プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院統合生命科学科学研究科研究員
竹之内 惇 さん
専門は家畜育種遺伝学。東広島ブランド地鶏開発担う
広島大が設置している日本鶏資源開発プロジェクト研究センターでは、日本固有のニワトリ品種の「日本鶏」を30品種以上、約2000羽を飼育し、教職員や学生たちが毎日世話をしています。国内有数のニワトリの研究施設として知られ、僕の所属する研究室では、これまで、肉質や卵質、羽装色など日本鶏品種の特性や遺伝子などについて研究を行ってきました。
広島大が保有するニワトリを掛け合わせて作り出された「広大鶏」
そこで、これらの知識を生かして、黒毛和牛に匹敵するような、オリジナルの最高品質の新たなニワトリを生み出せないかと、広島大が保有するニワトリを掛け合わせて研究開発を進めてきました。作り出されたニワトリを広大鶏と名付け、大学発のニワトリ鶏種の作出に挑戦してきました。
広島県には、農林水産規格(JAS)が定める「JAS地鶏」が存在しません。こうした中、「広大鶏を種鶏に、東広島ブランド地鶏を」と、2018年に産学官が連携したプロジェクトが始まりました。
広大鶏と、多くの卵を産むロードアイランドレッドを掛け合わせ、肉のうまさと生産性に優れた地鶏の開発に取り組んでいます。
これまで、数多くの試食会や飲食店でのモニター会を通じて評価も得ていますが、今後は、酒かすやかき殻など東広島の特産品を飼料として与えるなど工夫を持たせ、東広島の特色を生かした地鶏の開発を目指します。
農家や飲食店などと議論を重ね、20年度中には生産・販売の体制を整え、令和3年春の商品化を目指しています。
広大鶏を用いれば、地域の特産品を生み出すことができます。ただ、広大鶏がいなくなると、地鶏を大量生産することはできません。大学はあくまで研究する場所ですから、大学発のベンチャー企業を立ち上げて、広大鶏をしっかり育て守っていく必要があります。僕はその役割を担っています。
家畜育種遺伝学研究室のメンバー
もう一つは、広大鶏の資源を守っていくこと。養鶏産業が安定的な生産を続けるためには、「病気による死滅」や「近縁な個体同士の交配」を避ける必要があります。動物の細胞保存の研究に取り組んでいる研究室の先生の力を借りながら、そのリスクに対応していきたいと思っています。
子どもの頃から鳥類が好きで、山口大獣医学部で学んでいた大学2年のとき、広島大の都築政起教授と出会い、「日本鶏の研究は面白いぞ」と声を掛けていただいたことです。
僕の現在のスタンスは、研究よりも実業に重きを置いていますが、学外と積極的に関わりながら、研究との距離も離れないようにと思っています。
今は、大学の取り組みや日本鶏のことを広く知ってもらって、日本鶏が和牛のように研究的価値や産業的価値が高まるようにしたいと思っています。そのためには、まず全国に誇れる東広島ブランド地鶏をつくっていくことです。
※プレスネット2020年5月28日号より掲載
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投稿者名: プレスネット