プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学総合博物館学芸職員
佐藤 大規 さん
専門は古建築を中心とした文化財学
最初の研究テーマです。この城と出会ったことで今の自分があると思っています。
織田信長が築いた安土城は、5重6階地下1階の絢爛豪華な天主を備えていたとされています。
発掘調査や古文書・絵画資料などをもとに10年がかりで復元しました。
信長が創造した天守という建物は、豊臣秀吉が大坂城で受け継ぎ、その後広島城など全国に広まりました。
これまでの復元案は、安土城天主のみ天守の歴史から一線を画す形をしていましたが、資料を丁寧に読み解いた結果、形の上でもすべての天守の起源となることが確認できました。
当時の建築物は、平屋が普通。信長が築いた5重の高層建築には、周囲を屈服させるような権力の象徴の意味合いが込められていたと推察できます。
その後、豊臣秀吉が大坂城を築きますが、きちんと信長の意図をくみ取っています。
僕は安土城に続けて秀吉の大坂城の復元をしましたが、両城とも完璧な資料は残っていないので、10人の研究者がいれば10通りの復元案が出ます。
互いに議論を交わしながら歴史の謎をひもといていけるのが研究(文化財学)の魅力です。
キャンパス全体をミュージアムと位置付け本館をコア施設にしながら、各学部の研究内容を展示するサテライト館、学内の自然散策道(発見の小径)で構成しています。
広島大学総合博物館を訪れた小学生と恐竜と化石で盛り上がる佐藤さん
博物館をはじめキャンパス内は実物の宝庫です。実物に触れることで、新しい世界に関心を持つきっかけをつかんでもらえたら最高です。
2012年から、化石や地域の自然 に関する資料を展示している広島大総合博物館で働いています。
通算1年半、三原市教委に勤めた際、自分の研究成果を伝えることに楽しさを覚えたのがきっかけです。
今は年間に100回程度、来館者の方々に展示解説を行っています。
本宮八幡神社での現地説明会
聞いてくださる方が楽しい、もっと知りたいと思えるよう、自分も楽しむという感覚を持って解説・展示するよう努めています。
ずっとそんな学(楽)芸員でいたいです。
最近は東広島や鞆の浦・福山城などで、現存する建造物の調査研究を中心に行っていて、地域の文化財に光を当てていきたいと思っています。
例えば、1701年に建立された豊栄町の本宮八幡神社は、東広島の神社建築を考える上で重要で、地域を代表する建造物です。
建造物に限らず絵馬など幅広い分野で調査をして、価値ある文化財を次世代に一つでも多く残すことができれば幸せです。
※プレスネット2019年3月28日号より掲載
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投稿者名: プレスネット