

2019年2月7日
ラジオ講座「学びの時間」 2月8日~3月1日
〈テーマ〉 〝学園都市〟東広島市 まちづくりのルーツ
広島大学OBの教職員らでつくる「広大マスターズ」の会員を講師に迎えた週1回のラジオ講座を放送します。テーマは生活、地域社会などで、全4回。2月8日~3月1日の内容を少しだけ紹介します。
今回の講師 塚本俊明さん
つかもと・としあき 都市計画が専門。広島大学工学部建築学科卒業後、賀茂学園都市計画への参加を契機に都市計画の仕事に30年間携わる。その後、広島大学産学・地域連携センター教授を経て現在は広島工業大学工学部特任教授、広島大学名誉教授。東広島市高屋町在住。
東広島市が誕生して今年で45年。広島大学の統合移転を契機に急速な発展を遂げ、県内第4位の人口を擁する都市に成長しました。その基礎となったのが「賀茂学園都市建設計画」。大学を核とする新たな計画の内容やその後の都市づくりについて知ることで、東広島市の「今」が見えてきます。身近な「まち」を考えるきっかけになれば幸いです。
広島大学が西条町に統合移転を決定したのが1973年。その年には、建設省(当時)・広島県によって「賀茂学園都市建設計画」の策定が始められました。その背景には、国の進める大学を核とした「学園都市」建設構想、広島県が進める広島広域都市圏の発展計画などさまざまな動きがありました。さまざまな力が結集され、当時最先端の「大学の移転と一体となった都市づくり」の計画がつくられたのです。
広島大学の用地買収、造成工事を皮切りに、東広島市では大規模な事業が次々と行われ、まちの様子が急激に変化していきました。新幹線東広島駅、国道2号バイパス、東広島ニュータウン、西条中央地区の土地区画整理事業などの事業はこの時代に整備されました。ただ、急速な都市化に伴う問題も生じることになりました。
東広島市が工業都市というと違和感を持たれるかもしれません。しかし、東広島市の工業出荷額は広島県内第4位で、第3位の呉市とほぼ肩を並べるほど。これは、1980年代に広島県が進めたテクノポリス計画の中心核として研究機関や先端産業などの集積が進んだため。東広島市の人口増加が続き活力が維持されているのは、この時代のさまざまな施策の結果だと言えます。
2005年、平成の広域合併によって東広島市は中山間地域から瀬戸内海に至る市域となり、人口19万人を数える都市になりました。しかし、東広島市誕生以来目指してきた「学園都市」「国際学術研究都市」は実現しているでしょうか。
毎年全国・全世界で活躍する3000人を超える大学生や多くの留学生・JICA研修生、先端企業や研究所の研究者にとって、東広島市は誇ることのできる都市になっているでしょうか。
そのためには、私たち市民の力が試されています。
FM東広島(89.7MHz)で塚本先生の講座を放送します。それぞれ、日曜日17時~、再放送をします。
●大学の受け皿として、町から市へ
●大学と共に歩むまちづくり計画
●まちの様子が急変
●大学とまちをつなぐ道路・ブールバールの誕生
●研究機関や先端産業の集積が進む
●市の人口増に関係
●目指してきた「学園都市」は実現しているか
●市民にできること
2019年1月31日
【広島大学の若手研究者】大量のデータを基に英語学習者の傾向分析
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大外国語教育研究センター助教
高橋 有加 さん
関係詞に着目したコーパス分析による習熟度別特徴付けがテーマ
コーパスとは、実際に使用された大量の言語資料をコンピューター上にデータベース化したもの。そのコーパスを利用して、言語の傾向や仕組みなどを分析するのがコーパス言語学です。
コーパスには、さまざまな種類があり、私が今研究で使っているのは日本人英語学習者の書き言葉コーパスや話し言葉コーパスです。
近年、日本の英語教育に影響を与えている国際的な外国語習熟度の基準にヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)があります。CEFRには6つのレベルがあり、日本人に特化したコーパスを使い、それぞれの習熟度の学習者にどのような言語使用の特徴があるのか明らかにしたいと思っています。
コーパスの検索結果をパソコン画面で確認する高橋さん
そのレベル分けの際に有効な基準になると判断したのがwhichやthatなどの関係詞です。
説明を加えたり、限定したりする関係詞は、日本人が習得するのに時間がかかる文法項目の一つとされており、関係詞が英語力を見る目安になると考えました。
関係詞の使用頻度は、CEFRレベルが上がるにつれて多くなっていることが分かりました。また、関係詞の知識があっても間違いを恐れたり、使用が不必要であると判断したりした場合には使用されない関係詞が多くあることも分析できました。
エラーに着目すると、習熟度レベルが中級程度になるにつれて、関係詞のエラーの頻度も高くなることが分かりました。
ただ、エラーが多いことは関係詞を使っている証拠でもあり、ある程度のレベルに到達している目安として見なければならないことを示唆しています。
小学生のときに、「ハリー・ポッター」の映画を見て、登場人物の流ちょうな英語に感動。
「いつかあんな英語で世界中の人と自由に話してみたい」と思ったのが、英語を勉強するモチベーションになりました。私の経験だと、英語を使って何かを知りたい、という具体的なイメージをつくることが、英語が好きになる近道かもしれませんね。
関係詞以外の文法項目も分析してみたいと思っています。
学生に英語を教える高橋さん(英語の授業風景の一コマ
こうした研究を通じて分かったことを教材開発やシラバス(授業計画)の構築に役立てたり、具体的な学習到達目標のための目安として応用したりすることで、効率的な英語学習につながれば、と思っています。
※プレスネット2019年1月31日号より掲載
過去の「広島大学の若手研究者」はコチラ
2019年1月31日
聴覚障害ある中国人学生 広島大に入学し、大学院目指す
2017年10月に広島大学で行った短期プログラム「日本語・日本文化特別研修」に参加した中国の長春大学特殊教育学院のリュウ・キヨウさん(24)とチョウ・ムギさん(25)が、昨年10月に広島大に入学した。
聴覚障害があるリュウさんとチョウさんは、障害のある学生対象に初めて行われた同プログラムに参加。昨年6月に長春大学特殊教育学院を卒業後、「ぜひ、広島大に留学したい」とリュウさんは教育学研究科、チョウさんは国際協力研究科の外国人研究生としてそれぞれ入学。
リュウさんは1月23日、教育学研究科の3人の大学院生と一緒に、水墨画のワークショップを受講した。池田吏志准教授は、ポインターでスクリーンの文字を示したり、ホワイトボードに文字を書いたりしながら説明。リュウさんは大学院生たちと一緒に順番に加筆しながら、イメージを膨らませ、1枚の水墨画を描いていた。
リュウさんとチョウさんは「美術教育を学びたい。広島大で教え方や専門知識を深めたい」と目を輝かせる。チョウさんは「日本のアニメが好き。勉強したい」、リュウさんは「日本の手話を身に付けて、交流を広げたい」とやる気に満ちていた。2人は、広島大の大学院入学を目指している。
2019年1月24日
市長と語ろう! 気軽におしゃべり
【テーマ】 未来の東広島
石丸さん「学生がさらに集まり、地域とつながれるまちに」
高垣市長「AIが進化した社会をイメージし、今ある課題に対応」
東広島市の高垣広徳市長と市民が気軽にトーク。今回は、今年、成人式を迎えた大学生・石丸千襟さん(黒瀬町)と「未来の東広島」について、FM東広島の番組でおしゃべり。その一部を紙面で紹介。
―この20年、大きく時代は変わってきました。これから、さらにどう変わると思いますか。
高垣 人工知能(AI)や、モノをインターネットでつなぐ「IoT」が急速に進化しています。自動運転で連結して走る自動車や、体内に埋め込んだICチップでの電子決済などが広がる時代も、遠からず来るといわれています。ロボットも進化し、私たちの分身として、介護や通訳などをさらにサポートするようになるでしょう。その時に、どんな施策がいいかをイメージしながら、今の課題に対応していく、このように考えています。
―石丸さんは現在、広島大学でどんな勉強を。
石丸 人間が作り出した芸術や、人間の倫理観などを複合的に研究しています。
高垣 大きく社会が変わり、AIが人間を超える日が来るといわれる中でも、芸術、倫理、哲学、どう生きるかなどが最後の大きなテーマ。そこを押さえていないと将来を見ながらどうやって生 きていくか、答えが出ない。仕事がテクノロジーに取って代わられることがあるが、新しい仕事も生まれる。その時は創造性、芸術性、倫理観、トータルでいうと『人間力』が必要となってくる。時代は変わってきたが、倫理、哲学は生き続けています。
石丸 学びたいという学生をもっと取り入れるためにも、交通の利便性が向上し、地域での交流が活性化したらいいと思います。人と人とのつながりはかけがえのないもの。いろんな人とつながれるようになった時代だからこそ、つながりを大事にしていきたい。
高垣 市民の1割が学生。市の行事や課題にも関心を持ってもらい、若いアイデアを課題の解決に生かしてもらうと、地域との関係性が深くなる。若い人が社会と関わることで、ネットワークが広がります。
2019年1月19日
ロボホン使い理科の授業
西条小で実証実験
東広島市と広島大学などはこのほど、市立西条小の6年生の授業で、シャープ広島事業所が製作したモバイル型ロボット(以下ロボホン)を活用し、プログラミング教育の実証実験を行った。取り組んだのは約40人で、理科の授業でロボホンを活用した。子どもたちは、タブレット端末のソフトを使い、炭酸水や塩酸、食塩水など5種類の水溶液の性質について、質問を組み合わせながらロボホンに覚え込ませた。
この後、子どもたちは、実際にリトマス試験紙を使って水溶液の特徴を調べ、組み立てたプログラムが正しく動作しているかを、ロボホンとのやり取りで確認。ロボホンが何の水溶液かを当てると、子どもたちから驚きの声が上がっていた。神重聡佑君は「楽しかった。ロボホンを使ったおかげで、水溶液の性質がよく分かった」と目を細めていた。
教育現場でのロボットの活用は、同市が今年度から広島大と取り組む9つの共同研究の一つ。2020年度からの新学習指導要領にプログラミング教育が盛り込まれるのを前に、ロボットを使ったプログラミング的思考を育成する教育モデルを開発するのが狙い。研究メンバーの広島大大学院工学研究科の林雄介准教授は「将来、開発した教育モデルが全国の自治体に広がっていけるよう、さらに研究を深めていきたい」と話していた。
2019年1月4日
市長と語ろう! 気軽におしゃべり
【テーマ】 学生と地域の関わり
宮迫さん 「地域の人と関わり「また帰ってきたい」と思うまちに」
高垣市長 「若いパワー、新しい発想は地域で生かされる」
東広島市の高垣広徳市長と市民が気軽にトーク。今回は西条在住の大学生・宮迫大樹さんと「学生と地域との関わり」について、FM東広島の番組でおしゃべり。その一部を紙面で紹介。
―宮迫さんは広島大学の学生団体mahoLabo.(まほらぼ)のメンバーです。
宮迫 学生とまちをつなぐことを目的に、ウェブメディアの運営とイベントの企画をしています。店の人やさまざまな活動している人の思いや取り組みを取材し発信。東広島には特徴的な人がたくさんいて、学生の活動を応援してくれる人も多いと感じています。
―東広島での暮らしは。
宮迫 5年生活していますが、まほらぼの活動を始めたこの1年は、特に地域とのつながりを感じ、東広島が「帰ってきたいまち」だと思うようになりました。
―「帰ってきたい」と思ってくれるのはうれしいですね。
高垣 はい。東広島に就職、定住しない学生が多い中、どうしたら学生と関わることができるかは課題。学生は1万7000人で、市の人口の約1割を占めます。地域のさまざまな社会問題を解決する上で、学生の若いエネルギー、新しい発想が生かされるのではないかと思っています。宮迫さんの取り組みは素晴らしく、「帰ってきたい」と思えるまちづくりは、市政が目指していることと一致します。
―学生は、どうやったらまちと関わりやすいですか。
宮迫 私たちが取材している人は、学生を歓迎してくれている人で、そこには東広島の魅力があります。そこへ実際に行って人とコミュニケーションを取ってほしい。その土地の人の顔が見えるようになると、「私は東広島の人間である」という自覚が芽生えてきて、まちのイベントにも積極的に関わっていけるようになるのでは、と思っています。
高垣 ターゲットは人なんですね。「あの人に会いたい」と思ったときに帰ってきたくなる。若者が得意なウェブサイトを通して、地域のさまざまな年代の人と関わるきっかけになる。ジェネレーションギャップを埋めて、新しい人間関係を作ってくれる取り組みだと思います。期待しています。
2018年12月20日
広島大学 輝く学生
ナゾサークル・おにラビ代表 南 佳孝さん
体験型謎解きイベント制作サークル
ツイッター投稿と大学祭の公演が柱
誰もが驚く謎を作りたい
■発足のきっかけ
2015年5月に発足しました。初代代表を務めた小頭裕輝さんが、大阪で行われた、謎解き体験型イベントの「リアル脱出ゲーム」に参加して、その面白さに感動。自分たちでも作って公演し、多くの人に楽しさを伝えたいと思ったのがきっかけになりました。
■活動
現在のメンバーは学部生を中心に50人。遊び隊と呼んでいますが、うち30人は謎を考える制作勢です。制作勢はツイッターに週に1回程度、謎を投稿することと、大学祭での公演が活動の柱です。特に大学祭はサークル活動の集大成。SCRAPという会社が商標登録している「リアル脱出ゲーム」のように大掛かりなものはできませんが、「リアル謎解きゲーム」と銘打っ た、おにラビ流の公演に仕立てています。 制作勢を除く遊び隊は県内や近郊で開催される他団体の謎解きイベントに参加することが活動です。
■謎を作る
例えば、干支(えと)をキーワードにしたとき、子(ね)から亥(い)まで12の番号を振ります。12と1の番号を組み合わせると「いね」という言葉が連想できるように、何かと何かを組み合わせながら謎を作っていきます。アイデアは、僕の場合だと、ぼうっとしているときに、フッと降りてくるケースが多いですね。不思議なことですが、いざ謎を考えようと思ったときには、なかなかアイデアがでてきません。
■面白さ
謎を解く側の醍醐味(だいごみ) は、謎が解けた瞬間の「あっ!」という、何とも言えない快感だと思います。
作り手は、解く側にその快感を与えたいというのが本音です。謎を考える楽しみは、数学の証明問題を解くように、組み合わせ次第で、想像もつかないような新しい謎が発見できることです。
■過去の作品
正確には把握していませんが、ツイッターで出した謎は700近くに上ります。有名なゲームメーカーの依頼で制作した作品もあり、サークルの活動費に充てたりしています。
■これから
謎解きは、二次元のゲームの世界に、SCRAPが三次元の「リアル脱出ゲーム」を考案し、大きなブームになりました。
現在はゲームブックになったり、ツイッターで上がったり、とさまざまなツールで謎解きが楽しめるようになりました。おにラビ発信の新たな方向性を考えたいし、誰もが驚くような謎を作りたいと思っています。
2018年12月13日
小学生が対局を楽しむ
酒蔵通りで小学生将棋大会 大学生が企画
第1回東広島市西条酒蔵通り杯小学生将棋大会(同大会実行委員会主催)がこのほど、賀茂鶴一号蔵とくぐり門で行われ、市内外から参加した約60人の小学生が、熱い対局を繰り広げた=写真。
午前中に行われた予選リーグを勝ち上がった小学生が、午後からの決勝トーナメントに進んだ。広島市から参加した小学5年生の男子が優勝した。他にも決勝戦のリアルタイム対局解説や自由対局や詰め将棋クイズなども行われ、将棋を1日楽しめるイベントとなった。
同大会は大学生と、地域が一緒になって取り組む「ひがしひろしま学生×地域塾」の塾生が企画したもの。当日は広島大学将棋部の有志が中心となり運営した。
2018年11月22日
広島大とアヲハタ 研究開発で協定
ジャム製造のアヲハタ(本社・竹原市忠海町)と広島大学はこのほど、研究開発や人材育成などで包括的に協力する協定を締結した。広島市南区の広島大霞キャンパスで調印式があり、アヲハタの野沢栄一社長と、広島大の高田隆理事・副学長が協定書に署名した。
アヲハタと広島大は、10年以上前からかんきつ類の機能性などについて共同研究を行い、マーマレードの商品化を実現するなど、産学連携の実績を積み重ねてきた。
今回の協定の締結で、フルーツを中心とした食品産業分野の技術開発を進めていく他、ダイバーシティーや国際化の分野などでも協力していく。
高田理事は「お互いの国際的なネットワークを活用すると共に、総合大学の特徴である文理融合の研究テーマを模索、これまでにない連携成果が生まれるものと期待している」と話していた。
2018年11月22日
広島大キャンパス内で出土
広島大学総合博物館と東広島市教委が共催する企画展「大学と埋蔵文化財~キャンパスの遺跡・発見された文化財の魅力~」の第2期展が同市河内町中河内の東広島市出土文化財管理センターで開かれている。12月15日まで。入場無料。
広島大学東広島キャンパス内で発見された遺物を中心に、近畿・中国・四国の国立7大学で出土した資料なども合わせ約350点を展示。調査成果や保存・活用の取り組みなどをパネルで紹介している。
広島大学は、東広島市への大学移転に伴い1980年頃からキャンパス内の発掘調査を開始。現在までに、旧石器時代~江戸・明治時代までの約30遺跡を確認している。
同博物館埋蔵文化財調査部門の石丸恵利子研究員は「レプリカでない実物を、一度に見ていただける機会。埋蔵文化財の保存・活用に努力する教育研究機関の意義や役割にも理解を深めてもらえたら」と話していた。
12月2日には市民文化センターで講演会も開かれる。問い合わせは同博物館埋蔵文化財調査部門082(424)6198。
(茨木)