プレスネットでは、広島大学の若手研究者に着目しその研究内容についてインタビューしています!🎤
今回お話を聞いたのは
大学院人間社会科学研究科 教職開発専攻 講師
山崎 茜さん
悩みを抱える子どもたちをどう支えるか
子どもの心理・社会的成長・発達を教育で支え
「自分の未来は明るい」と思える社会人に
Contents
私が中学・高校生の90年代、同年代の子どもたちによる犯罪がニュースになり、身の回りではいじめや不登校が問題となっていました。そのときに感じたのが、その子のことを周りの人が分かってあげていたら結果は変わっていたのではないか、それならどう理解してどのように支えられるだろうか、そんな疑問が今の研究のきっかけです。
大学は教員養成コースに進みましたが、関心の中心は子どもたちをどう支えるかでした。現在の主な研究テーマも、子どもの心理・社会的成長・発達をどのように教育で支えていくか、です。これから教員になる学生、教員に対して、子どもたちの心理的な成長を支えるために対人関係の発達を支援する目的や意味、子どもたちとのかかわり方を教えています。スクールカウンセラーとして、子どもや保護者、先生にアドバイスもしています。
地域のつながりが希薄化し、社会のコミュニケーションが変化。子どもたちのコミュニケーション能力、対人関係力が低下しています。コロナ禍で拍車がかかりました。
例えば、学校で手をあげて発表したとき、「みんなに変に思われたかな」と一人で悶々(もんもん)と考えてマイナスな考えが膨らんで傷ついていたり。ケンカもデジタルでする時代。嫌なことがあれば「友達」という項目のチェックを外してつながらないようにしたり、シャットダウンして終わりにします。関係性を修復したり、ぶつかったりすることを苦手とする子どもが増えています。小さないさかいの段階で、周りから注意されたりアドバイスを受けたりして関係を修復した経験がなく、人間関係力をつける機会が失われています。
子どもの人間関係力の発達、心理的な発達には、周囲の人との関係が豊かにあることがすごく大事です。昨年から東広島市と連携してヤングケアラーの研究をしている中で、自分の困り感を出せない子どもたちがたくさんいることが分かりました。「困っている」と言える居場所や器が必要です。そして「言っても分かってもらえない」という子どもの諦めが取り除かれることも重要です。豊かな人間関係をもち、自分の心を打ち明けやすい社会になるといいなと思います。
地域で心配な子どもを見かけたら、あいさつでいいので声をかけてやってください。「あなたを気にしている大人がいる」ということが伝わるかかわりをお願いします。
これまでかかわった子どもや研修した教員、指導した学生たちが、自分の未来は明るいと感じて元気になったり、成長していく姿を見たりするとうれしいです。教育は社会を変えられる。子どもたちへの支援を通じて、子どもたちがいい社会人になってくれることを目指しています。