障がい者と一緒に楽しむ姿勢大切に
霞アダプテッドスポーツクラブ
2018.03.01
アダプテッドスポーツの裾野拡大が目標
医学部保健学科で学ぶ学部生たちでつくる霞アダプテッドスポーツクラブ(ASC)。障がい者や高齢者など、さまざまな人たちが楽しめるアダプテッドスポーツ(AS)の啓発に努めている。部員たちは「活動を通して、アダプテッドスポーツの理解を深めていきたい」と目を輝かせている。
結成は2014年9月。障がい者スポーツが専門の保健学科・前田慶明講師が、講義でアダプテッドス ポーツに触れたことがきっかけ。一部学生が興味を持ち、サークルを立ち上げた。
現在の部員は、理学療法学や作業療法学、看護学を専攻する学生を中心に50人。さまざまな障がい者のスポーツ大会を側面から支 えるボランティアと、障がい者チームの一員として一緒にスポーツを行う2つを活動の柱に据えている。大会のボランティアには、月に5回程度参加している。選手の誘導から会場の設営まで多岐にわたる。一方で、障がい者と一緒に行う競技はさまざまだ。
部員たちは、障がい者スポーツの現場に出掛け、障がい者と積極的に触れ合うフィールドワークに取り組む。活動を通して心掛けているのは、障がい者と共にスポーツを楽しむ姿勢だという。
前副部長の理学療法学専攻の有馬知志さん(22)は「単純に言えば、障がい者を障がい者と意識するのではなく、一緒に活動を楽しんでいる感覚。障がい者とコミュニケーションを取ることで、大学では勉強で きないことを学んでいる」と目を細める。
パラリンピックを見ても分かるように、障がい者スポーツは、障がいの程度で、細かくクラス分けされる。障がい者一人一人が楽しめるように、とネットを挟んでたくさんの風船をお互いに入れ合う「風船バレー」や、目標球に、赤、青それぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたりしながらどれだけ近づけるかを競う「ボッチャ」など、さまざまな障がい者ス ポーツも考案されている。
こうしたことを背景に、同クラブが大きな目標にしているのが、アダプテッドスポーツの裾野拡大。具体的には小学校現場での障がい者スポーツの普及と、障がい者スポーツ指導員の養成を思い描く。
有馬さんは「障がいのある子どもは、スポーツができないという先入観を持っている。その思いを払拭できるようにしていきたい。障がい者スポーツを指導できる人材の確保が、障がい者スポーツの広がりにつながる」と力を込める。