皆さんが通っている大学のあの先生・あの人が実は全国や世界で活躍しているって知っていましたか!?
広島大学大学院理学研究科教授
薮田ひかる(やぶた ひかる)さん
にインタビューしました!
研究テーマは宇宙に存在する有機物の化学進化
生命を構成する主要物質である有機化合物を手掛かりに、「宇宙における生命の起源に迫りたい」と思いをはせていました。
「この研究分野にとって大きなステップになる」と力を入れているのが、小惑星探査計画「はやぶさ2」。
小惑星リュウグウから採取した試料が2020年末に地球へ帰還した後、翌年からその試料を分析する役割を担っていました。
「はやぶさ2」には立案段階の10年前から参加、思い入れも強いです。「小惑星は太陽系が誕生した46億年前の原型を記録しています。太陽系形成史を探ることは生命の起源を探ることになります」。
学生時代は地球の岩石中の有機物を分析し、地球史における生命進化について研究しました。地球外物質の分析は、博士号を取得してからです。
「20~30代に培った基礎力があるから今の自分があります。今後も一つ一つの積み重ねを大切に、将来の宇宙探査を支えたい」
と抱負を語っていただきました。
小さいときに漠然と抱いていた好奇心が、研究に進む足がかりになっていました。筑波大学では化学を専攻。宇宙化学の講義に興味を抱きました。
化学の手法で太陽系の起源を明らかにすることが、生命の起源と進化を解明することにつながることを知りました。
「得意の化学で、自分の祖先を遡ることができる」
と同大学の大学院に進み研究者の道を歩むことを決めました。
学生時代当時は、地球の堆積岩の研究を通して化学分析技術の基礎をしっかりと習得し、その後は、宇宙から降ってくる隕石や彗星塵の分析に専門分野を広げました。
これを機に、「地球外有機物研究のパイオニアのもとで自分を鍛えたい」と、米国のアリゾナ州立大学とカーネギー研究所で博士研究員として研究の修業に励みました。
35歳で帰国したとき、米国で4年間の研さんを積んだことが認められ、JAXAから「はやぶさ2」プロジェクトへの参加を打診されました。
探査機「はやぶさ2」は来年末頃に帰還。2021年からは大学の研究者達によるチームが、はやぶさ2が持ち帰った試料を分析。
「探査機運用・観測に関わったメンバー達から、いよいよ自分達がバトンを引き継ぐ。緊張が高まるが、楽しみも大きい。降ってくる隕石からは、その母天体についての正確な情報は得られにくいが、宇宙探査によって、ターゲットとなる天体の場所や地質を化学組成と関連づけて研究できる。太陽系科学をさらに前進させるものになれば」
と目を輝かせていました✨
2019年4月から広島大学の教授に昇任し、教育と研究に一層励んでいます。
「研究の土台となるのは基礎力。それなくしてスケールの大きい研究は成り立たない。学生時代は基礎力を育む大切な時期」。自らの経験を踏まえ、学生にアドバイスする熱心な教授です。
※プレスネット2019年10月24日号より掲載
投稿者名: プレスネット