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サリー・チャン3

【広島大学の若手研究者】新しい教育の形を提示していきたい

2020.02.27

プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤

今回お話を聞いたのは
広島大森戸国際高等教育学院 特任助教
サリー・チャン さん

サリー・チャン2

専門は留学生の日本語教育。ペアワークが日本語の習得を促進

研究のきっかけ

 私は香港出身のオーストラリア育ち。幼い頃、香港では日本のアニメがはやっていて日本語に興味を持ちました。本格的に日本語の勉強を始めたのは中学生から。オーストラリアの中学校では、日本語が必修科目だったことがきっかけになりました。
 日本語の勉強を始めてみると、私の母語は中国語だから、漢字は理解できましたが、それ以外のことは本当に難しくて(笑)。
 日本語を学習する外国人が、第二言語(日本語)の習得を促進できるような環境を作っていけたらなと思ったのが研究に取り組む出発点になりました。

負の言語転移

 研究のキーワードになっている言葉です。外国語である第二言語を学習する人は、母語の影響を受けてしまい、学習中の第二言語に不自然さ、つまり負の言語転移が生じてしまいます。

 例えば母語が日本語だと、英語のrとlの発音に不自然さが残ります。私は第二言語である日本語を習得する留学生が、どうような学習をすれば誤用をしないですむのか。文化的、環境的な側面から研究を進めてきました。

研究成果

 言語能力が似た者同士がペアワーク、グループワークで学習すると、言語習得が促進されることが分かってきました。

 そのためには、従来の日本の典型的な教室のスタイル、つまり教師の一方的な授業スタイルを改める必要があります。

話し合い2

 学生同士がディスカッションをするような作業を増やすなど、留学生が主体的に活動できる授業が求められます。主体的な授業が誤用の気付きを促します。

教室外

 教室だけでは学習の時間が限られます。日本語能力を向上させるためには、教室外でも教室で絆を深めたグループなどで積極的に日本語を使う環境をつくることが大切です。

 留学生は教室では日本語を話しても、一歩外に出ると日本語を話さなくなります。日本語が飛び交う環境の中で、自分を安心させたいために自然に母語を話せる人と、母語で会話するようになります。日本語能力が同じレベルの人が集まることで安心感が生まれ、日本語を使う環境も芽生えます。

醍醐味

 自分の研究を実践に展開できることですね。ペアワークやグループワークを通して、日本語能力が上達した留学生の姿を見ると、本当にうれしくなります。私の研究の活力の源にもなっています。
話し合い

 

 どうような工夫をすれば、先生の教育のモチベーションと留学生の学習意欲が高まるのか、ということに興味を持っています。
 伝統的な日本の教育を行っている日本の先生に、新しい日本語教育の可能性や方向を提示していきたい、と思っています。

PROFILE 1989年香港生まれ。オーストラリアのシドニー・ニューサウスウエールズ大学卒。
同大学大学院日本研究博士課程修了。
2018年6月から現職。
森戸国際高等教育学院は留学生の日本語教育の充実などを図るため設置された。

※プレスネット2020年2月27日号より掲載

過去の「広島大学の若手研究者」はコチラ

 

投稿者名: プレスネット

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