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CAMPUS
広島大学の若手研究者に聞く

【広島大学の若手研究者】子どもたちに最低限の質の良い教育を

2024.12.17

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは

広島大大学院人間社会科学研究科 教育科学専攻国際教育開発プログラム 准教授
谷口 京子さん

谷口 京子さん

専門は開発途上国の教育開発学 論文は英語で。海外の人に読んでいただきたい

Contents

■専門分野について

 開発途上国の教育開発が専門です。児童生徒の学力やその伸びの要因、進級阻害(留年・退学・転校)要因、学校運営などを研究しています。

■研究のきっかけ

 独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施しているボランティア派遣事業で、開発途上国で生活しながら課題解決に貢献する青年海外協力隊に応募し、アフリカのマラウイ共和国に派遣されたことです。マラウイには、中・高等学校の理数科教師として2007年から2年間過ごしました。マラウイの子どもたちは、学校に登校できることが幸せだと思っているので、楽しく熱心に勉強に取り組んでおり、そのような子どもたちと接したことがきっかけでした。マラウイは、教育環境が未整備であり地域によっては子ども100人に対して教師一人しかいないという学校もありました。また、大学進学率は、約1%であり、ほんの一握りの子どもたちしか大学に通うことができない環境でした。 マラウイなどの開発途上国の教育が改善するように、研究をしていきたいと思いました。

アフリカのマラウイ農村部の幼児施設で保育者と子どもたちと活動の調査(後列左から3人目が谷口准教授)
アフリカのマラウイ農村部の幼児施設で保育者と子どもたちと活動の調査(後列左から3人目が谷口准教授)

■マラウイに派遣されて

 アフリカに渡航した経験がなかったので、マラウイがどのような国であるか想像がつきませんでした。インフラが整備されておらず、停電が続くと木炭で火を起こして料理をしていました。生活には困りましたが、よく周りの人々が助けてくれました。地域住民とのつながりが深く、物質的には豊かではなかったですが、心は豊かだったと思います。生徒とは、勉強の仕方や将来の夢についてよく話をしました。コミュニケーションには困らなかったですね。

■研究内容

 アフリカに1年に1~2回、フィールド調査に行き、そこで得られたデータを基に開発途上国の教育開発計画や教育政策について研究をしています。学力を伸ばす方法や、中途退学率が高いのでその要因を追求し、より良い学校運営などを研究しています。

アフリカのマラウイ農村部の幼児施設でコミュニティーメンバーとミーティングの開催(右から2人目が谷口准教授)
アフリカのマラウイ農村部の幼児施設でコミュニティーメンバーとミーティングの開催(右から2人目が谷口准教授)

■研究成果

 研究の対象国はアフリカやアジアの開発途上国が多いので、研究成果を海外の人々が読めるように英語で論文を書くようにしています。年に2~3本投稿し多くの人々に論文を読んでもらい、開発途上国の状況を少しでも改善できればと思っています。

■最後に

 子どもたちは生まれてくる親や国を選べません。どの国で生まれ育っても最低限の生活を保てるようになることが大切です。私は、子どもたち全員が最低限の質の良い教育を受けられることがその一歩であると思います。教育の質の向上はすぐに成果が出なくても、いつか必ず成果が出ると信じて研究を続けています。

PROFILE
 大学卒業後、社会人経験を経て、独立行政法人国際協力機構(JICA)が派遣する青年海外協力隊(マラウイ・理数科教師)に参加。帰国後、広島大学大学院国際協力研究科博士課程前期に進学。同大学院博士課程後期を修了し、博士(学術)を取得。その後、日本学術振興会特別研究員(広島大学・名古屋大学)を得て、2020年から現職。

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