングで就職活動を行い、大学院へ進学することです。
大学院へ進学しておけば就職活動なんて余裕だと思っているかもしれませんが、意外とそうでもありません。
理系大学院卒の人材が引く手数多なのは事実ですが、自分にあった会社に入社できるかどうかはしっかりと就職活動に取り組んだかによって大きく左右されます。
学部卒のタイミングで1度就職活動を経験しておけば、大学院卒のタイミングで非常にスムーズに就職活動を行うことができます。
さてさて、私の意見はこのくらいにして、大学院卒と学部卒の違いについて見ていきましょう。
今回は、お金の観点から3つを紹介します。
情報源は少し古く、2014年内閣府経済社会総合研究所が発表した論文をもとに生涯賃金収入についてお話しします。
学部卒の人の生涯賃金収入は、男性で2億9163万円、女性で2億6685万円。一方、大学院卒の人の生涯賃金収入は、男性で3億4009万円、女性で3億1019万円です。
つまり、男性で4846万円、女性で4334万円の差が生じるのです。
ちなみに2021年の学歴別平均年収額では、院卒454万1000円に対し、学部卒は359万5000円です。学部卒平均には22~24歳の平均年収が入っているとはいえ、実に100万円近くも差がついています。
生涯賃金収入では大学院に進学した方が良さそうですね。
初任給の比較には、厚生労働省が発表している令和元年賃金構造基本統計調査結果のデータを用います。
学部卒の初任給が20万6100円、院卒の初任給が23万8900円となっており、学部卒に比べて院卒の方が約3万円程度高い初任給を得られることがわかります。
生涯賃金収入に続いて初任給でも院卒に軍配が上がりました。
でも待てよ。と、学部卒では22歳での初任給だけど、大学院卒業時点では24歳での初任給だから24歳時点の給与が高いのは当たり前じゃないかと思った賢いあなた。24歳時点での平均年収についてもお話ししますのでご安心ください。
ここまでは生涯賃金年収でも初任給でも大学院卒に軍配が上がっていましたが、24歳時点での平均年収ではどちらに軍配が上がるのでしょうか。
先ほども用いた令和元年賃金構造基本統計調査結果によると、院卒の新卒年収は賞与などを含めて平均309万円です。それに対して、学部卒の平均年収は平均で325万円です。
ということで、24歳時点での平均年収は学部卒に軍配が上がりました。
今回は、「生涯賃金収入」「初任給」「24歳時点での平均年収」というお金に関わる観点から、院進学と就職のどちらが良いのかについて見てきました。
今回の記事を通して、稼ぎの面では院卒に軍配が上がることはおわかりいただけたと思います。
ただ、大学院生として過ごす2年間は学部卒で就職した友人が眩しく見えることもあります。
自分の仕事にやりがいをもって働き、楽しそうに仕事の話をし、自分で稼いだお金で奢ってくれる友人を見てカッコいいなと思えます。
早く自分の力で生きていきたいと考えている人は大学院に進学するのではなく、学部卒で就職して社会人として自立する生き方を選ぶのも良いのではないかと思います!
最後にもう一度、大学院に進学するとしても学部卒のタイミングで就職活動をオススメすることは伝えておきます。修士課程を修了すれば良い会社に入れるというわけではありません。学部卒のタイミングで就職活動を通して自分と向き合う経験をすることで大学院生としての生活もより充実したものになります。
おしまい。
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2022年8月22日
【広島大学の若手研究者】GISで可視化、災害など考察
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院先進理工系科学研究科助教
田村 将太さん
専門は都市計画
GISで可視化、災害など考察
都市計画家兼ねた研究者に
大学では建築を学んでいましたが、建物を建てる際には周辺環境にも配慮が必要です。そうすると、都市全体で建物を考える必要があり、都市計画分野に関心が移っていきました。
研究者を志したのは、アメリカ・メリーランド大学への留学がきっかけです。研究者として理論研究を進めながら、現実の都市計画に携わる方々との協同研究の機会に恵まれ、研究者かつアーバンプランナー(都市計画家)になることが、自分の進むべき道と思うようになりました。
地理情報システム(GIS)を使い、さまざまな研究に取り組んできましたが、ここでは二つの研究を紹介したいと思います。一つ目は、コンパクトシティに関する研究です。日本の多くの都市では、人口減少により都市施設維持コスト(道路や上下水道等)や環境負荷増大等の問題が生じており、これらの解決に向けてコンパクトなまちづくりが求められています。
二つ目は「平成30年7月豪雨」の被害分析です。私自身、災害直後からボランティアセンターでGISを用いた情報支援活動を行う中で、河川氾濫等による甚大な被害を目の当たりにし、災害に強いまちづくりの必要性を強く感じました。そこで本研究では、三原市沼田川流域を対象に、浸水被害の特性について分析しました。
広島市を対象としたコンパクトシティに関する研究では、都心部から離れたエリアや市街地縁辺部で、1人あたりの自動車の二酸化炭素排出量や都市施設維持コストが大きくなることが分かりました。またこの結果をもとに、市街地中心部に集約した都市をGIS上で評価した結果、二酸化炭素排出量と施設コストが削減されることが明らかとなりました。
豪雨災害に関する研究では、沼田川流域の被害を分析した結果、比較的古い建物の被害が少なく、新しい建物の被害が多いことが分かりました。これは、この地域が以前より水害常襲地域であるため、浸水リスクの低いエリアから優先的に開発されてきたものの、戦後の人口増加に伴い、浸水リスクの高いエリアまで開発が進んだことが要因と考えられます。
今後はこれら二つの研究の視点から、災害軽減を考慮したコンパクトなまちづくりが重要になると考えています。
だいご味は、知的好奇心を刺激してくれることです。特にデータを地図化、可視化して初めて分かることに出会えた時に研究の面白さを感じます。知りたいと思うことが、私の研究の原動力となっています。難しい点は、研究成果をいかに都市計画まで落とし込むかということ。現実は理論だけでなく、地域の実情や住民の思い等も考慮し、地域に合わせた将来像を描く必要があるためです。
豪雨災害は常習化しており、災害に強いまちづくりのための施策が行政に提言できるよう、土砂災害から内水氾濫まで、災害に関する研究に力を入れたいと思っています。
2022年8月20日
人は学歴で判断されるのか。〜広島大学生のエピソード〜
みなさんこんにちは!
今日は「学歴」についてお話をしていこうと思います。
私たちが通う広島大学は岡山大学と並び、中国地方で最も偏差値の高い大学だと言われています。
みなさんは、なぜ広島大学を目指したのでしょうか?自分の学力で入学できる大学の中で最も偏差値が高かったから、という理由で広島大学に入学した人も少なくないと思います。
ではでは、みなさんが持っている広島大学の学生という価値はどのような場面で発揮されるのでしょうか。
そもそも、どこの大学に通っているのかは重要なことなのでしょうか。
今回は、私の友人のエピソードの中から学歴に関わるものを紹介します!
色々な価値観の人がいるなと思いながらゆる〜く読んでいただけると嬉しいです。
現在はオンライン就活が一般的になっていますが、オフラインでの面接や企業説明会を行う企業も存在します。今回はオフライン(東京)での企業説明会で起こった出来事についてお話します。
企業説明会が終わり、Aさんと一緒に昼食を食べることになりました。Aさんは初対面からタメ口で話しかけてくるようなフランクな人でした。しかし、大学名を伝えた瞬間から急に敬語に…。
もう少ししたら新幹線の時間なのでそろそろ駅に向かいます
OK!そういえばどこの大学に通ってるの?
広島大学っていうど田舎の大学ですよw
あ、そうなんですね。すごいですね。
いやいや、そんなに大したことではないですよ。
いや、すごいと思いますよ。就職活動はどんな企業を受けられてるんですか。
(その後も敬語での会話が続き…。)
本当にありがとうございました。色々勉強になりました。
(なんかお礼言われるようなことしたかな?)こちらこそありがとうございました!楽しかったです!
学歴を知った瞬間に急に態度が変わる人が世の中にはいるようですね。
友人曰く、「学歴知って急に態度を変えられて悲しかった。本人ではなく学歴で価値を推し量る人が本当に存在することにショックを受けた。」ということでした。
続いては飲食店でのアルバイトの話。友人は個人経営の飲食店でアルバイトをしていました。初めて2週間くらいたったある日のこと、仕事中にメモを取っていると…。
何してるの?
今教えていただいたことをメモしています。
そんなことはいいから早くお客さんのところに料理持っていって。
わかりました!
(料理を持っていた後にメモを取る)
何してるの?
先ほど教えていただいたことをメモしてます。
働いているふりしなくていいから実際に働いてくれる?
これだから広大生は…。自分が正しいと思ってる奴が多いんだよな。
!?
過去に広大生と何かあったのでしょうか。
そもそもそんなに広大生が嫌いなら、面接の段階で不採用にすればいいだけだと思いますがね。ちなみに、他の職場では「さすが広大生は仕事が早いね!」と言われたこともあると話してくれました。
最後に高学歴はモテるとかモテないとか…。という話。
これは友人が大学受験の際に付き合っていたパートナーに言われた衝撃の一言。
絶対に広島大学に合格して、将来は公務員になってね。そしたら将来安泰だから!
いや、衝撃の一言でした。
まさか現実世界でこんなことを言われた人がいるなんて…。その後、無事に破局したそうです。
この一言が別れの決定打になったのかはわかりませんが、友人は「学歴を求められているのはいやだったし、将来の職業に口を出してくるような人とは一緒にいられないと思った。」と語ってくれました。
今回は、広大生という学歴によって影響を受けたエピソードを紹介しました。
今回エピソードを取りあげた友人は、学歴というフィルターを通して自分を見られることを嫌う傾向があったようですね。
みなさんは、学歴というフィルターを通して見られることに対してどのように捉えていますか。周りから羨ましがられることに快感を覚える人もいれば、今回取り上げた友人のように嫌悪感を覚える人もいるかもしれません。
学歴もいいけど、もっと個人個人にフォーカスして人間関係を築いていけるといいのかもしれませんね!
おしまい。
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2022年8月19日
広島大学生が語る!田舎の大学のメリット!
みなさん、こんにちは!
先日広島大学でオープンキャンパスがありましたね!
オープンキャンパスに実際に来た人は、「広島大学が思ったよりも田舎だ」ということに驚いた人もいるのではないでしょうか?
また、新入生の中にも田舎だという理由で広島大学に来たことを不安に思っている人もいるのではないでしょうか?
今回は、広島大学6年目の学生が「田舎の大学のメリット」についてご紹介します!
(※広島大学で過ごしてきた私の個人的見解です。)
都会大学であれば家賃は5万円以上が普通かと思いますが、田舎大学では安ければ1万円台でアパートを借りることができます。
水道が井戸水のアパートもあるので、水道代が無料のことがあります。
また、ほとんどの人が学生街内に住んでいるので、大学に行くのにおしゃれをする必要もありません。特に体育会系の部活・サークルに所属している学生は、ジャージで登校している人が多いです。
これは秘策ですが、田舎大学であれば大学の周りに田んぼや畑がたくさんあります。畑仕事を手伝うなどして、近所のおじいちゃんやおばあちゃんと仲良くなれば、野菜をくれることもしばしばです。
娯楽については、そもそも遊ぶ場所がカラオケや居酒屋、麻雀以外近くにないという問題があります。
これは、デメリットにも見えますが、「どうしても頻繁にディズニーに行きたい!」という人以外は大した問題ではありません。
充実した大学生活は、毎日のように見栄を張っておしゃれで高いカフェやレストランに行ったり、大きなデパートに行くことではありません。正直バイトやサークルで忙しいという人が多いので、暇な休日に少し行くぐらいで十分かと思います。
無駄遣いするお金が減るということは、大きなメリットではないでしょうか?
田舎大学は都会大学と比べてモテやすいです。
想像していただいてもわかるように、人口が少ないので競争率が低いです。田舎大学は娯楽があまりないのもあって、恋愛に走る人も多いのでカップル率は高いです。
また、多少の見た目が良ければもてはやされるので、かなり努力のしがいがあると思います。
大学生といえば恋愛でしょと思っている人もいると思いますが、より多くの人が理想の大学生活送れるのではないでしょうか?
都会大学の友人は、バイト募集をしていないところが多いこともあり、なかなか選ぶとバイトが見つからないと言っていました。
田舎大学ではそんなことは基本的にはありません。
もちろん選ぶ幅が狭かったり、タイミングもありますが、素行が悪くない限りは「バイト面接に落ちた」という話は聞いたことがありません。(田舎の程度にもよると思います。)
また、都会よりもお客さんの数は少ないので、都会でバイトをするよりは忙しくないことが多いと思います。
また、大学中に個人事業をしてみたいという人もいるかと思います。
田舎はそもそもあまり発展していないこともあり、都会だとあまり仕事をもらえないけど田舎だともらえやすいということがあります。特に一つ話が来ると、とんとん拍子で進むこともあります。
田舎ならではですが、地域活性系のことであれば学生の力を欲しているところもあるので、事業とまではいかなくても、ボランティアやアルバイトの規模で貴重な経験ができると思います。
基本大学の近くに住んでいて学生街内で生活をするので、通学などで公共交通機関を利用することはほとんどありません。
満員電車などの人混みで息苦しい思いをすることはまずないですし、終電で時間を縛られることもありません。
人の動きも比較的のんびりなので、穏やかに過ごすことができます。
また、駅まで歩いて電車に長時間乗ってという無駄な時間がないので、24時間を有効的に使えます。
田舎大学とネットで調べると、「就活に不利」や「出会う人が限られている」などマイナスなイメージが書かれていることが多いです。
以前は確かに納得できることもありましたが、コロナ禍でオンライン化が進んだ今、そんなこともなくなってきました。
就職活動ではオンライン説明会やオンライン面接など、どこに住んでいても同じ土俵で戦えるようになりました。長期インターンもオンラインでできるものもあったりするので、ガクチカにも困りません。
出会う人の幅が少ない問題に関しても、オンラインセミナーなどを活用すればいろんな人と出会うことができますし、地方移住なども進み田舎に面白い人も増えているので、そんな人と仲良くするのもとてもいいことだと思います。
そもそも、田舎で出会えないと言っている人は行動力がないので、都会に行っても出会えません笑
住めば都と言いますが、都会と田舎という場所だけで今は良い悪いを決めることは難しくなっていると思います。
大学生にとっては大学でやりたいことがあるということが大切なことだと思うので、場所以上に自分の好奇心を追求して大学を選択するのが一番なのではないでしょうか?
おしまい。
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2022年7月27日
【広島大学 輝く学生にズームイン】広島大硬式野球部
広島六大学のリーグ戦優勝が目標
主体性を持ち練習に打ち込む
過去、春3回(全日本大学野球選手権)、秋2回(明治神宮野球大会)の全国大会出場経験を持つ広島大硬式野球部。全国舞台につながる広島六大学野球の春季・秋季リーグ戦の優勝を大きな目標に掲げながら、練習に打ち込んでいる。
現在の部員数は学部生の57人。練習は週に6日で、全体練習の後、それぞれが自主練習に取り組む。監督は勤務の関係で、週末しか指導できないため、学生たちが練習メニューを考える。学生が主体性を持って練習に取り組むのは、広島大の伝統だ。幹部の3年生を中心に週に1回、ミーティングを行い、下級生やポジションごとの意見をくみ取りながら、1週間の練習内容を決める。
フィジカル面で、選手をサポートしているのが東広島市内でトレーニングルームを開設している高島誠さん。選手たちは、メジャーリーグ球団でトレーナーを務めた経歴を持つ高島さんのもとに、投手陣全員と野手の一部が、週2回通い、故障を予防する強い体作りに励んでいる。また、今年6月からは、元広島カープ監督の野村謙二郎さんが、広島大スポーツセンター客員教授に就任。それに合わせ野球部のアドバイザーになり、選手を支える。
近年の広島六大学野球は、甲子園出場組や強豪私学高出身者が揃う近大工学部と広島経済大の2強時代が続く。広島大は、2018年春のリーグ戦を制したのを最後に優勝から遠ざかる。今年の春のリーグ戦では、不本意な4位に終わった。当然、8月下旬から開幕する秋のリーグ戦は、春を上回ることが最低目標だ。
リーグ戦は、6大学が総当たりで戦い、各カードで、先に2勝をした大学に勝ち点が与えられる勝ち点制で競う。選手たちが意識するのが対戦カードの初戦を取ることだ。紅林輝希主将(教育学部3年生)は「第1戦に勝てば、気持ち的に優位に立てる。おのずと良い順位が見えてくる。チームの力で2強に食らいついていきたい」と強調する。
その初戦のマウンドを担うのが、多彩な変化球で打者を翻弄(ほんろう)する主戦の平田宗一郎さん(総合科学部3年生)だ。「長打を打たせない投球を心掛け、結果を出したい」と意気込む。
今のチームには、甲子園出場経験者はいない。それでも、「能力の高い選手が集まり、近年では一番強い。優勝争いに絡んでいきたい」と学生コーチを務める竹内空さん(大学院人間社会科学研究科)は言い切る。
秋のリーグ戦は、4番を務める奥成航太さん(教育学部)ら力のある4年生が主力として残るのも、チームを後押しする。もちろん、控えの選手も虎視眈々(たんたん)とレギュラーの座をうかがい、チーム内に競争意識を植え付けている。外野手の中島悠輝さん(工学部3年生)は「秋は多くの試合に出て経験を積みたい」と目を輝かせる。
秋のリーグ戦で勝ちグセを付け、リーグの常勝軍団へ―。選手たちが思い描く青写真だ。
※プレスネット2022年6月30日号より掲載
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