2021年8月21日
【広島大学の若手研究者】研究が孤独感抱く人の心の支えに 日本は擬人化大国。可能性は無限大
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大大学院人間社会科学研究科 助教
小池 真由さん さん
研究テーマは擬人化に関する恋愛
アニメなどのサブカルチャーが好きだったことと、人でないものを人に見立てて表現する擬人化に興味を持っていたことがきっかけです。漫画やアニメの主人公など想像の世界で恋愛感情を抱く疑似恋愛をテーマに据えた研究が、確立されていなかったことも、私の研究意欲をかきたててくれました。
私たちの多くは、小説や漫画などに登場する人々に想像上のロマンスを感じています。それらは読み手の一方的な感情ですが、仮想エージェント(ⅤA)を使い、登場するキャラクターとゲームの中で交際するロマンチックなビデオゲーム(RVG)は、キャラクターがプレイヤーの思いに応えてくれます。RVGが疑似恋愛の関係性が構築できると思い、RVGを対象に研究を進めてきました。
留学先のイギリスの学生たちに協力してもらい、プレイヤーはゲームに何を求めているのか、プレイヤーを引き付ける要因は何なのか、考察しました。
EASP主催のサマースクールの参加者に選出された時の各国の心理学者と
ゲームには、人間のような声を出したり、タッチをしたりする機能が付いています。擬人化されたキャラクターへのモチベーションが上がるのは、音声とタッチが重要な役割を果たしていることを明らかにしました。 さらに、キャラクターを擬人化することで、一直線に恋愛感情に発展するのではなく、プレイヤーがキャラクターの傍にいるような感覚になったとき、キャラクターとつながり、気持ちが高揚することも分かってきました。
SPSPの国際学会でGraduate Student Poster Awardの最終候補者に選出された
疑似恋愛の研究は開拓されていない分野。デジタル化がますます進展する時代にあって、可能性が無限大の研究であることに魅力を感じています。日本は擬人化大国として知られ、需要がある分野の研究を先見の明を持ってできているのかなと。
難しいのは、疑似恋愛上のキャラクターは移り変わりが激しく、研究の一定の提示ができにくいことです。時代や環境とともに、どんどんワードがアップデートされているのが現実で、常に先回りをして、何が流行しているのか追わなければなりません。私も鬼滅好きですが、あの「鬼滅の刃」とて古いワードになっています。
テクノロジーが進み、コミュニケーションが図れる時代になっているのに、孤独感を抱いている人が多いのが現代です。疑似恋愛は、そのような人たちの精神的な支えになることを、研究を通してひもといていきたい、と願っています。
「Keep Pushing Forward」。前に歩み続ける、という意味です。人は止まっていたら後退します。頑張ったから結果が付いてくるとは、必ずしも言えませんが、頑張ったことに対しては、価値が見つかるものと思っています。
※プレスネット2021年8月26日号より掲載
\オススメ記事/