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研究者_笹田さんアイキャッチ_アートボード 1

【広島大学の若手研究者】ブラックホール撮影チームの一員 膨大なデータから画像を復元

2020.12.28

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは
広島大宇宙科学センター 特任助教
笹田 真人 さん

研究者_笹田さん1

専門は可視光天文学。ジェットの観測を研究

世界初のブラックホールの輪郭を撮影

 ブラックホールは大変強い重力を持つ天体で、今回は地球から約5500万光年離れたM87銀河の中心にあるブラックホールを観測しました。

 観測チームには、世界から200人以上の研究者が加わり、僕が担ったのは簡単に言うと、膨大なデータから画像を復元するソフトウエアの開発。

 観測には、複数の電波望遠鏡をつないで、疑似的に地球規模の望遠鏡をつくり、それぞれの観測データを合成する電波干渉計技術が用いられました。
 電波干渉計観測では、カメラのように実画像にするのが難しく、取得データから画像を復元しました。

 

画像が得られた瞬間

 昔からブラックホールの輪郭のシミュレーションがされており、今回、観測されたようなリングは見えるだろうと予想していましたが、実は予想通りの画像だったことにびっくりしました。

ブラックホール
撮影に成功したブラックホールの輪郭 ©EHT Collaboration

 予想外のことが起きるのが宇宙の研究で、予想外のことは起きてしかりだと思っていましたから。

 

EHTによる新たな進展

 EHTの観測によってブラックホールについて新たな知見が得られています。

 M87の中心ブラックホールに輪郭があることがわかったことで、過去のデータから輪郭構造の時間的変化を調べられ、8年の間で輪郭の構造が変化していることがわかってきました。

 さらには私たちの太陽系を含む天の川銀河の中心にも巨大なブラックホールが存在しており、この最も近い銀河中心ブラックホールの輪郭を捉えようとEHTでは現在精力的に研究を進めています。

 

ジェットの謎

 広島大大学院に進学してからは、広島大宇宙科学センターが西条町下三永に設置している1.5mかなた望遠鏡を使って、目に見える可視光でブラックホールの周辺から噴き出す高温ガス「ジェット」の研究を続けてきました。

研究者_笹田さん2
広島大宇宙科学センターの1.5mかなた望遠鏡

 可視光ではジェットを確認できましたが、今回の電波の画像では、残念ながらジェットを見ることはかないませんでした。

 今後の研究で、可視光と電波、さらにはX線やガンマ線といった幅広い波長の光をつなぎ合わせながら、ジェットの謎に迫りたいと思っています。

 

研究の醍醐味

 宇宙は人間の想像を超えています。前述したように、人間の予想と一致しても驚きだし、予想とは違う観測データが得られるのも驚きます。その兼ね合いの面白さが研究の醍醐味です。

 もう一つは宇宙には星の数ほど謎があり、何か一つの天体を詳細に研究すると、分からないことが見えてくることです。
 地球と一番近い恒星の太陽ですら謎だらけです。

PROFILE 岐阜県大垣市出身。広島大理学部卒。同大大学院理学研究科博士課程後期修了。
国立天文台水沢VLBI観測所の研究員などを務めた後、2018年1月から現職。
2019年、国際チームの一員としてブラックホールの撮影に成功した。34歳。

※プレスネット2019年5月30日号に加筆修正

過去の「広島大学の若手研究者」はコチラ

 

投稿者名: プレスネット

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