

2026年2月26日
【広島大学の若手研究者】世界初!周期/非周期の視点でロボットの動きを制御
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院先進理工系科学研究科 准教授
村松 久圭さん

専門はロボティクスと制御工学の研究
■研究者を目指すきっかけ
子どもの頃から数学や理科は好きで、自然と理系に進みました。大学でも興味の赴くままに研究室を選び、面白いと思えるテーマに取り組んできました。研究が楽しく、「これを仕事にできたら幸せだ」と感じたことがきっかけですね。
最初から高い目標を掲げていたというより、好きなことを一つずつ積み重ねてきた延長に、今があると感じています。
■専門分野
ロボットなどさまざまな機械の動きを精密にコントロールする理論や技術を研究しています。専門は、ロボティクスと制御工学です。

■研究テーマ
自動で動く機械が、繰り返しの動きも突発的な動きも安定して行えるようにする制御や診断の研究と、足と車輪を組み合わせた新しいロボットの開発を進めています。
■研究内容と成果
ロボットが最も活躍しているのは工場です。そこでは高速・高精度な繰り返し動作、つまり周期的な運動が求められます。
一方、近年は人と協働するロボットが増え、人の予測困難な動きや突発的な事象など、非周期的な運動への対応も重要になっています。さらに機械の異常動作もまた非周期として現れます。私の周期/非周期という視点からロボットの運動を捉え、制御する研究は非常に独創的で、世界的にも例のないユニークな取り組みです。
さらに、足や車輪による移動、腕による作業を統合した多機能移動ロボットの開発にも挑戦しています。将来、災害や建設現場で危険作業を担う次世代ロボットとなることを目指しています。

■研究の醍醐味とロボット研究の魅力
研究の面白さは、自ら問いを立てて解くという「自由」にあります。自由に問題を創り、自由に解いていいんです。ロボット研究の魅力は、数学と物理で築いた理論に従い、数式通りにロボットが動く瞬間です。抽象的な数式が現実と結びつき、数学で導かれた世界が実際に動き出す感動こそ、私がロボット研究に魅せられる理由です。
(山北)
2026年1月27日
【広島大学の若手研究者】見えない細菌の行動を解き明かす
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院統合生命科学研究科助教
緋田 安希子さん

専門は応用微生物学の研究
■研究者を目指すきっかけ
研究者を目指した明確な動機はなかった。大学4年時、「なんとなく面白そう」と選んだ研究室で、誰も希望しなかった地味な卒業研究に没頭。試行錯誤の末、努力が結果につながる研究の面白さを知り、大学院に進学し研究者の道へ進んだ。
■専門は
専門は、応用微生物学で、細菌が環境を感じて移動する「走化性」を研究している。べん毛で泳ぎ(図1)、好ましい物質に近づき嫌な物質から離れる仕組みを、複数のセンサーの働きから解き明かしている。

■研究と成果
主な研究対象は、トマトなどを枯らす植物病原菌「青枯病菌」だ。成果は3つある。基礎研究から防除への応用につながる道筋を示した。第一に、青枯病菌が持つ22種類の走化性センサーについて、遺伝子を一つずつ壊して解析し、約半数の機能を明らかにした点。第二に、植物の根から分泌されるリンゴ酸を感知して菌が集まり、感染が成立する仕組みを解明した点。第三に、その性質を利用し、リンゴ酸を周囲に散布することで感染を抑えられる可能性を、実験室レベルで示したことだ。
■研究のやりがい
世界中の誰も知らない現象を、自分の手で一つずつ明らかにしていく過程が何より面白い、という。未知のセンサーが思いもよらない物質を感知し、その理由を探る中で、細菌の戦略的な行動が見えてきた瞬間は大きな喜びを感じる。「どうなんだろう」と考え続けることが、そのまま仕事になっていることに研究の魅力があると語る。

■今後の研究目標
今後は、防除への応用も視野に入れつつ、残る未知のセンサーを解き明かすことを目指している。まずは細菌の行動原理を明らかにし、その先に防除につながる可能性を探りたいとしている。
■学生へ
計画通りに進む道だけが正解ではない。将来を考えることは大切だが、目の前で「楽しい」「面白そう」と感じる気持ちを大事にする選び方もある。考えすぎず進めば、自分に合う道が見えてくることもあるかもしれない、という。
(山北)
2025年12月16日
【広島大学の若手研究者】実験室で地球の内部環境を再現し、地球の新陳代謝を解き明かす
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム 准教授
岡﨑 啓史さん

専門は地球惑星科学の研究
■専門分野は地球惑星科学
「岩石力学」「岩石レオロジー(流動学)」「構造地質学」の研究をしています。具体的には、地震が起きる仕組みや地球の内部の層がゆっくり流れる動きなど、天体の地下深くで起きている現象を解き明かす研究です。良い仲間と研究環境に恵まれていることが、研究を続ける上で大きな支えになっています。
■研究者をめざすきっかけ
高校の理科教師を目指し、広島大学に入学しました。しかし、地球惑星科学の研究に取り組むうちに未知の発見に挑む楽しさに引かれ研究者の道へ進みました。

■研究目標
地球だけでなく、他の惑星や天体の内部でどんな変形が起きているのかを明らかにすることを目指しています。地球の内部では、岩石がゆっくりと変形しながら、同時にさまざまな化学反応が進んでいます。私はこの仕組みを、地球が自らを更新し続ける〝惑星の新陳代謝〟と表現しています。こうした現象を理解することで、過去だけでなく数千万~数億年先の惑星の未来を推測する手がかりとなります。
■研究内容と原動力
地球や他の天体の内部にある高温・高圧の環境を実験室で再現し、試験機を自作・改良しながら、岩石や鉱物がどう変形・反応するのかを調べています。実験を通して、地球の過去と現在を明らかにし、未来の姿を探る研究をしています。「過去を知って現在を理解し、未来を読み解きたい」という思いが原動力です。最近では、小惑星や彗星(すいせい)が別の天体に衝突する「天体衝突」の研究にも取り組んでいます。

■研究成果
地球内部には多くの水があり、その水が地震の発生に関わっていると考えられています。沈み込んだ岩石に含まれる〝水を持つ鉱物〟は、深部で高温になると分解して水を放出し、これが地震を引き起こす可能性があります。こうした反応は、特定の深さや場所、物質がそろって初めて起こります。この現象を高温・高圧実験で再現し、地球の深いところで起こる深発地震のメカニズムを示すことができたことは、大きな研究成果であると考えています。
(山北)
2025年11月25日
【広島大学の若手研究者】楽しみながら英語で伝える力を養う
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学外国語教育研究センター助教
山内 勝弘さん

専門は英語教育学の研究
■教育者・研究者をめざすきっかけ
英語教師だった祖父の影響で、小さい頃から英語の教師に憧れていました。ハワイ大学への留学では、多読研究の第一人者の授業を受けて大きな刺激を受け、さらに別の研究者から自分の研究を高く評価していただいたことが、大きなきっかけとなりました。
■専門分野
専門は英語教育学で、英語多読とビブリオバトルを組み合わせた学習法に焦点を当てた研究をしています。英語多読とは、辞書を使わずに自分のレベルに合った英文を「たくさん」「楽しく」読む学習法で、速読力や語彙力、英語を日本語に介さず英語のまま理解する能力を育てます。
授業では、学生が多読した本の魅力を英語で3分間紹介し、質疑応答や投票を行う「ミニ・ビブリオバトル」を実践し、楽しみながら英語で伝える力を養い、コミュニケーションの活性化にもつながっています。

■成果
英語多読とビブリオバトルを組み合わせた研究発表や、国際学会でのワークショップ開催(写真1)などの活動が評価され、「Bibliobattle of the Year(ビブリオバトル・オブ・ザ・イヤー )2023」で新人賞を受賞しました。自分の研究の方向性が間違っていなかったと思えて、とてもうれしく光栄でしたね。
■教育・研究の魅力とやりがい
研究で得られた知見を教育に生かし、教育の中で得た気づきを研究に還元できることが魅力です。研究成果を論文などで発表することで、多くの人に伝え社会へ貢献できます。また、学会では同じ分野の研究者と出会い、互いに刺激を受けながら研究の幅を広げていけるのも大きな魅力です(写真2)。

■英語を学びたい人へ
英語学習は、絵本などやさしい本から始め、楽しく続けることが大切です。「ロビンソン・クルーソー」などを簡単にした多読用の「段階別図書(グレイディッド・リーダーズ)」は、レベル別に読書力を高めることができるように、単語や文法などが調整されています。 電子書籍(有料)や広島大学の図書館でも読むことができます。
(日川)
2025年10月14日
【広島大学の若手研究者】数字や指標に表れない価値に光をあてる
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院人間社会科学研究科教育学部准教授
南浦 涼介さん

専門は教育方法学・外国人児童生徒教育学の研究
■専門分野は
一つ目は 教育方法学 です。学校の授業やカリキュラム、評価のあり方を考える分野で、「良い授業とは何か」などを分析・検討し、具体的な授業づくりの方法を探ります。
二つ目は 外国人児童生徒教育学 です。外国につながりを持ち、日本語を母語としない子どもたちが学校生活に参加できるように、どのような教え方や学びの仕組みが必要かを考え、言語や文化の違いを前提に教育のあり方を検討します。福祉的支援にとどめず、力を育て社会参加を促す視点を重視しています。教育学と外国人児童生徒教育学の2つを行い、多様な子どもがともに学ぶ「多様性の教育学」に基づく教師教育を行っています。

■数値では測れない価値に光をあてる
学校では、テストなどの点数によって評価が行われています。教育の成果は、しばしば数字や指標で測られますが、そこに表れない大切な価値も少なくありません。子どもたちの言葉や関わりの中から良さを見いだし、自信や成長につなげていくことも大切な評価のあり方だと考えています。そうした価値に目を向け、数字にする一歩手前の段階でその意味を改めて考え直してみること。これこそが、一つの評価の発想なのではないでしょうか。私たちの研究は、数字や指標に表れない価値に光をあてることを目指しています。

■教師に寄り添う伴走者として
近年、教師の専門性が軽視され、教師は不安の中で模索しています。私たち研究者は、教師の不安を整理しながら授業や学校づくりの取り組みを外側の視点から「良い学校とは」どういうものかなどを見通し、取り組みに価値を意味付けていきます。教師や子どもたちの日常には、数値化しにくい地道な営みが多く、誰が見ても優れた授業だけでなく、普段の実践の中に教育の意味や成長の芽が隠れています。私たちは、教師の伴走者として、多様な教育情報を組み合わせその価値をすくい上げ、どんな価値があるのかを明らかにし、新たな可能性を示すことで、教師の不安を力に変え、教育をより豊かに発展させていけるのではないかと思います。
2025年9月23日
【広島大学の若手研究者】低コストで手軽に極低温を実現し、広く科学の発展に役立ちたい
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院先進理工系科学研究科 准教授
志村 恭通さん

専門は物性物理学の研究
■研究者をめざすきっかけ
小学校高学年の頃、新幹線の中でジャンプしたら車両だけが進み、自分はドアにぶつかるのではと考え、実際に試してみました。予想通りにはならず、「なぜだろう」と疑問を抱き、自分でじっくり考えることが好きでした。
高校時代は、物理が得意ではありませんでしたが、一度理解できると、シンプルな原理からすべてがつながり、手に取るようにいろいろな現象が説明できることを実感し、その面白さに魅了されました。その体験が大学で物理学を学ぼうと思ったきっかけです。

■専門と研究内容
私の専門は、物質の性質を解き明かす「物性物理学」という分野で、物質を形成する電子の運動から物質の性質を解き明かす学問です。物質には温まりやすいものとそうでないもの、磁石につくものとつかないものがあります。これらは、原子の中にある電子が集まり、ぶつかり合ったり反発したりすることで生まれます。
私は特に「極低温の物性」に注目しています。物質を高い温度にすると、電子が激しく運動するため本質が見えにくくなりますが、低い温度にすると電子は落ち着き、本来の性質が見えやすくなり、新しい現象が現れることがあります。最低温度は「絶対零度」と呼ばれるマイナス273・15度ですが、マイナス273度まで下げるのはとても大変です。
私は、銅などの周期表に載っているさまざまな元素を組み合わせて、磁石になりそうでならない不安定な状態をつくり、冷却に生かそうとしています。低コストでより手軽に極低温を実現することができれば、宇宙科学や量子情報などの未来の科学を支える土台になると考えています。

■読者に
同調してみんなと同じことをするのではなく、「誰もしていないからこそやってみよう」と思う気持ちを大事にしてほしいと思います。
自分が興味を持ったことには、たとえ批判があっても恐れずに積極的に挑戦してほしい。そうした歩みの中にこそ、新しい発見や科学技術、未来につながる可能性があり、やがて周囲も認めてくれるでしょう。
2025年8月26日
【広島大学の若手研究者】少ない放射線被ばくで撮影できるCT装置の開発
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学大学院先進理工系科学研究科 准教授
檜垣 徹さん

専門は画像工学の研究
■専門は
専門は、画像工学です。主に病院で扱うようなコンピューター断層撮影(CT)や核磁気共鳴画像化法(MRI)などの医用画像を入力とし、画像中の目に見えないような情報を抽出したり、画像から病変の部位を自動的に指摘したりするような医用画像処理などについて研究しています。
■研究内容
医用画像処理は、情報科学の研究者と医学の研究者、医療機器メーカーとの協力が必要です。私たちの研究グループでは、広島大学の情報科学部と医学部、医療機器メーカーが連携して共同研究を行っています。
研究テーマの一つとして、少ない放射線被ばくで撮影できるCT装置の開発を行っています。CT撮影には放射線を用いますが、少ない被ばくで撮影すると画像のノイズが増えてしまい、正確な診断を行うことができなくなります。私たちの研究グループでは、近年注目されている深層学習の技術を応用し、画像のノイズを抽出・除去することで、少ない被ばくで撮影したにも関わらず高画質な画像が得られるCT装置を開発しました。ノイズの多い画像とノイズの少ない画像をペアにしてニューラルネットワークを学習することで、画像のノイズを抽出・除去することができるようになります。

■研究の成果
若年者や胎児は特に放射線感受性が高く、できるだけ低い被ばくでCT撮影することが望まれます。左の図1の写真をご覧ください。このケースでも非常に少ない被ばくで撮影したため、従来の上の画像ではノイズが多く見にくい画像となっていますが、私たちの開発した手法で処理した下の画像では、高い画質の画像を得ることができました。現在では多くのCT装置メーカーが類似した技術を開発しており、患者さんに優しいCT検査技術が広がっています。
■これからの研究目標
私たちの研究グループでは、基礎的な技術開発から臨床応用までを見据えた研究を行っています。今後も放射線診断医とディスカッションしながら、臨床の現場で役立つ新しい手法を開発するなど、社会に貢献できるような研究を行っていきたいです。
2025年7月15日
【広島大学の若手研究者】アフリカの現地に根差した教育法を研究
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大IDEC国際連携機構教育開発
国際協力研究センター(CICE)准教授
坂田 のぞみさん

専門は開発途上国の教育開発学の研究
小・中・高校で、ダンスを習っていました。ヒップホップの起源は、アメリカで生まれたとされていますが、そのルーツをさかのぼるとアフリカからアメリカに渡ってきた黒人たちのコミュニティで生まれたダンスだと知り、アフリカに興味を持ちました。
大学2年の時にアメリカの大学に編入学し、ダンス学と人類学を学ぶ中で、開発途上国について知り、現地の人に貢献したいと思いました。
私は、教育に興味があり教員免許を取得していました。教育は貧困への貢献度が高いので教育学と人類学を掛け合わせた修士課程に進み、アフリカの教育を本格的に学びました。タンザニアで3カ月、国連機関であるユニセフの研修生として働きました。チャイルドフレンドリースクールの授業を見学し、知識を詰め込むのではなく子どもが主体的に学習に取り組む教育法が行われていることを知りました。しかし、子ども中心の教育法を開発途上国で実践することに疑問を持ち、イギリスの大学で、子どもに焦点を当て子ども中心の教育法について研究しました。子どもの経験や成績と子ども中心の教育法との関連性は、理想とは程遠かったですね。

アフリカの教育開発に関する研究を始めて11年目です。現地の教師がどのように子どもたちに教えるのかという教育法の研究をしています。西洋では、教師中心の教育法ではなく、子どもを中心とした教育法が良いとされていますが、私は、現地の文化などを考慮せずに子ども中心の教育を行うことを問題視しています。それは、子ども中心の教育法を開発途上国で行っても、机や教科書がない劣悪な環境の中では理想と現実のギャップがあるからです。現地の文化を出発点にして、どんな教育法が現地に合い望まれているのかなど、現地の価値観に根差した教育法を研究して学術論文などで発信しています。

開発途上国の研究者と共同で研究したり、興味を持ったことに疑問を持ちながら研究を進めると見えてくるものがあり、とても楽しいです。
2025年6月18日
【広島大学の若手研究者】畜産物の安定供給と安全確保に貢献する
プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学酪農エコシステム技術開発センター准教授・獣医師
鈴木 直樹さん

専門は家畜感染制御学の研究
センターでは、教育と研究を目的に乳用・肉用牛、山羊などを飼育しています。次世代のスマート酪農施設として、哺乳・搾乳ロボットや個体行動管理システムなどを導入した家畜舎を備え、安定的な乳生産を可能としています。
家畜に感染する病気の原因となる細菌などの病原体や感染のメカニズム、感染症の予防や対策などを研究する学問です。家畜や畜産物からヒトに感染する人獣共通感染症の制御を通じて人間の健康を守る役割も担っています。

感染症がまん延すると、食物がなくなります。食の安定供給を担保する上で、家畜の感染症制御は重要です。同時に、食品由来人獣共通感染症(食中毒)の病原体を農場レベルで制御し、食の安全確保にも貢献したいと考えています。
従来の乳房炎の診断は、微生物検査などを細菌培養により実施していたので、菌の検査結果が出るのに最短でも一日以上かかり、薬剤耐性菌の問題解決手段として感染症の迅速な診断技術の開発が求められていました。いかに早く原因を特定し根拠に基づき治療していくかが大事です。そこで、獣医師としての臨床経験を生かし2021年から、乳房炎迅速予後判断技術の開発に取り組み、診療現場で使用している顕微鏡や遠心機を使って約30分で診断できる技術を開発しました。乳房炎迅速予後判断技術の普及活動を行い、多くの診療所で活用されています。現在はAI(人工知能)を活用した検査の自動化技術開発に展開しています。

これからはAIを使いこなすことも大事ですが、基礎となる知識の詰め込みも依然大事です。最低限、教科書の内容を完全に理解できるようにならないと、自分の発想が生まれてこないと思います。教科書を徹底的に勉強した上で、自分の興味があることについて考え、興味があることを大切にしてほしいです。
2025年5月21日
広島大学輝く学生にズームイン!! 学生ビジネスプランコンテスト 全国大会でグランプリ

片桐萌絵さんは、2月に大阪で開かれた学生起業家の登竜門、第21回学生ビジコンキャンパスベンチャーグランプリ全国大会(CVG)(日刊工業新聞社主催)で経済産業大臣賞(ビジネス大賞)に輝いた。祭りを守りたいという片桐さんの熱い思いが、高く評価された。
日本の祭りなど伝統的な民俗芸能を持続的に次世代へ受け継いでいくための民俗芸能専門コンサルティングを提案した。
地元の愛知県で約700年続く伝統的な花祭に、幼いころから参加し自らも祭りの担い手として活動した。みんなが一体となって熱くなり、人と人とのつながりをつくる民俗芸能は、現代社会にとっても重要という。近年、少子高齢化による担い手不足と世帯数の減少による資金難で10年後には日本中の大好きな民俗芸能がなくなってしまうと危機感を持ち、学業の傍ら2023年10月に民俗芸能を守る任意団体「とらでぃっしゅ」を立ち上げた。
昨年7月に行われた三津祇園祭(東広島市安芸津町)では、大名行列に同コンサルティングの二つの軸、参加者増加プログラム(広報活動を通じて、観覧者数を増やす)と担い手公募プログラム(祭りの担い手を有料で公募し、祭りの体験を提供する)を企画し運営。高齢化で担い手の規模が約80人と減少していたが、150人まで回復した活動実績を報告した。事業を通して、民俗芸能の保存と継承、地方創生の実現を目指す。

言葉で表現できないほど、うれしく応援してもらった多くの人たちに感謝。うれしい気持ちを忘れずに、等身大の自分でビジネスを頑張りたい。

4月下旬に「とらでぃっしゅ株式会社」を設立した。利益を一番に追求するのではなく、祭りが好きという自分の気持ちと地域の人たちに寄り添い、思いを大切にしながら「片桐さんだったら、地域の民俗芸能を任せられるよ!」と安心して託してもらえるように頑張りたい。