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【広島大学の若手研究者】喜界島・奄美大島の方言を研究

2022年3月28日

【広島大学の若手研究者】喜界島・奄美大島の方言を研究

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは
大学院人間社会科学研究科 准教授
白田 理人 さん

白田理人さん1

一語一語をていねいに収集し分析
言語を記録保存し継承をサポート

■研究のきっかけ

 大学の学部3回生のときに、沖縄県の宮古島の方言データを分析する授業があり、同じ日本国内なのに、共通語と大きく異なる言語が話されていることに衝撃を受けました。その授業がきっかけで、鹿児島県の奄美群島から沖縄県にかけて話されている琉球(諸)語に興味を持ちました。

白田理人さん2
喜界島北部での方言調査の様子

■研究対象・方法

 鹿児島県の喜界島の伝統的な方言についてフィールドワークによる調査・研究を行っています。喜界島の方言は、文字化した資料などの先行研究が少なく、まず言語の全体的な特徴をつかむことから始めました。
 喜界島の人たちは、60歳代以上の人しか伝統的な方言を話しませんが、その人たちも共通語と使い分けて話しています。そのため、聞き取り調査では、できるだけ普段通りの方言で話してもらうよう心掛け、聞き取った言葉に対しては、一つずつ「なんと言っています か?」「意味は何ですか?」と確認しながら一語一語ていねいに収集・記録していきました。
 言語を記録していくには、語彙(語形と意味・用法)、文法(言語の仕組み、法則)、テキスト(自然な会話の資料などを文字化したもの)の3つの柱が大切です。そのことを念頭に入れながら調査を進めてきました。自分で教科書を書きながら語学を勉強しているようで大変でしたが、母語話者が無意識に使っている言葉に、法則を見つけ出す瞬間があり、興味深い経験ができました。

■研究の成果

 喜界島は人口約6800人、面積は約57平方キロの小さな島です。それでも北部と南部の集落では、言い表し方やイントネーション、母音の使い分けに違いがあります。例えば、一人称複数形の「私たち」について、北部の集落では、会話に出てきた人物と話し手をまとめて一つのグループとして会話に導入するための「アリワーキャ」という表現が見られます。また、北部と南部では、疑問文末のイントネーションに違いが見られます。集落間の交流が少ないと、言葉が集落ごとに独自に変化することが示唆されます。

白田理人さん3
喜界島南部での方言調査の様子

■言語研究の意義とこれから

 現在、世界で消滅の危機に瀕している言語は、日本のアイヌ語や、私が研究している琉球列島の言語を含めて2500あると言われています。そうした言語・方言の研究は、失われつつある人類の言語文化の多様性を記録保存する意味で、大きな社会的役割を担っていると思っています。
 言語の消滅を防ぐためには、継承も大切になります。喜界島では、方言を聞いて分かる世代は主に40代以上で、30代以下になると、理解できない人が増えています。研究の成果を公民館の方言講座などで、地域に還元できれば、と願っています。

PROFILE
 1988年生まれ。2015年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学、2016年)。日本学術振興会特別研究員(PD)、志學館大学講師を経て、2021年4月より現職。

※プレスネット2022年3月31日号より掲載

 

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