広島大学の若手研究者に着目し、その研究内容についてインタビューしました!🎤
今回お話を聞いたのは
広島大放射光科学研究センター助教
宮本幸治さん
研究テーマは「電子が持つ電荷とスピンの解析」
スピントロニクスは電子が持つ電荷とスピン(自転)の両方の特性を電子工学の分野に応用した次世代技術のことをいいます。
スピントロニクスは、電荷とスピンの両方を一緒に制御することで、ハードディスクとメモリー双方の良いところを利用した、省エネルギーのキーテクノロジー創出への貢献が期待されています。
換言すれば、スピントロ二クスが普及すれば、今のスーパーコンピューターが、個人用パソコンのレベルまで落とし込めるようになるということです。
僕の研究は、そのスピンをキーワードにした内容です。絶縁体は見方を変えると2種類に分類されます。
電気を通さない絶縁体と、トポロジカル絶縁体のように、内部は絶 縁体ながらも表面は金属状態にある特殊な絶縁体です。
トポロジカル絶縁体は、磁力の源となるスピンをそろえ、表面電子が超高速で運動していると言われていましたが、性質の詳細は未解明で、その性質を実際に実験で観測することができました。
つまり、トポロジカル絶縁体が、スピントロニクスの材料になりえることが証明できたのです。
僕一人では研究はできません。研究仲間との連携や家族の支えがあって、ここまで研究を続けてくることができました。チームプレーで受賞したものだと思っています。
広島大学には、国立大では唯一の放射光を扱う研究施設があったのと、せっかくならオリジナリティーの研究がやりたいという思いを持っていたのが、現在の研究にたどりつく大きなきっかけになりました。
研究は、電子とスピンの動きを可視化する装置をつくることから始まりました。装置づくりは試行錯誤の連続で、初号機は完成までに7年を要しました。
ですから装置ができて、ちゃんと計測できたときの達成感はひとしおですね。
余談ですが、放射光を使用してスピンを観測できる装置は、日本では広島大学にしかありません。
ただ、現在の装置では、スピンの測定は、電子の測定に比べ100倍の時間を要します。研究効率が悪く、時間を10倍程度に短縮できる装置を開発するのが夢です。
研究は、未知な領域に踏み込みながら、自分のアプローチで実験データを読み取り、新しい結論を導き出していきます。その一連の考える作業が研究の醍醐味です。
※プレスネット2018年12月6日号より
投稿者名: プレスネット