プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大学FE・SDGsネットワーク拠点(NERPS/ナープス)研究員
山根 友美 さん
研究テーマは持続的な開発に関する個人の行動分析
Contents
国連が2015年に策定したSDGsは誰一人取り残さない社会を目指し、先進国と途上国のみんなが一丸となって取り組む目標が定められています。
「では、個人の単位としては、どう取り組んでいけばいいのだろうか―」。もともと、途上国を支援するJICAに勤務していたこともあり、その命題に興味を持ったことが研究に取り組むきっかけになりました。
大きくは2つのことに取り組みました。
一つは「若者世代(18~30歳)はSDGs世代か」ということを検証するために、インターネット調査で、SDGsに関連するライフスタイルにおける世代効果や、若者の就職の際の会社選びを分析しました。
もう一つは、一般消費者が、商品の購入や転・就職の際に、企業のSDGsの取り組みを選択基準にしているのかどうか、を分析するために、日本人約6000人を対象にオンライン調査を行いました。
若者世代は、上の世代よりも、社会や会社に対するSDGsへの期待値が高いことが確認されました。
また、大学生の就職の際の会社選びは、SDGsを積極的に行い、推定年収が高い企業が一番人気であることが分かりました。
一方、年収が高くてもSDGsへの積極的な取り組みを行っていない企業は支持率が低く、逆に年収が低くてもSDGsに取り組んでいる企業は支持率が高いことも見えてきました。
一般消費者は、商品購入や転・就職の際、SDGsに取り組む企業を選択することが分かりましたし、SDGsに関する意識向上を促すことで、SDGsに取り組む企業への選好が上がることも確認しました。
2つの研究から、企業が優秀な人材を獲得したり、消費者から支持を得たりするためには、SDGsに積極的に取り組む必要があることが示唆されました。2つの研究論文は国際学術誌に掲載、高い評価を受けました。
広島大学の学生や教職員約1000人を対象に、SDGsに関する意識調査を19年から3年間、継続して行いました。
SDGsへの関心は高まっている一方で、まだ実際に取り組みに移せている人は少ないことが分かりました。
ただ、「ジェンダー平等」の項目については、多くの学生が取り組んでいると回答、興味深い結果になりました。
「なんとなく良いな」と思っていることを科学的に検証できるのが、私の研究の醍醐味です。
東広島市は、「SDGs未来都市」に選定されていますが、なぜSDGsが必要なのか分からない方が多いと思います。
研究で分かったSDGsの良さを、市民や企業に落とし込んでいきたい、と思っています。
その一環としてNERPSのホームページ でSDGsに関する研究を解説する企画を近日中に始める予定です。
NERPSのウェブサイトでSDGs関連情報を更新中
※プレスネット2021年4月29日号より掲載
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投稿者名: プレスネット