広島大学陸上競技部の長距離パートが10月14日に出雲市で行われる「出雲駅伝(出雲全日本大学選抜駅伝)」に12年ぶりに出場する。出雲駅伝は箱根駅伝、全日本大学駅伝と並ぶ大学三大駅伝の一つ。私学の強豪が集う中、選手たちは「全国に広島大をアピールしたい」と話している。
今年の出雲駅伝に出場するのは21チーム。今年の箱根駅伝上位校の9校のほか、全国の予選を勝ち抜いた大学が参加する。広島大は昨年11月の中四国大学駅伝で3位に入り、中四国学連代表として、出雲駅伝に12年ぶり4回目の出場を決めた。国立大は広島大のほか、岡山大、名古屋大、鹿屋体育大が出場する。
広島大・長距離パートの現在の部員数は学部生、院生を合わせ22人。「Challengers」をスローガンに掲げ、「格上の相手であってもひるむことなく、思い切りぶつかる」ことを部の支柱に据え練習に取り組んできた。
練習は週に5日。一日平均で20㌔の距離をこなす。部員が主体的に練習メニューを考える。選手間で改善点などをアドバイスし合いながら、練習に励む。アドバイスをする側も、気づきが生まれ、成長につながる、という。
現部員で高校時代に全国高校駅伝に出場したエリート選手はいない。ただ、考える姿勢を重視した練習が、選手の記録の伸びを促した。5000㍍の上位8人の平均ベストは14分58秒と、中四国の大学ではトップクラスを誇るほどになった。
本番まで1カ月。島根県の石見智翠館高出身の橋井佑空さん(情報科学部2年)は「普段、テレビで見る選手と一緒に走れることは、貴重な経験になる。思い出に残るレースにしたい」ときっぱり。兵庫県出身で大学院先進理工科学研究科1年の大森勇輝さんは「最大限の力を発揮できるようにする」と意気込む。
広島大陸上競技部は、短距離の山本匠真さん(工学部4年)が、ことしのパリ五輪の代表候補に選ばれた。長距離パートの主将を務める南凱士さん(教育学部3年)は「身近な先輩が注目され刺激になった。自分たちも負けずにアピールしたい」と話しながら、「国立大は、私学の強豪校と比べ、練習環境や部の活動費などでさまざまなハンディを背負っている。そんな中、国立大学でもやれる、というレースを見せたい」と言い切る。
【出雲駅伝】
平成元年から始まった。第1回大会は、「平成記念出雲くにびき大学招待クロスカントリーリレーフェスティバル」の名称で開催。第6回大会からは現在の「出雲全日本大学選抜駅伝競走」に名称変更。「出雲駅伝」の略称は、第19回大会に愛称化され、翌20回の記念大会から正式略称となった。今年が36回目。出雲大社前をスタート、出雲ドーム前をゴールに6区間45・1㌔のコースで競われる。