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CAMPUS
AI活用、能登半島地震の実態把握

【広島大学の若手研究者】地震防災の研究 より精度の高いハザードマップを作成したい

2024.03.01

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは

大学院先進理工系科学研究科 建築学プログラム准教授
三浦 弘之さん

三浦弘之さん

AI活用、能登半島地震の実態把握

■研究者をめざすきっかけ

 高校3年の時、阪神・淡路大震災が発生しました。当時、祖父母が神戸市内に住んでいたので、その被害を目の当たりにし、地震のエネルギーの大きさに驚きました。この地震をきっかけに、地震災害の軽減に役立つ勉強をしたいと強く思いました。

■建築防災学研究室での研究内容

 大地震がいつ発生しても、被害を最小限に抑えられる都市や社会をつくることを目指して研究しています。地震が発生した時の地面の揺れの大きさや建物の被害の大きさ、数などを詳しく予測して地震被害を軽減する研究と地震が発生した後、被害をいち早く把握するために、人工衛星や航空写真のリモートセンシング技術と地理情報システム(GIS)を利用し、どこでどの程度の被害が発生したのかを自動的に判定する技術の開発を行っています。

■研究の成果

 阪神・淡路大震災と熊本地震の被災地を捉えた約1万枚の航空写真データをAI(人工知能)に学習させ、画像に写った建物が倒壊しているかを誤差なく自動判別できるプログラムを開発しました。能登半島地震では、AIの技術を活用し能登半島を撮影した人工衛星の画像を分析して、早期に実態を把握することができました。さらに精度を上げて、今後の災害に生かしていきたいです。

2024年能登半島地震での被害調査の様子
2024年能登半島地震での被害調査の様子

■研究のやりがいと難しさ

 いつ発生するか分からない地震に、限られた情報でチャレンジし精度を上げて予測するのはとても難しいですね。地震研究で得られた成果が、日本に限らず、世界のさまざまな地域で活用され災害軽減に貢献できることにやりがいを感じます。

■これからの研究目標

 自治体が公開している地震のハザードマップは、地盤の情報が簡略化されているので、AI技術を活用し場所ごとに地盤の詳しい情報を反映した精度の高い地震の揺れを予測して、より詳細なハザードマップを作成したいと思います。

調査で使用する微動計。地盤や建物の微少な振動を計測できる
調査で使用する微動計。地盤や建物の微少な振動を計測できる

■能登半島地震で感じたこと

 現地に行き調査しましたが、耐震性が低い古い木造の建物が多く倒壊していました。道が崩落し孤立した集落が出ていたので、被害の状況の把握が難しいということを改めて感じました。県内でも今回の規模の地震が発生すれば、同じような被害が起こり得るので大地震がいつ起きても大丈夫なように備えを進めてほしいです。

■市民へ

 自宅を安全な場所にし、自分の身は自分で守ることが防災の基本です。地震のハザードマップを見て自宅がどういう場所に建っているのか確認し、1981年より古い家屋は地震に弱いので耐震診断を受けて、危険であれば耐震補強などを検討することが重要です。日本全国どこに行っても安全な場所はないと思って、普段から地震などの災害対策を考えてほしいと思います。

PROFILE
1976年兵庫県生まれ。2004年東京工業大大学院総合理工学研究科博士課程修了。同大都市地震工学センター21世紀COE研究員、同大大学院総合理工学研究科人間環境システム専攻助教を経て現職。

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