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【広島大学の若手研究者】低コストで手軽に極低温を実現し、広く科学の発展に役立ちたい

2025年9月23日

【広島大学の若手研究者】低コストで手軽に極低温を実現し、広く科学の発展に役立ちたい

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは

広島大学大学院先進理工系科学研究科 准教授
志村 恭通さん

志村 恭通さん

専門は物性物理学の研究

■研究者をめざすきっかけ

 小学校高学年の頃、新幹線の中でジャンプしたら車両だけが進み、自分はドアにぶつかるのではと考え、実際に試してみました。予想通りにはならず、「なぜだろう」と疑問を抱き、自分でじっくり考えることが好きでした。
 高校時代は、物理が得意ではありませんでしたが、一度理解できると、シンプルな原理からすべてがつながり、手に取るようにいろいろな現象が説明できることを実感し、その面白さに魅了されました。その体験が大学で物理学を学ぼうと思ったきっかけです。

広島大学の自然科学研究支援センターで、絶対零度近くまで冷やすことができる冷凍機について紹介する志村准教授
広島大学の自然科学研究支援センターで、絶対零度近くまで冷やすことができる冷凍機について紹介する志村准教授

■専門と研究内容

 私の専門は、物質の性質を解き明かす「物性物理学」という分野で、物質を形成する電子の運動から物質の性質を解き明かす学問です。物質には温まりやすいものとそうでないもの、磁石につくものとつかないものがあります。これらは、原子の中にある電子が集まり、ぶつかり合ったり反発したりすることで生まれます。
 私は特に「極低温の物性」に注目しています。物質を高い温度にすると、電子が激しく運動するため本質が見えにくくなりますが、低い温度にすると電子は落ち着き、本来の性質が見えやすくなり、新しい現象が現れることがあります。最低温度は「絶対零度」と呼ばれるマイナス273・15度ですが、マイナス273度まで下げるのはとても大変です。
 私は、銅などの周期表に載っているさまざまな元素を組み合わせて、磁石になりそうでならない不安定な状態をつくり、冷却に生かそうとしています。低コストでより手軽に極低温を実現することができれば、宇宙科学や量子情報などの未来の科学を支える土台になると考えています。

試料がどれだけ冷えるかを調べる器具(研究室学生の手作り)。右上のグラフは試料がマイナス273 ℃近くまで冷える様子
試料がどれだけ冷えるかを調べる器具(研究室学生の手作り)。右上のグラフは試料がマイナス273 ℃近くまで冷える様子

■読者に

 同調してみんなと同じことをするのではなく、「誰もしていないからこそやってみよう」と思う気持ちを大事にしてほしいと思います。
 自分が興味を持ったことには、たとえ批判があっても恐れずに積極的に挑戦してほしい。そうした歩みの中にこそ、新しい発見や科学技術、未来につながる可能性があり、やがて周囲も認めてくれるでしょう。

PROFILE
 1985年生まれ。北海道札幌市出身。2008年に北海道大学理学部物理学科を卒業。東京大学物性研究所にて2013年に学位取得。その後、博士研究員として物性研究所と米国フロリダ州の国立高磁場研究所を往来する。2017年10月に広島大学大学院 先端物質科学研究科に助教として着任。 2023年4月から現職。

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2024年4月23日

【広島大学の若手研究者】スピントロニクスの技術を研究開発

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは

広島大大学院先進理工系科学研究科准教授
黒田 健太さん

黒田 健太さん

電子スピン顕微鏡の開発に世界で初めて成功

■物理を専攻したきっかけ

 高校の物理の授業で問題に答えたごほうびとして、先生からおいしいアイスクリームをもらってうれしかったことで物理に興味を持つようになり、大学で物理を選択しました(笑)。

■物性物理学

 物理学の分野の一つで、物質の性質の仕組みを追究する学問です。例えばスマートフォンやパソコンには、シリコンなどの半導体(電気を流す・流さないを瞬時に切り替えられる物質)が必ず使われています。物性物理学では、なぜシリコンは半導体になるのかというところから原理を追究して、どうすれば半導体の性能を向上できるのかまで問いを展開させます。これを追究するために、量子力学(電子などが粒子と波の二面性を持っていることから記述される物理学)など高度な考え方を使います。

研究室メンバーで出場して準優勝
研究室メンバーで出場して準優勝したソフトボール大会フトボール大会

■研究の醍醐味(だいごみ)

 仕組みが分かった瞬間も楽しいですが、分かるまでの過程に醍醐味があります。どのように生きていくかという人生と同じで、研究は人の物語で仕上がります。

■研究内容

 スピントロニクスという新たな技術に関する研究を行っています。従来のエレクトロニクスは電子の動き(電流)を使いますが、スピントロニクスでは電子のスピン(電子の自転)を使います。これをうまく使いこなせば超低消費電力なデバイスができると期待されているため、世界中で競って研究開発が行われています。

■最近の研究成果

 広島大学にある放射光科学研究所 (通称HiSOR) には、スピンを高感度で検出できる非常に貴重な技術があります。僕の最近の研究成果としては、このスピン検出技術と顕微鏡の技術を組み合わせて、数マイクロ㍍まで微小な空間で電子とスピンの動きを観察する電子スピン顕微鏡の開発に世界で初めて成功しました。理科の実験で微生物の動きを観察する光学顕微鏡がありますが、大ざっぱに言うと開発した電子スピン顕微鏡で半導体をのぞき込むと半導体内で電子とスピンがどのように動くか見て分かります。

研究で利用している HiSOR に
ある実験装置(スピン分解光電子分光装置)です。物質中の電子とスピンの運
動を検出することができます。
研究で利用している HiSOR にある実験装置(スピン分解光電子分光装置)です。物質中の電子とスピンの運動を検出することができます。

■今後の展開

 開発した電子スピン顕微鏡を利用して超高精度に観察することで、電子とスピンの量子力学的世界を解き明かし、それをスピントロニクスの仕組みとして発展させることで長く続く豊かな生活の実現につながればと思います。

■今後の研究目標

 電子とスピンを可能な限り素早く制御することに挑戦します。これは、超短パルスレーザーという特殊なレーザーを使った超高速科学という研究分野で、アト秒(10のマイナス18乗秒)に迫る極短時間に起こる現象を追究します。スピン検出技術をさらに進化させて、電子とスピンの超高速な世界を見ることでその不思議な世界を表現したいです。

PROFILE
1987年生まれ。広島市出身。2009年広島大理学部物理科学科卒。11年同大理学研究科物理科学専攻博士課程前期修了。14年同大同科同専攻同課程後期修了。14年日本学術振興会海外特別研究員(派遣先・独国マールブルグ大)。15年東京大物性研究所極限コヒーレント光科学研究センター 助教。21年9月から現職。

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